効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き -第7回-|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

物流業界トピックス

効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き -第7回-

■集めた数値を使って課題を見える化してみよう

さて、第6回で集めた数値データを利用して簡単な分析をしてみましょう。

数字を集めた後は、それをどう活用し現状を理解していくのかが大きなポイントになってきます。
これから先は、自社の現状を在庫管理・物流管理・財務管理の視点で見える化する方法をお教えいたします。
それではさっそく行きましょう。まずは下の図1の表をご覧ください。

no29 図1

第6回で集めた数値データを利用してこれだけの項目を小学生でならった簡単な計算だけで導き出すことが出来ます。
項目ごとに説明していきます。

01.在庫水準

在庫水準とは在庫が多いのかどうかを判断する為の指標の一つです。別名”在庫回転期間”ともいいます。
求め方は下記の通りです。

no29 図2

この計算により年間の売上に対して何ヶ月分の在庫を持っているかが把握できます。
それでは実際に例を上げて計算してみましょう。年間の売上が2億円で期末の棚卸資産が3千万円であった場合で考えてみます。

no29 図3

この会社では、今ある在庫を全て販売、もしくは消費する為には1.8ヶ月かかるということになります。
しかし、ここで問題になるのは、はたしてこの水準値は良いのか悪いのかということです。
その数字をどう理解すればよいのかが分からなければあまり意味がありません。

ここで分析結果の値を効果的に理解する方法をお教えいたしましょう。

no29 図4

1つ目は同業他社の数値と比較するということです。これにより自社のレベルが客観的な視点で認識可能になります。
2つ目は毎月分析データを記録し、過去のデータと比較することです。これにより色々な仮説を立てることが容易になります。

同業他社の数値は中小企業庁のサイトでデータが拾えますので参考にしてみてください。

中小企業庁HP⇒https://www.chusho.meti.go.jp/index.html

たまに「”在庫回転率”とは違うの?」と質問を頂くことがあります。
在庫回転率にとても良く似ているのですが、計算式が全く逆になります。

在庫回転率 = 年間売上高 ÷ 棚卸資産

このように先ほどの在庫水準の計算式とは、売上高と棚卸資産の分母・分子が全くの逆になります。
在庫回転率は在庫が一年間で何回入れ替わっているかを見る指標になります。

どちらも在庫の量を認識する上で利用されますが、回転率はどちらかというと小売業や卸売業で用いられることが多いようです。

02.在庫回転率

すでに上で説明をある程度終えてしまいましたが、在庫回転率も在庫水準と同様に在庫のレベルを見る為の指標として非常によく用いられます。
恐らく皆さんも在庫水準(在庫回転期間)は聞いたことがなくても、こちらは聞いたことがあるのではないでしょうか。

実際は在庫回転率は在庫管理アイテム単位に見る場合が多く、回転率の低いアイテムは在庫を削減したり、回転率の高いアイテムは欠品しないように在庫を増やしたりといった感じで利用されます。

とくに小売業で利用されることが多く、製造業などではあまり用いられません。計算方法は下記になります。

no29 図5

こちらも在庫水準の時と同様に売上2億円、棚卸資産が3千万円の場合の例で計算してみましょう。

no29 図6

この例でいうと在庫が年間に6回以上入れ替わっていることになります。
ということはつまり、2ヶ月に1回の頻度で在庫が売り上げに変わっているということになります。
この回転率は当然高い方が良いということになります。
低いということはそれだけ在庫が滞留し、在庫が現金化されずキャッシュフローの悪化に繋がるからです。
あくまで私見ですが、在庫削減という視点においていえば、在庫回転率よりも在庫水準で見る方がしっくりくる気がします。

■まとめ

以上、在庫水準と在庫回転率の2つの分析項目について説明しました。
次回は”余裕資産””欠品率”について説明いたします。
これらの分析値は他社のデータと比較し、自社の過去データと比較することで様々な気付きを得ることができます。

また最初の頃は良く理解が出来なくても、毎月プロットして前年対比が出来るくらいにデータが貯まると、色々と今まで見えなかったことが見えてくるようになるので、根気よく継続されることを強くお勧めします。
それでは次回をお楽しみに。

 

※最後まで読んだ頂いた方に耳寄りなお知らせ※

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著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。

 




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