いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~ESG経営と物流~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~ESG経営と物流~

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 画像素材:metamorworks/PIXTA

<目次>

1.注目を集めるESG経営とは?

2.ESGは強力な競争戦略ツール

3.ESGを推進することをビジネスにする

 


1.注目を集めるESG経営とは?

 

環境問題への対応、ダイバーシティ(多様性)の推進、SDGs(持続可能な開発目標)などの環境汚染や社会的規範に関連するワードをビジネスの場でも目にする機会が増えてきました。その中でいま注目を集めているのが「ESG経営」という経営戦略です。ESG経営とは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(管理体制)」の頭文字をとった略語で、環境問題や社会問題の解決に貢献することを重視した経営スタイルのことを指します。

運用総額100兆ドルを超える世界の投資マネーがESG経営に注目しています。世界持続的投資連合(GSIA)によると、20年の世界のESG投資額は10年比で15%増の35.3兆ドルに達しました。企業のESGへの取り組みはNPOの英CDPをはじめとする第三者機関によって評価されます。それを参考に機関投資家や金融機関は投資や融資の判断をします。

ESG経営は大手企業よりも、むしろ中小企業にとって切実な問題です。目の前には「2024年問題」への対応もあります。ESGは上場企業からすれば、資金調達に直結するテーマなので関心が高いですが、非上場や中小企業にとっては、関心が薄いようです。また物流企業よりも荷主企業の方が関心が高いといった傾向も見られます。本稿を読まれている読者の皆様も正直ESG経営に取り組んでいる余裕などないというのが本音ではないでしょうか。

しかし、ESG経営を武器として生かせるのは、大手企業や荷主企業よりも、中小の物流企業だと考えます。短期的な業績に振り回されることなく継続的にESGに取り組むことで、新たな顧客や取引先の開拓につながり、中長期的な企業成長を可能にします。

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2.ESGは強力な競争戦略ツール

 

いまESGは国連のカンファレンスでも、世界の主要会議でも注目されています。しかし、自分には関係ないと思っている経営者が非常に多いです。つまりこれは一気に他社と差別化を図るチャンスです。2025年に向けて大成功できるチャンスなのです。米国の主要ベンチャーキャピタルを対象に実施したアンケートによると、「投資対象となるスタートアップ企業において、ESGが今後の企業活動にさらなる機会となるかどうか」について80%以上が機会となり得ると回答しました。大手企業や上場企業だけではなく、スタートアップの段階でESGはすごく重要だという考えがグローバルでは浸透している証拠です。ESG経営に取り組んでいるスタートアップにしか投資しないといったベンチャーキャピタルもあるくらいです。しかし、日本ではESGやSDGs関連のセミナーは空席が目立ちます。コロナのせいであれば良いのですが・・・。いずれにしても、企業リーダーは、業界や規模に関係なく、この分野に関して、感度、アンテナ、センスを磨かなければなりません。

少し前まではESGやサステナビリティに対する投資は低リターンとして見られていました。しかし、2016年~2021年の間(コロナの前から)、米国のこの分野への投資のおよそ8割近くが高いリターンを獲得しているというデータが出ています。ESGは株式公開してから、もしくは企業が大きく成長してからDNAを変えるのではなく、小さな段階でESGを実装させることで、よりスケーラブル、かつ持続可能性を促せるのがこのツールではないかと考えています。企業はビジネス全体の戦略にESGを組み込むことでより高い競争力を手にすることができます。今後ESGムーブメントが起きるのではないでしょうか。よりエコノミックなリターンが大きくなることが見込めます。

ESGやSDGsはやらなければならない制約条件といった感覚で捉えている経営者が多いです。しかし、それは非常に勿体ない考え方です。世界ではESGやSDGsを競争戦略上の重要なツールとして位置付けています。このツールを使い倒して事業を大きくするんだという感覚を持っているのです。ESGやSDGsに積極的に取り組んでいる欧米の企業を見ても、「みんなで地球をより良くしていこう」という側面よりも、それをビジネス戦略に上手く組み込んで、市場で自社を優位にするための重要な戦略として上手に活用しています。これはビジネスの戦いのツールとして利用されているということだと思います。それが結果として地球のためになるという観点からみると、このツールが制約条件や守らなければならない法律などではなく、企業を持続的に成長させて、競争力を高めるための重要なツールだということが分かります。日本の企業リーダーもこのツールを戦略として生かさなければ世界を相手に戦えません。

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今後はESGのフロントランナーがビジネスでも良いパフォーマンスを出すようになるでしょう。ESGは社会的な側面とビジネス的な側面があることを理解した上で、これに取り組むことが出来れば真のイノベーションが生まれます。物流におけるカーボンニュートラルや2024年問題への対応は、真剣に取り組めば取り組むほど様々な課題が生まれます。しかし、その課題に取り組むことが重要です。「地球をみんなで守ろう」という綺麗ごとではなく、そこにビジネスに活かせる真のイノベーションが生まれるチャンスが潜んでいるのです。今後はどういったところに投資が集まるでしょうか?サステナビリティネイティブ、デジタルネイティブといったところにお金が集まっていきます。それが最優先になっていくからです。


3.ESGを推進することをビジネスにする

 

最後に、もう1つ重要なことをお伝えします。それは、物流においてESGの何かを推進することをビジネスにすることが有効だということです。物流においては、サプライチェーン排出量の開示が第三者機関から高評価を得るための必要条件の一つになります。世界各国の環境規制は年々強化され、排出量の算定開示基準も厳格さを増しています。ESG経営やカーボンニュートラルといった動きを物流企業としてどう捉えていくべきかという問題意識を持つことが大切です。 物流に携わる経営者の多くは日本が世界に約束した「2050年カーボンニュートラル」に自社の経営の歩調を合わせることを検討し始めていると思います。自社の物流システムや倉庫管理システム(WMS)からCO2排出量の算出に必要な実績データを収集し、温暖化対策法や省エネ法に準拠した算出方法でモニタリングするといった仕組み作りを始めましょう。

荷主企業からすれば、その算定や削減は物流企業の協力なしには実現出来ません。物流企業にとって、サプライチェーン排出量の見える化と削減は社会的使命であり、3PLの大きなビジネスチャンスがそこにあります。欧米では国際インテグレーターやメガフォワーダーが荷主向けにCO2排出量をレポートするシステムをサービスとして提供しています。自社に物流を任せてくれればカーボンニュートラルが推進されるということを口で説明するだけではなく、ITやデジタルツールを駆使して数字で見える化するのです。今後はどの指標をグローバルな指標にしていくかがビジネス上の戦いになります。自分達のサービスがどれくらいその領域に貢献するかを見える化するということが重要なのです。それを市場のスタンダードにし、客観的な見える化の仕組みを作り他社と比較するところに明確なポジショニングの戦略を見い出して頂ければと思います。

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