日が暮れ始めた夕刻の駅前スーパーでは、奥様方が品定めをしながら、
今晩の夕食や明日の朝食などの買い物をして賑わっていると思います。
いつから習慣づいたのかはわかりませんが、陳列されている商品を手前からではなく、
奥から取られる方々を頻繁に見ます。
その奥様方は商品の賞味期限を見て、少しでも日持ちがする商品を買おうと考えているのでしょう。
手前の商品よりも後ろに陳列されている商品の方が、賞味期限が長いと言う事は消費者の方々もわかってるんですね。
店舗のバックヤードや店頭の陳列された商品も先入れ先出し【FIFO(ファイフォ、フィフォ、フィーフォー)First In, First Out】を取り組んでいるので、
当然ながらフェースの後尾に陳列されている商品の方が、賞味期限が長い事と言う事になります。
このFIFOの取り組みも、結構大変なんですよ。
都度商品が入荷する度に、後ろに陳列していく訳ですから。
何か良い方法は無いものなのか・・・そう呟く店頭スタッフの方々も少なくないと思います。
さて、前置きが長くなりましたが、今回はこの先入れ先出しと言われる「FIFO」についてお話させて頂きます。
FIFOには当然ながらロット管理が必須となります。
先日出荷した商品のロットを逆転して出荷ミスをしてしまい、得意先からはクレームを受け、終いには返品されるなんて事もありますよね。
このロットとは、製造ライン毎や製造日など、区分分けを行う製品単位を指しています。そのロット毎に管理を行い、FIFOを行います。
当然、得意先の方でも入荷する度にロット毎にロット管理を行い、FIFOを行います。
ロットの逆転とは、前回入荷した商品よりも古い商品が入荷する事は管理上あってはならない事なので、入荷拒否や問答無用でメーカーに返品をする事となります。
言い換えると、予め出荷元がこの出荷先には前回どのロットが出荷されていて、ロットの逆転にならないようにと把握した上で出荷しなければならないのです。
つまり、出荷元が出荷先毎に出荷するロットの特定と管理を行わなければならないのです。
食品業界では、ロット=賞味期限と区分される事が多いので、出荷先毎に出荷期限を設けた運用をされるケースが多く存在します。
また、日本の食品業界特有の商習慣「3分の1ルール」というものが存在します。
この話題はまた別の機会にお話しさせて頂きますが、製造から3分の1以内に納品、そこから3分の1以内で販売、残りの3分の1になるとメーカー返品や、B品扱いでの特売、最終的には廃棄処分となります。
世界で見ても特に日本のこの商習慣は過剰なほどの食品ロス事情として、問題視されています。
しかしながら、販売元としてはこの幾つものハードルを越えて供給し続けなければなりません。
その為には、それらを踏まえた運用をしなければなりませんが、人海戦術には限界があります。
コストばかりを気にして人海戦術を続けると属人化に繋がり、せっかく販売しても、あれよあれよとクレーム処理や対応などにスタッフは追われ、
そして処理や対応に費用までも投じる事となり、結果的にハイリスクな運用となりかねません。
そう言った経緯から、在庫管理システムの導入を検討される企業様も多いと思います。
在庫管理システムでは、そうしたロット・日付管理や出荷履歴を考慮した出荷指示、
ピッキングの際のFIFO対応、様々な運用が可能となり、属人化を防ぎ、得意先からの幾つもの要望に沿った供給が実現できます。
こうした物流システムの存在が他社との差別化の1つになり、結果的にあらゆるロスを未然に回避する事ができると考えます。
著者:モリオ
飲料メーカーで培った経験を活かし、 食の安全と物流をキーワードに執筆活動開始。