今回は、JUKI株式会社さんのご紹介です。
同社は1938年「東京重機製造工業組合」として発足。
工業用ミシン、職業用ミシン、家庭用ミシンの他、
産業用機器や運転中の居眠り運転警告機などを製造されている、
日本が誇る「ものづくり企業」です。
1988年に50周年を迎えられ、これを機に社名を現在のJUKI(ジューキ)に変更されました。
工業用ミシンでは世界の3分の1というトップシェアを獲得されています。
今回は、JUKIさんの物流改善事例をご紹介します。
JUKIさんの主力商品である工業用ミシンの生産拠点は、国内に2ヶ所、中国に2ヶ所の他にベトナムにあり、中国をはじめ、アジア、アメリカ、
ヨーロッパにグループ会社を展開。180ヶ国で使用されています。
倉庫はオランダにあり、日系3PL業者に委託されています。
1台あたり50~70キロあるミシンは、パレットに乗せられ、先入れ先出しで在庫管理されています。
販売に伴う物流は中国が最も多く、年間約470TEU(twenty-foot equivalentunit/1TEU=20フィートコンテナ1個)机上論になりますが、
重量で計算すると20フィートコンテナの積載量が最大で2,830キロ、50キロの工業用ミシンの場合約560台積載でき、それに470を掛けると
年間約260,000台もの需要が中国市場で起きているのです。
その他、日本や海外工場から出荷される工業用ミシンは、約1,000TEUにも昇ります。
調達物流については、国内調達は4~5割に留まって残りは海外調達となっており「MAID IN JAPAN」から「ASSEMBLED(組立) IN JAPAN」に徐々に移行しているようです。
JUKIさんでは、物流経費削減のための着目点を101ものポイントでまとめられたマニュアルがあるそうです。
多角的に物流系費を分析し、対策を練られているそうです。
また、国内物流について各地に点在していた倉庫を東部と西部の2ヵ所に統廃合、在庫管理の簡素化とリスク低減、人員整理が図られました。
最も効果の大きかったものとして、海上コンテナの導入が挙げられます。
工場の倉庫スペースがいっぱいになり、近隣の他社倉庫を借りていましたが、賃料と移動のための運送料に年間数千万かかっていたそうです。
そこで、船会社と交渉を行い、空の20フィートコンテナを借りて製品を製造後コンテナに詰め込み、倉庫代わりにする事で年間数千万が全て削減できたのです。
これに併せて梱包サイズの縮小化にも取り組まれ、10年以上かけて製品レベルで20フィートコンテナの内寸に収まる設計を行い、大型のものは分割梱包するなどして、容量を約60%も縮小されました。
物流費についても、運送会社を1社にまとめ、約20%の削減効果が得られると試算されています。
さらに、海外についても同様に拠点の統廃合、コンテナのラウンド輸送、上海スーパーエクスプレスの利用など経費や在庫削減が行えた上、メリットのある運用の導入を実施されています。
通貨の動きに左右される輸出入、日本・世界経済の動きとともにJUKIさんの新たな取り組みに注目していきたいと思います。