人手不足についてはご承知の通り、国内多くの業界にて抱える深刻な経営課題として存在しております。
この課題をクリアしていくには短期的な観点では無く、事業を根底から見直すなど、戦略的に既存業務の改革に向けた決断と投資が必要となってくる事も想定されます。
それと同時にITでは、世界的にもAIとIoTの研究開発が加速的に進んでおり、近い将来あらゆる業界で起きる爆発的な変革は避けられないと言えます。
「AIで失われる職業」等と驚異的な存在としてAIに対し論じている記事を拝見したりしますが、私の解釈では「人に求められる事が絞られてくる」と捉えています。
例えば、AIでは補えない創造性や課題抽出、意思決定判断等が挙げられ、失われると言うよりは、働き方そのものが変化し、新たな需要が存在し始め、人間がよりコアな部分を担う事になるのではないかと考え、それらは50年前と今と比べても同じような事が言えるのではないかと思えます。
業界の人手不足に対しての改善策として、大きく下記の4つが挙げられるでしょう。
(1)人材増員で回避
(2)システムで回避
(3)外注で回避
(4)運用、サービスの変更
他にも改善策があるかと思いますが、大きく分けると4つでは無いかと思います。
そこで重要なのは、この改善策がどこから生まれた策なのかという部分です。
つまり、事業戦略上の改善策なのか、それとも現状課題の改善策なのかという事です。
起きている状況は同一でも、現在の延長戦上での判断なのか、それともビジョン達成からの逆算した判断なのかで、結果が大きく異なります。それでは、改善策の見方を変えてみます。
(1)人事戦略の見直し
(2)IT戦略の見直し
(3)仕組みの見直し
(4)ビジネスモデルの見直し
物流の目的を端的に言うならば、「ビジョン達成に向け収益を最大化する為に、高パフォーマンスを低コストで実現する。」と言えます。
定義するならば、高パフォーマンスとは、「ユーザーにとって必要な時に最適な数だけ必要なものが最適価格で安心安全に購入、届く事。」、低コストとは「必要なコスト以外に無駄を省く事。」収益最大化とは、「(売上-コスト)が最大化する事。」と言えます。
ありきたりな言葉になりますが、「価値の提供+儲かる仕組み」を作り続けると言う事が企業の最大のテーマでは無いでしょうか。
日々の業務に追われ、時として、目的を見失う局面も多く存在するのではないかと思います。
そんな時こそ、冷静に考える時間を意図的に設け、原点に戻り「目的」を再確認する事が必要であると言えます。
自社の物流におけるビジョンはいかがでしょうか。
3年後のビジョン。自社のサービスと時代の流れとの関係性はどうなるのでしょうか。時代背景に伴い、予測やビジョンも描きにくい状況ですが、方向性無くして前進は無いので、方向性となる目標は掲げるべきです。
私と同じような考えを持たれている方も多くいらっしゃるかと思いますが、体感として未来と過去の変化を時間軸として例えるとするならば、3年後は5年前、5年後は10年前、10年後は30年前として考える事ができるのではないかと思えます。
その当時に今の状況が想像できたでしょうか。
空想やフィクションの世界が実際に現実化していたりと、めまぐるしい変化が実際には徐々に起きていて気づかぬうちに当時の非常識が常識化し、非常識が常識化されていたりします。
現に10代の子供たちに「電話と言えば?」と質問すると、迷わずに「スマホ」と答えるでしょう。
「黒電話」は別世界のものとされ、昔話に登場する架空の電話機として扱われてしまいます。
これらの変化も、様々な思惑が交差するテーブルの上で展開された結果になります。
逆に、激動の変化には多くのビジネスチャンスも存在する事が言えます。
それらも踏まえて、これからどうすべきかを自社に問う必要があると考えます。
つまりは、変化速度も倍速的に早まる中で、いかに戦略的にビジョンと現状の差に対し、高速的にPDCAサイクルを回しながら継続的に差を埋めていくかが重要で、状況に応じた軌道修正力も必要であると言えます。
創造的破壊を繰り返し、追求し続ける事で、未だ見えぬ新時代に対して脅威としてでは無くチャンスとして捉える事ができるのではないでしょうか。
