会社概要
社名 | 米屋株式会社(よねやかぶしきがいしゃ) |
---|---|
資本金 | 1億円 |
本社 | 千葉県成田市上町500番地 |
創業 | 明治32年4月 |
事業内容 | ようかん、和洋菓子、缶詰(水ようかん、プリン)、カップ入り製品(水ようかん、ゼリー)などの製造・販売、流通事業(スーパーマーケット・GMS・コンビニエンスストア等流通市場への卸売)、観光センター、貸ビル、貸店 |
URL | https://www.nagomi-yoneya.co.jp/ |
米屋株式会社は明治32年(1899)の創業から成田山新勝寺の表参道で和菓子を作り続けてきた老舗だ。成田山ご本尊の不動明王遷座に携わった諸岡三郎左衛門が米屋創業者の遠祖であることから、成田山との深い結びつきと共に歴史を刻んできた。代表的な商品は創業以来の「栗羊羹」で、米屋が日本で最初に栗羊羹を考案したといわれる。そのほか、千葉県名産のピーナッツをかたどった「ぴーなっつ最中」や千葉県産牛乳を使ったミルク餡を包んだ「なごみるく」など、生菓子から焼菓子まで多彩な和菓子を製造している。成田山表参道の總本店をはじめ、直営店やインストア店舗など、多数の店舗を展開している。
「お菓子を通じて美味しさを追求し、やすらぎと豊かさのある暮らしの創造に役立つ事業を行う」が企業理念だ。本年より新たにSDGs(持続可能な開発目標)活動に取り組んでおり、フードロスの削減などを目標に実施している。
米屋の企業としての強みは、創業120年の老舗に対する社会の信頼だ。大手コンビニエンスストア企業にも信頼される食品安全マネジメントシステムの国際規格FSSC 22000認証取得工場による高品質生産体制と開発対応力、品質保証能力が高く評価されている。また、熟練の和菓子職人による高付加価値商品生産工場を有しているのも強みだ。
その一方、伝統を守ってきた老舗ゆえの課題として、新たな価値を創造する力や変化へのスピーディな対応力などを今後さらに発展させていかなくてはいけないことが挙げられる。また、成田山という一大観光地にある中、コロナ禍による航空便の減便やインバウンド客の減少により訪れる観光客が大幅に減っていることも、現在克服すべき課題として認識している。
「極上大棹羊羹 栗」 ~創業の一品~
創業者・諸岡長蔵が成田山新勝寺の精進料理である「栗羹」にヒントを得て、地元の芝栗を煉り込んだ「栗羊羹」を創製し、成田山参詣土産として販売したことに始まった、なごみの米屋を代表する羊羹です。大粒の栗を丸ごと入れて、創業以来培われた伝統の製法でじっくり煉り上げ、美しい色つやと深い味わいを引き出した羊羹です。
「ぴーなっつ最中」 ~看板商品~
風味豊かなぴーなっつの甘煮が煉り込まれた餡を、千葉の名産品「落花生」の形をした最中種に詰めました。 個包装には「ぴーちゃん」というキャラクターを描き、箱も「落花生」の形をした可愛いパッケージに仕上げており、お土産やご贈答にもおすすめの商品です。
インターストックを導入されるに至った経緯は?
これまで自動倉庫を使っていたのですが、運用開始から15年ほど経って老朽化し、倉庫設備を見直さないといけない時期にきていました。自動倉庫は庫内作業が機械化したものですが、商品をパレット単位で出し入れします。1つの商品の在庫数をたくさん持つ方式なので、少量多品種の出荷には合いません。
従来は顧客ニーズの主体がギフトだったためその方式が合っていたのですが、近年ギフトやお土産よりも個食のニーズが増えてきており、自動倉庫では間に合わなくなりました。
また消費スタイルの変化は商品の賞味期限にも影響します。ギフトは日持ちのする商品が中心ですが、個食では賞味期間が短い商品が多いことから、ジャストインタイムの製品供給と在庫削減に取り組むため、自動倉庫から固定ラックへ切り替えることを決断しました。
移行前の課題とは?
旧自動倉庫システムは複雑で、経験を積んだ作業者しか扱うことができませんでした。こうした属人化された作業を見直したいとも考えました。
また、運用開始から年数が経っており設備の交換部品もありませんでした。このようなハード・ソフト両面の懸念要因から、もしも自動倉庫が止まってしまったら…という危機感が常にありました。
数あるWMS(倉庫管理システム)の中からインターストックを選んだ理由は?
