前回より具体的に倉庫管理システム(WMS)を構築していく手法をご紹介しています。
「組織の意志疎通を支援する倉庫管理システム(WMS)」の構築を行う為には、前提条件をしっかりと整理し、業務改革案の作成が重要であると説明をしました。
今回からそれぞれの導入ステップ毎に詳細を説明していきたいと思います。
最初のステップである「前提条件把握」が今回のテーマです。
「前提条件把握」のステップでは、倉庫管理システム(WMS)を導入する前(もしくはWMSをリプレイスする前)の状態を正確に把握することが最大の目的になります。
このステップはプロジェクトのキックオフ、いわゆる一番最初の大事なステップです。
何事も最初が肝心ですから、しっかりと計画を立てて進めていくことが重要です。
このステップでは「プロジェクトマスタ」をまず作成し、その後「現状分析」を行っていきます。(図1)
プロジェクトのマスタ作成では最初にプロジェクト名称を決めます。
「そんなの必要なの?」と言われる方もいますが、私はネーミングはそのプロジェクトに命を吹き込む為にとても大切なものだと考えています。
ネーミングはまさにそのプロジェクトの象徴だと思います。
特にこれといってルールはありませんが、一度聞いたら忘れない印象に残るネーミングが良いと思います。
またそのネーミングでプロジェクトの意味がなんとなく伝わるようであれば良いネーミングと言えるのではないでしょうか。
ネーミングが決まると続いて今回の「倉庫管理システム構築」プロジェクトの目的(スローガン)を作成しましょう。
こちらについてもネーミング同様、「要るかな?」と言われることがありますが、私は必要だと考えています。
スローガンはプロジェクトメンバーだけではなく、それに関わる人達全ての意識を一つに統一し、その方向へ行動を向けるパワーがあると考えています。
言葉はそれだけで力です。
このプロジェクトが「何を目的とし、何をなそうとしているのか」を明確に定め、それを共有することで、目に見えない力が発揮されます。
スローガン作成についても、とくにルールはありませんが、あまり長すぎない方が良いでしょう。
一つだけポイントを挙げるとすれば、「何に共感してもらいたいのか?」という視点で、未来のビジョンをイメージしやすい言葉を選択することでしょうか。
いくつか例をあげておきますので参考にしてみてください。(図3)
さてプロジェクトのネーミングとスローガンが決まればプロジェクトマスタ完成もあと少しです。
最後はプロジェクトメンバーの役割とコミュニケーションルールを定めます。
ここでは図4のように3つの事項についてはっきりと明確にします。
まずはメンバーの役割を明確にしておく必要があります。
プロジェクトリーターはもちろん、スケジュール管理担当、議事録担当という具合に各自の役割と責任範疇を明確にしておきましょう。
役割を決定したら、指揮命令系統を決めていきます。
「誰の指示に従えばよいのか?」「誰に報告すればよいのか?」という系統を明確にします。
この役割と指揮命令系統を分かりやすくプロジェクト体制図として作成するのもお勧めです。
メンバーや関係部署が多くなる場合はこのように予め図で作成しておく方が後々プロジェクトを遂行する上で役に立つと思います。(図5)
そして最後にコミュニケーションのルールを明確にしておきます。
連絡手段やミーティングの時間や参加メンバーなどを必要に応じて決めて行きます。
プロジェクトの大小により決める項目は増えたり減ったりしますが、あまり細かく決めすぎても守られなくなるので、必要最低限にしましょう。こちらも図6で簡単に例をご紹介します。
以上で「倉庫管理システム構築」のプロジェクトマスタの作成フェーズは完了です。
ここで決定する事項については、企業によってある程度内容は変わってくる思います。
進めて行くうちに「あれも決めなきゃ」、「これも決めなきゃ」と増えていくこともあるでしょう。
これらをしっかりと定めることで、チームの方向性を一致させながら、メンバーの意識を高め、倉庫管理システム構築プロジェクトを成功させる為の基礎を整えます。
さてプロジェクトマスタが定まったらいよいよ現状分析のフェーズに入っていきます。
次回は現状分析の3つの要素について詳しく説明していきますのでご期待下さい。
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著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。