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<目次>
単品管理、無在庫経営が進展し、食品等の鮮度管理・期限管理が厳しくなったことにより、多頻度小口配送が当たり前となりました。したがって、取引先(量販店、CVS等)からの受注から配送までのリードタイムの短縮の要請はとても厳しいものとなりました。そこで、物流センターでは、受注から配送までのタイムスケジュールを作成する必要があります。このタイムスケジュールは、取引先の業種、業態にあわせて作られなければなりません。例えば、取引先が大手小売店であれば、時間指定配送で、かつできるだけ遅い時間まで発注を受け付けてもらうことをもとめています。
また、CVSのリードタイムは、12時間~24時間以内が求められるため、タイムスケジュールを作成する上で、事前に考慮が必要です。
取引先の要望に出来るだけ応えられるように、タイムスケジュールを作成しましょう。
下図のタイムスケジュールは、とある日用雑貨を扱う小売店の物流センターのタイムスケジュールです。受注の締め切りを1日2回として、2シフト体制で配送していることが分かります。午前便は前日の午後2時までにオンライン発注、午後3時より6時までにピッキング・検品して、午後7時までに出庫口にルート別・店別に配置し、翌朝午前6時から7時までに積み込みを行い、そこから配送スタートとなります。
細かな配送面への配慮と、注文時間による配送時間の確定は、顧客の安心感を生み、物流センターへの信頼を高めることにつながります。
2.物流センター運営に必要最低限のしくみを準備する
物流センターを効率良く、高い品質で運営するには、最低限必要なしくみがあります。
(1)オンライン受注のしくみ
オンライン受注に対応する情報システムの構築は不可欠です。メールやFAXで大口の出荷依頼を受け取っていたのでは、物流業務が回りません。
受注から配送までのリードタイム短縮には、受注受付(出荷指示受付)の方法がオンラインであることが大前提となります。
取引先が大手の流通小売業であれば、VANを介してEOSを受注するものも混在します。このオンライン受注システムを基幹として、そこから先の在庫管理システム、検品システム、出荷配送システムといったサブシステムを構築してくことになります。
BtoB物流であれば、EDIの構築、BtoC物流であればオンラインストアから受注データを作成するオーダーシステムを導入する必要があります。
(2)欠品を起こさない在庫管理のしくみ
オンライン受発注では、納入業者の在庫の有無に関係なく発注データがくる場合があるため、なるべく欠品を起こさないようにする必要があります。
欠品が発生すれば、取引先との調整など、無駄な作業が物流側でも発生します。取引先の方で在庫を確認した上で発注される場合は問題ありませんが、物流側でその機能を求められる場合もあるため、在庫を過不足なく管理するための仕組みが必要です。ただ在庫を多く持てば良いということではありませんので、必要最小限の在庫で欠品を起こさないようにするために、安全在庫や発注点を正しく運用することが重要になります。
(3)バラ単位の出荷作業の標準化
受注から配送までのタイムスケジュールを組み立てる上で、一番のボトルネックとなるのが、バラ単位の出荷作業です。パレット単位、ケース単位のみの出荷であれば、比較的作業もシンプルですが、バラ単位の出荷となると話は別です。ピッキング時の取り違いチェック、ピッキング後の内容検品、積み込み時の荷合わせチェックなどが必要になります。バラ単位の出荷品質が物流センターの品質を左右すると言っても過言ではありませんので、この点については、必要な作業を洗い出し、システム化できる点は素早くシステムを導入することで、作業の標準化を図りましょう。
3.作業タイムスケジュール・人員配置計画
受注から配送までのセンター全体の大きな流れのスケジュールが作成出来たら、続いて物流センターの各作業工程ごとのタイムスケジュールの作成をします。
社員、パート・アルバイトの特性を踏まえて、無駄なく効率的に作業できる時間配置を組み立てます。そのためには、正社員とパート・アルバイトを上手く組み合わせてローテーションを考えます。事前に作業内容を把握して標準化しておくのが基本です。
主婦パートの場合は、午前10時から午後3時、4時頃が働きやすい時間帯です。朝、主人や子供を送りだして一段落するのが10時頃で、夕方は夕食の準備を考えると3時、4時頃となります。パートの時間帯は大きく3つに分けることができ、パートの労働力を午前と午後にわけてマルチ活用するのが基本です。
多くの物流センターでは、ピッキングから検品までのほとんどの作業を主婦のパートが行っています。主婦が意欲を持って気持ちよく働けるような環境づくりが物流センターの効率化には欠かせません。
学生アルバイトであれば、夕方5時頃からであれば勤務可能でしょう。こうした働きやすい時間帯を面接の際によく聞き出して、無理のないローテーションを組み立てましょう。ローテーションの前提は物流作業毎のタイムスケジュールとなります。このタイムスケジュールに基づいて、作業標準時間を設定して、正社員とパート・アルバイトを組み合わせていきます。この標準作業がマニュアル化されていれば、パート、アルバイトのローテーションも可能になります。
そうなれば、一つの作業ではなく、複数の作業を行えるようになるので、作業のマンネリ化を防ぎ、定着率の向上にもつながります。
各作業工程毎に、必要な人員数と作業時間も表します。フォーマットにとくに決まりはありませんが、どの工程をいつ、何人で、どれくらい作業するのかが最低限一目で分かるように整理しましょう。これによって、一つ一つの工程の進捗が把握できるようになるため、先に作成したセンター全体のタイムスケジュールを予定通り運用することが可能になります。またこのスケジュールから各作業者のKPIを設定し、PDCAを回しながら改善を進めることで、センター全体の作業効率を向上させることができるのです。