守山乳業株式会社|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

守山乳業株式会社

物流内製化とデジタル化で即応力向上
守山乳業の物流DX構築事例

守山乳業株式会社 外観

Company Profile

会社概要

  • 社名

    守山乳業株式会社

  • 資本金

    1億円

  • 売上高

    154億円(2024年)

  • 従業員数

    264名(2024年6月30日時点)

  • 本社住所

    神奈川県平塚市宮の前10‐33

  • 創立

    1918年1月9日

  • 事業内容

    乳製品製造販売、清涼飲料水等製造販売

  • URL

    https://www.fujimilk.co.jp/index.html

管理部管理課 課長代理大橋 鉄平 氏

管理部管理課 課長代理
大橋 鉄平 氏

取締役管理部長 山口 智 氏

取締役管理部長
山口 智 氏

管理部管理課 北村 麻耶 氏

管理部管理課
北村 麻耶 氏

管理部兼経営企画部 次長 小林 裕明 氏

管理部兼経営企画部 次長
小林 裕明 氏

導入前の物流課題

  • 外部委託先(3PL)に依存した硬直的な運用
  • お客様のニーズへの迅速な対応・回答が困難
  • 物流環境の変化に柔軟に対応することが困難
  • 情報共有の仕組みの欠如
  • 2024年問題に向けて高い生産性の実現が必要

導入後の効果

  • WMSとLFAの導入により即納・即答体制の構築
  • お客様のご要望への的確な提案が可能に
  • 運送会社の荷量バランス調整や、コスト抑制などの柔軟な設定変更が容易に
  • 操作性に優れ、直感的に理解しやすいシステム
  • 短期間で多くの担当者が操作可能に(3日目で引き継ぎ完了、5ヶ月で5名に増加)
  • 2024年問題などの物流環境変化に即応(新規拠点や拠点移動にも柔軟に対応可)

これらの導入効果は、WMSのインターストックとLFAの輸快通快の導入によってもたらされたものです。
WMSとLFAの一貫したシステム導入により計画から実行までの物流業務の効率化と柔軟性の向上が実現し、顧客サービスの改善にもつながっています。

今回導入したシステム


今回導入したシステム image

日本で初めて
コーヒー牛乳を製造販売した老舗

神奈川県に本社を置く守山乳業株式会社は、大正7年(1918年)に創業した乳製品メーカーだ。大正12年(1923年)に日本で初めて瓶入り珈琲牛乳を開発、同年4月20日から東海道線国府津駅で1本20銭で販売。その美味しさと珍しさで大人気となり、全国販売となった。現在はミルクココアなどのカップ入り飲料や珈琲・料理用クリーム、業務用ソフトクリームなど多彩な飲料・食品を製造販売している。

少し緊張した雰囲気でスタートした取材風景
少し緊張した雰囲気でスタートした取材風景

物流内製化を決断!
物流環境の変化に柔軟に対応

守山乳業株式会社様は、弊社インターストックと輸快通快を導入頂いております。導入に至った背景と、その当時の課題、ニーズについてお聞かせ願えますか。

弊社守山乳業は5年前にここ神奈川県南足柄市に工場を新設いたしました。それまでは倉庫はありましたが、一時保菅スペースとなっており出荷はすべて委託倉庫から行っておりました。このような大規模な倉庫を運用することは初めてでした。お客様への輸送や保管品質の向上という新たな挑戦を始めた次第です。

それ以前は外部委託先に提示されたコストと提案を、受け入れるか・受け入れないかを決めるだけという硬直的な運用だったので、自由度もなく本当にお客さんのニーズに対して合っていたのかというと、疑問が残る形でした。そうした課題の中で1番大きかったのが迅速な対応・迅速な回答が難しかったことです。お客様のご希望に対して、委託先に要望を伝えて考えてもらうという形だったのです。

物流部門立ち上げに際し、手始めとして、流通加工や作業標準化、どういう運用でやっていくのかなどの基本的なことを設計しました。次に配車管理とかピッキング作業等の仕組みの構築を進めたところで、壁にぶつかりました。その1つが物流環境の変化です。変化に合わせた柔軟な対応という要素が非常に大きな壁になっていました。運送会社の職場環境の変化や取り組みによって相応の対応力が求められ、情報を共有する仕組みやより高い生産性の実現が必要不可欠と痛感して、オンザリンクス様のお力を借りて、物流システム開発に着手したという次第です。