「あなたの幸せとは何でしょうか?」
いきなり何を言うかと思われるかも知れませんが、「人」が関わる事業を運営する中で、とても重要なテーマだと考えます。
とある経営者の方は、従業員の感動こそが顧客の感動に繋がると考え、いかにして従業員を感動させるかを考えていらっしゃいます。
人には動機が存在します。
その動機が他者の幸せが自分の幸せだと思う方もいらっしゃいますが、最終的には自身の幸せに向けて日々生きていると言えます。
つまり、幸せの定義は多種多様ですが、組織内の一人一人の「幸せの実現に向けたプロセス」がサービスを生み、顧客の満足や感動を生むと言う事になります。
ここで重要なのが、当たり前に聞こえるかも知れませんが「個々の集合」と言う点です。
そこで少々心理学の話に触れてみます。
心理学の世界では有名な理論の1つですが、自己実現理論として欲求段階説があります。
アメリカの心理学者アブラハム・マズローが人間の欲求には段階があるとして5段階に理論化したものになります。
生命を維持する上で必要とする欲求。食、睡眠、衛生、排泄など。
生命の安全を確保する上で必要とする欲求。経済的安定、健康状態、事故防止、精神的安定など。
生活する上での社会的役割、良好な人間関係など。
自分の存在や価値を認められる事。自己肯定感。
自己成長の追及。自己能力の最大化。
自己超越欲求とは、マズローが晩年に5段階の上にもう1つ存在していると提唱した欲求になります。
自己を超えて他者、社会へ献身的である状態を指しています。
マズローによると自己超越欲求に至る人は、人口の2%ほどであると調査していました。
あくまでも1つの参考に過ぎないのですが、置かれている状況や、望む状態などその人によって動機が異なります。
これらを理解、前提とした上で、人事戦略を描きます。事業の最大の目的である利益最大化を実現する為には、商品・サービスの提供を通じて顧客の満足を最大化する事が必要になり、その良質な商品・サービスを提供していくには高パフォーマンスの発揮と最適なコストをコントロールする運用側、つまり従業員のパフォーマンスの最大化を実現し続けなければなりません。
では、従業員のパフォーマンスを最大化させるには何をすべきなのでしょうか。
大きく分けてやり方は2つあると考えます。
1つは恐怖を与えるやり方。
もうこのやり方では、組織は成立しない時代になっていますので、もう1つのやり方としては、「士気を最大化」させる事だと考えます。
マズローの5段階説を用いて言うならば、「生理的欲求」「安全の欲求」「所属の欲求」この3つの欲求を満たす実現可能な環境を整えていく事だと考えます。
つまり、「現場組織の士気を高める為の施策」を実行し続ける事だと考えます。
例えば評価制度の現実性、福利厚生の充実化、キャリア形成における教育制度等「やりたいと思える環境」を作る事で「生理的欲求」「安全の欲求」が実現されるという側面があります。
また、企業のビジョンや目指す方向性を明確に指し示す事で「自社への誇り、忠誠心」が芽生え「所属の欲求」の実現という側面に繋がります。
継続的に士気が高まる環境を追求し続ける事で、結果的に収益最大化に繋がるのだと考えます。
最後に、おわかりの方もいらっしゃるかと思いますが、「士気の向上」を図る上で、無償で高い効果を発揮する事ができる手法があります。
それが「コミュニケーション」になります。
特に上司から部下にかける言葉には自身を認め受入れてくれているという「承認の欲求」の実現に繋がります。ちょっとした言葉が、部下の幸福感を満たしてくれるのです。
日ごろから物流現場へ伺う事が多いのですが、現場は一生懸命です。
そうした光景を見て思うのは、世界で見ても、日本ほどの品質を保った物流機能は無いと言えます。
近い将来なりたい職業ランキングに「物流マン」のポジションが位置づけされる日も遠くないと思えますし、そうなって欲しいと強く願います。
我々オンザリンクスは、物流マンを応援します。
著者:モリオ
飲料メーカーで培った経験を活かし、 食の安全と物流をキーワードに執筆活動開始。