今回からは、タイトルの通り「在庫適正化でキャッシュを稼ぐ!」について
身近なところから取り組むための方法を考えてみたいと思います。
みなさまもご存知の通り『在庫』(在庫管理)というものは、大変に頭を悩ます存在です。
一般的に「在庫を抱える」ということは、「仕入が発生」し「売上が上がる前に費用が発生する」ことなので、先にお金を支払う必要があります。
もし、在庫を抱えても十分に売れなかった場合、商品が余ります。
その余った商品にかかった金額は返ってきません。
余ったら余った分だけ赤字が増えるのです。
一方、在庫を絞った場合は、在庫が切れてしまったために欠品となってしまう可能性があります。
売り逃しという状況です。この場合、本来取れるはずであった売上が取れず、結果、利益も上がりません。
つまり、在庫は多すぎても少なすぎても問題が発生するのです。
この「在庫」を適切に数量管理することが、キャッシュ(お金)を最大化するために必要なことなのです。
ここからは、在庫を分析する上で必要な以下の3つの指標について考えてみたいと思います。
さて、適切な在庫を把握するのに必要なデータ分析の1つが、在庫回転率の分析になります。
在庫回転率とは、一定期間(1年や半期、四半期など)に在庫が何回入れ替わったかを示しています。
在庫回転率の値が大きいほど、仕入れてから販売に至るまでの期間が短く、効率よく売上につながっていることになります。
反対に、在庫回転率の値が小さいほど、売れずに倉庫などに残っている期間が長く売れ残りのリスクがあります。
ただ、この在庫回転率は、商品によって異なるため、アパレル・化粧品・飲料などといった異なる商品特性のものを一緒に比較することはできません。
在庫回転率を比較する際には、分析する商品群の特徴や売れ方などを十分に考慮する必要があります。基本的には同じ商品群の中での比較になります。
在庫回転率は、以下の式で表します。
・在庫回転率=売上原価÷平均在庫高
例えば、1年間を期間とした場合、売上原価は、その1年間に売れた商品の売上原価になります。
そして、平均在庫高は、その1年間のスタート時における在庫(期首在庫)と1年間の終わりのときの在庫(期末在庫)を足して2で割った金額になります。こちらも原価です。
・平均在庫高=(期首在庫+期末在庫)÷2
また、同じように在庫の効率性を分析する指標に「在庫回転期間」というのもあります。
これは、在庫を何ヶ月分持っているかを示す指標で、在庫回転率の逆数となります。
・在庫回転期間(月数)=在庫高÷(売上原価÷12)
在庫回転期間は、上記式のように月ベースで表す「在庫回転月数」のほかに、週ベースや日ベースで表すこともあります。
週ベースでは52、日ベースでは365で割ることになります。
どの期間をベースとして算出するのか、値を利用するときには注意が必要となります。
在庫回転期間も在庫回転率と同じく、商品によって基準値は異なります。
それでは、今回はここまでです。
次回からは、ケーススタディをご紹介したいと思います。
著者:SHIGERU
大手外資系グラフィック製品メーカーでの製品企画を担当。
その豊富な経験を活かし、グラフィックを活用した倉庫管理ソリューションの企画で毎日頭が一杯。