ユーザーが主役のシステム設計と効果的な物流DX|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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ユーザーが主役のシステム設計と効果的な物流DX

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 画像素材:PIXTOKYO/PIXTA

「運用がかなり特殊で、かつ一般的な倉庫システムについての知見がなかったので、不安でした。既存作業の一般的なものと特殊なものを分類していく中で、極力標準的な倉庫運用を行えるように特殊な仕様を最小化する点に苦労しました。」

防災事業のパイオニアである能美防災の生産技術部吉田勉氏はこう話します。所属から分かるように、吉田氏の本業は生産技術です。倉庫管理システム(WMS)の導入にあたって、システムの要件定義、設計も担当されました。物流業務をどのように改善すれば良いかを考え、より効果的なシステムの設計を私たちと一緒に進めたのです。

実際のプログラム開発は私たちITベンダー側で行い、出来上がったシステムが設計通りかどうか、吉田氏が確認します。本業のかたわら、これだけの仕事をこなすのは大変ですが、「現場目線のより良い物流システム」を追求するプロフェッショナル精神で乗り切ったのです。

2023年10月4日 執筆:東 聖也(ひがし まさや)

2023.09.05

<目次>

1.システムを利用する人が中心となってシステムを設計

2.素早く作って素早く動かす

3.セミスクラッチ型の理念でビジネスに貢献

 


1.システムを利用する人が中心となってシステムを設計

 

私たちが協力するWMS導入プロジェクトにおいて、能美防災様の事例は特異ではありません。私たちが導入しているWMSはすべて、現場の作業者や事務員などによって設計され、検証されてから導入されています。現在、私たちは「ユーザーが主役のデータドリブン物流」の実現を目指し、WMSを中核とする物流DXプロジェクトをいくつも進行中です。システムを利用する人々が中心となってシステムを設計し、私たちが大切にする「ユーザーが主役」のコンセプトを能美防災様は実践しています。

「ユーザーが主役」と言うと、それは利用者、利用部門、情報システム部門、または利用企業のどれかを指します。開発作業においては、業務改革から要件定義、画面遷移や帳票の設計まで、ユーザーが主導で行います。ここで重要なのは、できるだけベンダー側の都合を押し付けず、ユーザーのニーズに合わせることです。
カスタマイズのプログラムをユーザー側で内製する場合もあれば、能美防災様のように、私たちITベンダーが担当する場合もあります。私たちとユーザーがOneTeamでプログラム開発を行うこともあります。

利用者がシステムの設計に積極的に関与することは当然であり、「ユーザーが主役」という言葉をあえて使うのは不自然と思われるかもしれません。しかし、現実を見ると、現場が不便なシステムを我慢していたり、カスタマイズしようとしてもベンダー企業に断られてしまったり、データを扱おうにも自社のデータを自由に触ることができないなど、システムを使いこなすどころか、システムに振り回される事例が少なくありません。

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2.素早く作って素早く動かす

 

今や、デジタル化がどのような企業にとっても最重要戦略となっています。企業や組織はシステム開発のやり方を変え、主体性を取り戻し、事業の成長に貢献するシステムを妥協することなく追求しなければならないと私たちは考えています。あらゆる変化に即応してビジネスに貢献し続けるシステムを実現するために、次の三点が不可欠になります。

1.自分たちで設計する
2.素早く作って素早く動かす
3.データを活用する人を育てる

長い月日を費やしてシステムを開発していては、突然の変化に対応できません。システムをビジネスに活かすために使わなければなりませんが、システムに使われるようになってしまいます。そうならないために、システムを内製したり、素早くアプリケーションを実装できる開発基盤を整備して、システムの活用度を高めていく必要があります。今、アジャイル(俊敏)な経営が求められており、それに応じてシステムもアジャイルに整備しなければなりません。そのために、ユーザー企業は自分でシステムを素早く作る力を取り戻す必要があります。ビジネスを手がける当事者がシステムを設計できるように、私たちはその手助けをしています。

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3.セミスクラッチ型の理念でビジネスに貢献

 

システムは本稼働してからがプロジェクトの始まりです。動かした後に、自社のビジネスに合わせて素早く改修したり、蓄積されたデータをビジネスに活かす努力をしなければなりません。それには、ビジネスを一番分かっているユーザー自ら開発して修正するのが一番良いのです。しかし、システム開発力を100%自社内に確保することはなかなか難しいのが実状です。ユーザー企業は情報システムが専門ではありませんし、特に中小企業となれば情報システム部門すらない場合も多いでしょう。

そのような場合の理想は、ユーザーが主体となって、ITベンダーと一緒にシステムを開発することです。いわゆる「セミスクラッチ型」です。この方法であれば、利用者の考えもシステムに実装しやすいし、ベンダーに完全に依存することなく、ベンダーの専門知識やスキルを有効活用することができます。完全内製してコストを下げたものの、まともに動かないシステムができてしまっては本末転倒です。

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