毎月の棚卸。皆さんの会社ではどこに注力して棚卸作業を行っていますか?
沢山の企業が毎月の棚卸に頭を抱えているようです。
「棚卸して実数確定まで5日もかかる」
「いくら教育しても数が合わない」
「棚卸の日でも商品が動くので、あまり意味がない」などなど・・
会社によっては「棚卸は合わなくて当たりまえ」と豪語されるところもあるようです。
ここまで開き直れればよいですが、なかなかそういったわけにもいきません。
せっかく現場の皆さんが時間をかけて登録した情報が、 意味のない数字になってしまうのだけは避けたいところです。
今回は、倉庫管理ソリューション構築この道15年の、
ベテランソリューションデザイナーの経験談から、ここだけは押さえておきたい棚卸を失敗させない為に注力するポイントを3つご紹介します。
皆さんの会社では棚卸作業は誰が実施していますか?物流倉庫の担当者の方でしょうか?
それとも社員全員でしょうか?
よく棚卸を1日で終わらせるために手が空いている社員総出で手当たり次第に棚卸をしているといった現場を見かけます。
たしかに人を多く当てれば作業は早くなりますが、これはあまり賢いやり方ではないようです。
このようなケースの多くは、責任範囲が明確になっておらず、皆それぞれ自由にカウントしている状態です。
これだとミスも多く発生しますし、棚卸の重複記録も多く発生します。
棚卸についてはしっかりと事前に担当者を決めて作業範囲と責任の範疇を明確にすることが重要です。
そしてもう一つ重要なのは2人一組で棚卸を実施するということです。多くの企業にこの提案をさせて頂くと
「そんなに人はかけれない。」とよく言われます。しかし、せっかく時間をかけて記録した棚卸の数字が正確でないと、
いくら人をかけて効率よく棚卸してみまったく意味がありません。
棚卸は効率性よりも正確性を重視することが大切です。正確性を重視すると結果として効率性もUPします。
1人がカウント係りで、もう一人が記録係です。カウント係りは数を数え大きな声ではっきりと商品と数量を記録係りに伝えます。
記録係りは商品と数量を復唱しながら棚卸を記録していきます。
正確な在庫管理の実現には正確な棚卸が不可欠です。
棚卸を行う場合、入荷、出荷を完全に止めることは難しい場合が多いと思います。
ホームセンターなどでは、年に一回2日程店を完全に閉めて棚卸を行うケースもありますが、なかなかそうはいきません。
そこでカットオフ計画が重要になってきます。
カットオフというのは、棚卸を行う際に、棚卸を行わない範囲を明確にすることです。
例えば棚卸当日に入荷したものは、棚入れはせずに、よけておく。事前に出荷することが分かっている
商品は棚卸前に棚卸からカットするよう札を貼っておく。当日荷動きが発生する商品を予め特定しておいて、
棚卸を行わないように目印をしたり、計画を立て現場に指示をしておきます。
最後に一番重要なポイントは棚卸の実施計画をしっかりと準備するということです。
棚卸の範囲や、各担当者のエリア、カットオフの計画、良品や不良品の整理の段取りなどです。
まずは基本計画をまとめます。
●棚卸の目的
●棚卸日
●棚卸時間:開始予定&終了予定
●棚卸対象品:良品・中古品・不良品
●棚卸表の作成:有・無
●棚卸金額算定法:最終仕入原価法・移動平均法
●棚卸参加人数
●棚卸責任者
続いて「作業割り当て表」を作成しましょう。
エリア別に実施責任を明確にすることが重要です。
最後に棚卸のタイムスケジュールを作成します。各作業が完了したらしっかりとチェックを付けるようにすると作業の漏れがなくなります。
正確な在庫管理の実現にはまず棚卸をしっかりと正確に運用することが重要となります。
日々の商品の動きをいくら正確に記録していたとしても、月に1回の棚卸が正確でなければ、意味がありません。
この記事がみなさまの企業の在庫管理精度向上に少しでもお役に立てれば幸いです。
著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。