5Sの行き届いた神奈川工場の製品倉庫の作業風景
5Sの行き届いた神奈川工場の製品倉庫の作業風景

綿密なコミュニケーションがシステム開発の要

数あるシステム開発会社の中から、私どもオンザリンクスをお選びくださったのはどのような点を評価いただけたのでしょうか。

業者選定にあたり、お付き合いのある企業様から話を聞いたりして、情報自体はいくつか持っていました。その中からオンザリンクスさんに問い合わせをして説明を伺ったところ、対面して最初の5分10分ぐらいで、私どもに歩み寄る姿勢に強い印象を受けました。システム開発というものは、課題や要望は会社によって様々だと思いますが、要望を受けた時にシステム開発側が、“一緒にやっていくんだ” っていう確固とした気持ちを持っているかどうかが最も大切だと思うんです。

弊社以外に実際に対面で相談されたシステム企業はおありでしたか?

数社ありましたが、御社の話を伺ってすぐに好印象を持ち、そのまま決まった感じです。「この人たちになら任せられる」と確信しました。今はそれが正解だったと心から満足しています。こちらの要望をきちんと理解して、提案するスピードもすごく早かったです。コロナの時期だったんで打ち合わせもzoomが主流だったじゃないですか。対面じゃないシステム開発って実は初めてで、ちゃんと伝わるか不安もありました。でもその場でexcelなどを用いたりして、伝えて理解しようという姿勢を感じました。初めての対面時の第一印象は間違っていなかったと思っています。

物流部門の立ち上げ過程での留意点はどのようなものでしたか。

システムって基本的な運用設計がとても重要で、そこがしっかり組み立てられていないと全く機能しなくなってしまいますよね。設計ミスで立ち上がらなくて3ヶ月以上たっても動かず結局は外部委託に戻したとか…そんな致命的なことが起きないように気を遣いました。ここにいるメンバーはもちろん、チーム内の仲間と何回もシミュレーションして、あらゆるケースを想定してどうするか話し合いました。そういう要件設定の前段取りに多くの時間を使いました。
慣れないことの連続だったので、プレッシャーで眠れない日もありました。ですが、苦労した甲斐があってこういう風に自分たちで構築できたっていうのは、自信に繋がってます。

私は作業担当でしたが、もうがむしゃらにやるというか、一つひとつ取り組んでは覚えてっていう感じでした。

大橋も北村も初めてだったので、それこそこのシステム構築につきっきりで頑張ってもらいました。システムを動かすってそれまで経験ないことなので。

システムを立ち上げるに際し、システムの導入や設計、テストに向けて実際稼働するまでで重要視されたことは何でしょうか。

我々とオンザリンクスの開発チームとの間の意思疎通です。伝票発行、EDIデータ作成など基本的な機能に関する課題もありましたが、複雑なロジックで組み立てなくてはならないような課題もありました。届け先地域や運送会社、商品の重量・荷姿、配送コスト、作業生産性、時間制限など要件が複雑にからみあっていて大変でしたが、オンザリンクスの開発チームと本当によく話し合って一つひとつ課題を明確にして解決していきました。何か課題を発見して、それこそ背筋が凍るような思いをするようなことがあっても、開発チームの担当者が「大橋さんこういう方法がありますよ」とすぐに対応してくれました。そういう風に1つずつ本当に丁寧に課題をクリアして、今に至ってます。思い返すと1年間の開発期間中に、うちはやりたいことを伝えることに集中し、御社は理解することに集中して頂きました。システムを開発するにあたっては、それが最も重要だったのではないかなと思ってます。

配送管理画面で各運送会社への配送指示
配送管理画面で各運送会社への配送指示

ありがとうございます、まさにそれが我々の仕事です。システム導入の過程でご苦労されたことはありますか。

私は運用をイメージしながらシステム開発に臨みましたが、それを実際に現場に落とし込むんでイメージ通りに動かせるよう、各運送会社と十分に議論を重ねました。システムの機能に合わせて実運用できるように各運送会社と事前に交渉を行う作業は大変でしたね。

