さて、いよいよ最後の数値項目になります。
今回は財務管理に分類される数値項目について説明をします。
財務管理の数値項目は全部で3種類です。
この3つの数値では仕入から販売に伴う現金回収までの日数を算出し、
在庫回転によるキャッシュサイクルの健全度を分析することが目的になります。
仕入債務回転日数は、商品や材料を仕入れてから支払されるまでの期間を表す指標です。
仕入債務回転日数は、長いほど運転資金に余裕があるということになります。
計算には第6回で登場した「4.財務基準値」の「02.年間売上原価」と「06.仕入債権額」の2つの数値を利用します。
売掛債権回転日数は商品を販売して、現金を回収するまでの期間を表す指標です。
期間が短い程良く、長いと資金繰りを圧迫してしまいます。
計算には第6回で登場した「4.財務基準値」の「01.年間売上高」と「05.売掛債権額」の2つの数値を利用します。
商品を仕入してから、販売して現金を回収するまでの日数を示します。
この日数が小さいほど、企業の現金回収サイクルが早いことを意味します。
計算式は在庫回転日数に上記で計算した「売掛債権回転日数」を足し、「仕入債務回転日数」を引くことで計算出来ます。
在庫回転日数は「02.在庫回転率」に365日を掛ければOKです。
実際に下記の図1の数値を例に現金循環化日数の計算をしてみましょう。
この場合、計算結果は下記のようになります。
つまり、この会社では、商品を仕入して、販売して現金を回収するまでに75.13日かかっているということです。
アップルはこの数値がマイナスなのは有名な話ですね。
マイナスということは、商品を仕入する前に販売代金を回収しているということになります。すごいですね!
今回ご紹介した数値についても、これまでの数値と同様、同業他社の数値と比べることで、自社の状況を客観的に判断することが出来ます。
是非お試しください。
今回で「数値分析」については最後になります。
作業基準値、物流コスト、ワークボリューム調査値、財務基準値の4つに分類して自社の数値を集め、分析することで、現状の課題が見えてきたのではないでしょうか。
物流部門は企業内ではサービス部門として位置づけられます。
営業や製造のように直接企業の売上に貢献するわけではありません。これは否定の出来ない事実です。
しかし、企業においてサービス部門がいかに機能するかはとても重要です。
そのときサービス部門が真に求められるものは成果であって効率ではありません。
しかしながら、物流部門はとかく効率ばかりを求められる傾向にありますが、それではただのコスト管理に終始し、結果として物流部門はコストセンターとしての役割を担うに過ぎません。
私達が”効率性”だけでなく、”効果性”を追求しているのも、そうした理由からです。
”効率性に”比べ”効果性”には具体的な正解がある訳ではありません。
ですから、この挑戦は尽きることのない探究になるわけです。
物流の使命、目的、機能について徹底的に検討をしていくということです。
物流に関わる全ての人が”効率性”だけに注視するのではなく、”効果性”を探求し、サービス部門として”なすべきことをする”ことで、企業の競争力を最大化することが出来るのです。
さて次回からは「課題抽出」について説明をしていきます。是非ご期待下さい。
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著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。