デジタル技術が生み出すスピード経営 ~オープン哲学~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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デジタル技術が生み出すスピード経営 ~オープン哲学~

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 画像素材:metamorworks /PIXTA

<目次>

1.DHLサプライチェーンによるオープンシステム

2.オープン哲学がデジタル活用の未来を決める

3.オープン戦略は企業トップでなければ決断できない


1.DHLサプライチェーンによるオープンシステム

 

DHLサプライチェーン(DSC)は、売上高566億ユーロのドイツポストDHLグループ傘下の物流プロバイダーです。DSCは2019年から、輸送業務の全プロセスを可視化して荷主に情報への自由なアクセスを提供する「コネクテッド・コントロール・タワー(CCT)」というサービスをスタートしました。

エンドツーエンドの可視性を備え、標準化かつ一元化された輸送サービスの提供を目指し、オーダー管理、プランニング、車両管理、追跡から決済やレポート等の事務業務に至るまで幅広い輸送サービスを一元化し、最適に運用することにより、プロセスの全ての段階において荷主が必要な情報にアクセスし、サプライチェーンの効果的な意思決定を行えるようになります。物流の各過程を完全に可視化することで、荷主は倉庫作業から輸送まで全体を見渡して状況を把握し、パフォーマンス監視ツールによりトラッキングされているKPIを確認することができます。さらに、ビッグデータ分析に基づくプロセスやコストの最適化といった取り組みを実施し、高品質な物流サービスの持続性と効率性を確保することで、DSC独自の輸送価値を提供しています。

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(出典:DSCのプレスリリースより)


2.オープン哲学がデジタル活用の未来を決める

 

オープンデータ、オープンソースといったオープンの哲学が世界的に拡がっています。国も企業も自分たちのデータやテクノロジーの構造を隠さずに公開し、積極的にシェアすることで結果としてその技術が実り合う発展を遂げ、自分たちのシステムもよりよいものになるという考え方が、欧米やイノベーションの現場では常識になりつつあります。

しかし、日本のシステム開発の現場は、オープンの哲学からは程遠いのが実状です。なぜ日本ではオープンに対する動きが欧米に比べて遅れているのでしょうか。日本は最初から収益を求める傾向が強いためです。基本的にゼロリスクで何事も進めたいと考えます。オープンにすることで自社が損をするのではないか、自分たちで管理出来なくなるのではないか、という風に不安で仕方がないのです。デジタル技術を活用してDXを実現するには、データやシステムをオープンにすることや、アジャイル開発による概念実証(概念や理論、原理、アイディアの実証)を目的としたプロジェクトの推進など、これまでとは全く違ったアプローチが必要になります。例えば、自社のデータを公開するということになれば、データの公開を可能な形に加工するデータクレンジングを検討する必要があります。膨大な量のデータを人間が確認していては間に合わないので、ここにはAIを活用しようといった形で進んでいきます。

また、アジャイル開発によって、物流の複雑な問題に対して、AIを活用するということも増えてきています。しかし、AIも完全ではないので、失敗はあります。しかし、失敗は許さないという基本スタンスでプロジェクトに挑んでしまします。だから何も進みません。AIも100%ではないよね、となった瞬間に前に進まなくなってしまうのです。しかし、現実には人間の方が手間もかかっていて、ミスの可能性も沢山あるにも関わらず、はるかにAIの方が優れているにも関わらず、100%でなければ採用できないといった判断をしてしまうのです。なぜ人間がミスするのはよくて、AIだとリスクを恐れるのでしょうか。日本のシステム開発の現場では、人間のミスは仕方ない、システムのミスは許されないといった理不尽で誤った判断が下されてしまっています。

こうしたことをは、やはり本当の意味での危機感を持っていないということだと思います。だからついつい、これまで通りのやり方を良しとしてしまうのです。日本が世界のデジタル社会から取り残されて、経済的に落ち込み、国民全体が飢えるというような時代になって初めて、危機感を持って行動したのでは、あまりにも遅すぎます。今の社会は、変わらないことの方がよほど危険です。ゼロリスクでこのまま変わらずにいれば、ずるずると日本は世界から取り残されてしまうことになります。


3.オープン戦略は企業トップでなければ決断できない

 

これからのシステム開発は、決定権をもつ経営トップこそが、システムやデジタルの知識をもち、積極的に関わらなければ効果的なDXは実現できないと肝に銘じてください。企業のオープン戦略で重要なのは、全体の流れの中でのイニシアチブを取るために、オープンにすべき部分とクローズにすべき部分の見極めがとても重要です。こうした見極めは経営トップでないと判断できないとても重要な問題にも関わらず、システムのことだから、情報システム部に任せておこうとやってしまいます。データ戦略は企業の最重要戦略であるにも関わらず、それを知ってか知らずかこのような進め方をしている企業がとても多いのです。これでは、会社の未来を左右するような大規模なオープン戦略やDXが実行できるはずがありません。経営トップがプログラムの細かい知識までを勉強する必要ありませんが、このデジタル化社会の勘所のようなものを理解していない人たちが意思決定層を占めているという組織は危険です。そうした組織は、早いタイミングで現状の経営層の刷新を図るべきだと思います。費用対効果を最優先する、ゼロリスクでシステム開発を進める、デジタル戦略をこれまでのIT導入と同じで考えてしまうといったことが意思決定の際に頻発していないか自社をチェックしてみてください。

ITの進歩やデータ分析手法の高度化、ストレージ(外部記憶装置)の低コスト化などで収集、分析、蓄積が可能になり、ビッグデータという情報資産が多くの企業や産業で利用されるようになりました。これまで見えなかった相関関係を明らかにし、新たな製品や市場を創り出して顧客満足度を高めることがビッグデータの本質です。デジタル化社会において、データ分析能力は企業の競争力強化に不可欠です。ビッグデータの利用が先行しているのはやはり小売業です。EC大手は利用者のサイト閲覧状況や位置情報、商品の購買履歴などのデータを組み合わせて、パーソナライズされた商品やサービスをレコメンド(推奨)することで収益を拡大しています。物流業界で言えば、走行車両のセンサーから毎日集めたデータをもとに最適なルートをドライバーに案内したり、運行上注意が必要なエリアを割り出して警告したりするサービスが利用されています。

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物流業界にとっては、いかに効率的にモノを運ぶかが至上命題となっています。しかし、1社単独での効率化はすでに手詰まりの状態であり、今後はいかに荷主や同業者とつながって一緒に効率化を進めていくかを検討しなければなりません。そのためには、自社の中にオープン哲学を醸成させて、これから5年先、10年先のオープン戦略を検討しなければなりません。「どこをオープンにして、どこで主導権を握るのか?」この検討や決断は経営トップにしか出来ない仕事なのです。

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