効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き -第15回-|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

物流業界トピックス

効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き -第15回-

今回は業務改革案作成のステップ3となる『費用対効果算出』について説明します。

図1

■業務改革案作成ステップ3 – 費用対効果算出 –

倉庫管理システムや在庫管理システムの導入を検討する際に、必ず経営層に問われるのは、「費用対効果は
どれくらいか?」という質問です。著者のご支援先でもこの費用対効果の算出方法についてはみなさん頭を抱えられて
います。またこのような疑問に対して、明確に回答の得られる文献もありません。

Amazon等で”倉庫管理”や”物流システム”で検索して出てくる文献を著者も手当たり次第に購入して読んでみましたが、
費用対効果の算出法について書かれているものは皆無でした。

物流はIT活用が遅れていてかつ効果が出やすいということで、企業の物流IT投資は年々増加しています。
しかしその効果をある程度事前に正確に把握する方法を企業が知っておかなければ、2000年代前半のSCMブーム
の失敗を繰り返すことになりかねません。当時は多くの企業が物流ITに資金を投じ、期待した効果を得られませんでした。

費用対効果算出でよくやってしまう方法として、自社の現状からこれ位であれば改善できるだろうと予測を立てて算出する
やり方です。しかしこの方法では、あくまで自社の現場常識の範囲でしか改善できません。また客観的な視点がが加えられて
いない為、経営層に対しても説得力のないデータとなってしまいます。

同業他社の数値を参考に、どれくらいの数字に出来るかを目標にして、どうすればよいかと考える
ことが大切です。方法があって、結果ではなく、まず目標の結果があって、それに方法を後付する。
そんなイメージでしょうか。

同業他社の数値が加えられることにより客観性も高まるので、経営層に対しても説得力が増します。

それでは、さっそく始めていきましょう。
まずは、在庫水準による効果測定の方法からご紹介します。

1.在庫水準による費用対効果測定

ここでは本稿第7回でご紹介した在庫水準を用いて算出します。まずは自社の在庫水準を事前に計算して
おいてください。

例えば卸売業の場合で計算してみましょう。卸売業の場合、下記の表で業界平均値を見ると商品・製品の
在庫水準が0.38が平均値であることが分かります。

図2

自社の年間の売上が12億円で、期末の商品の棚卸金額が5千万であった場合の余裕資産を計算して
みましょう。余裕資産の計算方法については、本稿第8回にて詳しく説明しています。

図3

下記の計算式で余裕資産が求められます。

図4

この計算式に上記の条件をあてはめると、、、

図5

このようになります。つまり1千2百万円が自社の余裕資産ということになります。
自社の在庫水準を業界平均値まで改善することで、1千2百万円の分のキャッシュが手元に残るということです。
この計算の結果がマイナスになる場合は、自社の在庫水準は業界平均よりも優れいているということになります。
そのような場合は、リーダー企業(物流改善や在庫改善のトップ企業)の値を参考にして、計算しましょう。

常に上を目指して費用対効果を予測することが大切です。

■まとめ

今回は在庫水準を用いた費用対効果の算出方法をご紹介しました。
次回はプロセス改善による効果測定の方法をご紹介します。どうぞお楽しみに!

 

※最後まで読んだ頂いた方に耳寄りなお知らせ※

これまでにサイト上にUPした本稿「効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き」を1冊のPDF資料にまとめました。
無料でダウンロード頂けますので、是非自社のWMS構築&導入の手引きとしてお役立て下さい。
下記リンクをクリック頂き、ページ中段の1段目1列目の資料です。
https://www.inter-stock.net/flow/request/

 

著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。

 




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