私は、現場サイドからこういう風にやりたいという意見が上がって来たときに、様々なケースを想定した場合にどうするのが最適なのか判断することに苦労しました。事前にそうしたケースを想定していなかった部分もあったので、そこを共有しながら探っていくのが大変でした。

私が示す方向性に対して北村の意見で1番ありがたかったのは、働く作業者にとっての環境は良くなるのかということ。もちろん生産性は上がった方がいいんですけど、今は労働環境がより重要視されています。うちの社訓にもある通り、笑顔を作りながら働けるか。そういうことをきちんと踏まえて私に意見を上げてきたので、そういう部分では彼女は一生懸命頑張ってたんじゃないのかなと思います。

私の方ではインフラ系ですね。システムを導入するにあたり、業者の方にインフラ面の機能について具体的な確認をしていったことでしょうか。たまたま今回基幹システムの入れ替えも同時に行っていたので、基幹側のベンダー企業とやり取りして知識を得ながら、こちらの物流システムの方もサポートしてもらえるよう働きかけたので、その辺はうまくいったかなと思います。

プロジェクトを成功させた
原動力はチームワーク

システムを導入いただいた効果や改善された点、システムの全体的な評価や使い勝手などをお聞かせいただけますでしょうか。

物流システムを構築したことで、即納・即答体制を構築でき、お客様のご要望にも的確な提案ができるようになりました。物量が少ない時・多い時、運送会社の荷量バランスを変えたい時、コスト抑制を徹底したい時に少しの設定変更で対応できるような仕組みが構築できました。操作性も非常に優れており、配送管理画面も分かりやすい表示や配置で、直感的に理解しやすいです。おかげさまで導入後3日目には北村に引き継ぎが完了し、次の週には彼女1人でオペレーションしていたぐらいです。導入してから 5か月ほど経ちますが、操作できる担当者はすでに5名にまで増えました。開発期間中に細かい部分を依頼したことが上手に反映された、使いやすいシステムになっており、現場作業者からも大変好評です。

エントランスに並べられた親しみのある製品
エントランスに並べられた親しみのある製品

今回守山乳業様のご要望で、厚木倉庫のシステムで1次フェーズ、神奈川工場で2次フェーズと開発の展開を分けられたことも非常にスムーズに稼働できた要因の1つではないかと思います。多くの方がシステムを導入する際に全体を一度に導入した方がいいのか、それともフェーズを分けて導入した方がいいのかを悩まれますが、守山乳業様のお考えをお聞かせいただけますか。

フェーズを分けたのは大きな失敗を避けたかったからです。サブ拠点の厚木倉庫でまず導入をして、そこで試してからメインの神奈川工場に導入したかったのです。物流ってミスがあると本当に怖いので、やっぱりそういう部分では全体に導入する前に限定された部分で試せたのは大きなメリットがありました。工程を刻んでリスクを最小限に抑える方法が成功しました。また、開発段階で私自身が先行導入した厚木に1〜2ヶ月ぐらい行って実際の操作を体感できた点は大きかったです。要望していたことを改めて思い出したり、システムに対する理解が一気に進んだ時期でした。そこでしっかり理解した上で神奈川工場へ導入できたのは、リスク回避だけではなく、私自身が知識の再蓄積をした上で本番に臨めたのは良かったです。

1つの成功要因として、守山乳業様独特のチームワークがあると私たちは感じています。プロジェクトリーダーの大橋さんを筆頭に、ユーザー、ベンダー、運送会社がチーム一丸となって取り組めた点は私たちにとっても大変貴重な経験でした。

基幹システムの入れ替え、物流システムの構築がありかなり厳しい状況でした。大橋は物流業務を細かいところまで把握していますので今回のプロジェクトのリーダーとして適任だと判断しました。