新しくWMSを選ぶにあたり最も重視したのはシステムがシンプルで誰にでも使いやすいことです。インターストックはその点にも適っていましたし、イニシャルコスト、ランニングコストが安価だったことも評価させていただきました。
決定的だったのは、実際に稼働している様子を見学したことです。当社の取引先がインターストックを導入されていたので、見学させていただいたのですが、とてもスムーズに稼働しており弊社の求めていた条件に適うことから、導入を決めました。
導入にあたり苦労された点は何でしょうか?
導入には弊社の基幹システムサーバ、DWH(データウェアハウス)サーバとインターストックの連携が必須条件で、それには細心の注意を払いました。それから、2020年4月の本稼働で導入したのですが、ちょうどコロナ禍による緊急事態宣言と重なったんです。
あれは大変でしたね。インターストックの通常の導入時には弊社のプロジェクト担当と開発、エンジニアと3名体制で現地へ赴き本稼働までご支援するのですが、今回は感染拡大防止の観点からイレギュラーな対応となり、プロジェクト担当の私1名が常駐し、他は電話でのご対応となりました。
コロナ収束まで待っていられない、覚悟を決めてやろうと思いました。
常駐して何かあったらすぐに対応してくださり、本当に心強かったです。コロナ禍という異例の状況のため、やむなくシステム設計の打ち合わせと教育指導の回数を減らした状態で本稼働に入りました。そのためシステムの動きに当社の考えと相違があったり、作業員が読み取り端末の扱い等の業務にしっかりと慣れていなくて苦労しました。
しかし、親身になって対応してくださったおかげで、制限が多い限られた状況下、約1ヶ月という非常に短い期間で正常稼働させることができました。
有田様が現場で起きた問題を正確に把握し、きちんと優先順位をつけてから私どもに投げかけていただいたので、たいへん助かりました。導入後に従来の課題はどうなりましたか?
全てクリアしました。基幹システムとの連携もうまくいき、自動倉庫では複雑で熟練者しか就けなかったオペレーションも標準化できました。ジャストインタイムの製品供給と在庫削減についても効果が出ています。導入前に1100あったパレットが現在600〜700まで削減できています。
また、インターストックに搭載されている先入れ先出し・出荷期限の設定といった機能のおかげで誤出荷がなくなりました。
導入後の課題があればお聞かせください。
私の中に“システムは止めてはいけない”という考えがあります。システムを扱い操作するのは人間ですので、操作ミスというのは可能性として起こり得ることです。
万一作業者が操作ミスをした際にもシステムを止めずに済むようなトラブル対応マニュアル、復旧マニュアルを作成したいと考えています。
今後の取組は?
見直すべきことはまだまだ沢山あります。現状をベストと考えず、出荷業務の見直しを行い作業工数の削減に取り組みます。今回製品の出荷業務にインターストックを導入しましたが、今後新たに原材料の在庫管理業務へも展開できないかと考えています。
会社全体としては、サプライチェーンマネジメントの改革を目指しています。人工知能AIや定型業務自動化RPA導入による店舗出荷予測や生産計画、物流出荷を行い、受発注事務処理の効率化を進めたいと考えます。エラーをなくし、事務作業にかかるコストを下げたいですね。
また新物流システム稼働により社全体で取り組んでいるトヨタ生産方式、ジャストインタイムによる在庫の見える化・在庫削減に一層取り組んでいきます。
インターストックは、OCRと組み合わせたソリューションで、注文書をスキャンしてOCRでデータ化しテキストファイルとして取り込むというRPAに近いことも可能です。最後に今回の取組の成功ポイントを教えてください。
当社の運用に合うシステムをご提案いただいたこと。
また、導入時に問題が発生した際の即時対応と、システム安定まで常駐してご対応いただいたことが成功ポイントだと思います。
恐縮です。今回は貴重なお話しをありがとうございました。
今回導入プロジェクトを担当し、インタビューを行った小林です。
通常はこの規模のシステムが安定稼働するには3〜6ヶ月かかります。米屋様は今回1ヶ月で安定稼働させ、目立って円滑に進められました。特筆すべき成功事例だと思います。
成功のポイントは責任者が明確にリーダーシップを発揮されたことだと思います。
現場で発生する問題に対して一緒に解決する姿勢で「やれること」「後回しにすること」「やれないこと」を明確にされ、常に問題解決の優先順位をはっきりさせて当社に投げ掛けてくださったおかげで、合理的にスピーディに対応することができました。