この物流部門を立ち上げる1年ほど前、社長(現会長)が私を呼んで、「1年後に工場を建てて物流部門を立ち上げる。お前は今日から他の仕事を一切しなくていい。物流立ち上げのための時間を自分で自由に使え」って言われたんですよ。そのときまで自分のやってきた業務の引き継ぎを終わらせてからは、本当に1年間自由にやりました。他社の倉庫に見学に行ったり、沢山の勉強をさせてもらいました。しっかり準備して立ち上げて、自信を持ってプロジェクトを進めることができました。私は物流システムの立ち上げに100パーセント専念できる環境を特別に与えてもらえたのです。もちろん、その間支えてくれる人も必要ですし、かばってくれる人も必要です。そういった状況で、いい意味で役割分担が自然にできて今回の成功に至ったのではないかと思います。ここまで来れたっていうのは、見えないところでチームがかばって支えてくれたおかげです。新しいことにチャレンジしようっていう気概がある人間が集まってチームを組めたのは、この会社の財産だと思います。

北村が現場で踏ん張ってくれたから大橋が動ける。そして北村の下に、もっと働いてくれる仲間たちがいて北村を支え、現場を回してくれてるから大橋が動ける。そういう好バランスのチームワークがありました。オンザリンクスさんには最初のシステム稼働の際には相当急がせてしまいました。厚木の方に一刻も早く導入して確かめたくて、それを叶えていただきました。本当に感謝しています。この工場を建てるに当たって物流内製化はトップダウンで掲げていた全社ミッションでした。当時の社長がずっと目指していたことがやっと叶った。大橋、北村、そしてオンザリンクスさんは本当に大きな仕事を果たしてくれたと思います。

2024年問題は物流の付加価値を創造するチャンス

今後の御社の物流の取り組みについて、2024年問題もあり課題は山積みだと思いますが、今後の物流デジタル化についてどのような取り組みを検討されていますか。

今回配送管理システムを導入し、この先もオンザリンクスさんと一緒に物流のデジタル化を進めていきたいと考えています。理由は御社の対応力の高さです。今後何が求められるようになるか具体的に考えてみますと、例えば物流上の環境変化によって拠点の新設や、現状の拠点が移動するといったように、多くの変化を求められると予想しています。今後も御社の強みであるその高い対応力・想像力を発揮して、弊社の変化してゆく物流ニーズに高いレベルで応え続けてくれることを期待しています。

次にビジネス展望ですが、お客様視点で常に改善を続けていくためにはやはり柔軟性はすごく大事で、どのように柔軟性のあるシステムを構築して対応していくのかが課題です。2024年の物流問題は、物流という付加価値をお客様に再評価していただけるチャンスだと考えております。お客様の要望に対応できる、きちんと届けるというところが改めてお客様に評価されるのではないかなと思っており、そこの部分を1つの商品価値として認めていただけるように、我々は働きかけていきたいと考えています。モノを届けるということを、工夫とかアイデア創出によって確実にこなしていきたいです。

2024年問題が物流の評価をいただくチャンスと捉えるというお話はとても興味深いです。

食品でも美味しいだけでなく「インスタ映え」などと言われて見た目の美しさや新しさが評価されるようになり、商品の価値が我々の年代からすると考えられないような要素が加わってきています。これまでになかった新しい要素を満足に思う人がいて、それを商品価値だと捉える人がいるのです。そこにきて、今回の2024年の物流問題です。非常に混乱を極めるだろうと言われています。そうするともしかしたら、「きちんと運べる」ということ自体が評価されるかもしれない。お客様の荷物をきちんと届けるという責任を我々はしっかりと引き受け、どんなことをしてでも届け続ける。そういうひたむきな努力が報われるチャンスが来ているのかもしれませんよね。2024年問題の中でも、守山乳業は「きちんと運べる」ということを自信を持って言えるのはお客様にとっての安心感とか信頼感、「いいね!」につながるかもしれない。そうなることを目指して活動していきたいと思ってます。

2024年問題は物流デジタル化のチャンスとか、物流を大きく変えるチャンスとはよく聞きますが、物流サービスを再評価してもらえるチャンスというのはありそうでなかった新たな視点で、大変勉強になりました。まさにその通りだと思います。今日は皆さま貴重なお時間を頂きありがとうございました。