いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~物流+IoT~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~物流+IoT~

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 画像素材:metamorworks/PIXTA

<目次>

1.Iotと物流は相性が最も良い

2.EnOseanとELTRESによる技術的課題の解決

3.計り知れないIoTの真のインパクト

 


1.IoTと物流は相性が最も良い

 

物流はIT活用が遅れていて、かつ効果を得やすい事業領域です。総務省が公表した「ビッグデータの流通量の推計及びビッグデータの活用実態に関する調査研究」の資料を見てみると、データ活用企業の中で効果があった企業の割合が最も高かったのは、物流領域でした(下図)。「モノのインターネット(IoT)」についても同様で、モノの動きと情報が完全に一致することができれば、究極の物流情報システムが実現できるでしょう。在庫は誰もが利用可能な情報に置き換えられ、トラックや倉庫などの物流リソースの稼働率は限界まで引き上げることも可能になるでしょう。物流におけるIoTについては、国内の有力メーカーや大手チェーンストア、3PL事業者などが次々に導入を進めています。

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今後は益々物流でIoTが本格化します。ビッグデータがシステムに流れ込んで、そのデータを上手く活用する企業が勝ち組に回ります。すでに国内の先進ユーザーは着々と開発・導入を進めており、事業拡大を支える原動力として基盤構築に取り組んでいます。米国のシスコシステムズのジョン・チェンバース会長は2025年までに5千億個のデバイスがインターネットにつながるようになると予測しています。さらに同氏は今後10年で、今日存在する企業の40%が、デジタル技術の進化についていけずに時代から取り残されることになると予測しています。手入力からバーコード、RFIDへと進化してきた自動認識技術が完成し、モノの動きを完全にリアルタイムで把握できるようになる時代がやってきます。今回は経営者が知っておくべき、IoTの最新情報に触れながら、物流+IoTの可能性について考えてみたいと思います。


2.EnOceanとELTRESによる技術的課題の解決

 

「モノのインターネット」という言葉は1995年、マサチューセッツ工科大学(MIT)オートIDセンターの創立者の一人であるケヴィン・アシュトンによって造られました。
しかし、その後何年もIoTが実現されることはありませんでした。当時はまだモノに組み込まれるセンサーのコストや長時間駆動させるための電源の問題があり、技術的な点で多くの問題がありました。しかし近年その辺りの技術は急速に進展し、多くの新しい技術が開発されています。

EnOceanという通信規格がその一つです。特徴は主に2つあります。一つ目は低消費電力という点です。消費電力が少ないため、コイン電池一つで約5年駆動させることができます。そのためセンサー設置後の電池の交換作業の手間や、ランニングコストの負担を軽減することが可能です。二つ目の特徴は、回り込み特性が良いという点です。送信周波数は928.35MHzを利用しており、普段私たちが利用するWi-FiやBluetoothとは周波数帯が異なるので、周辺機器との干渉が少ない点も大きなメリットです。ただし、通信距離については、数十メートルといった限られたエリアにしか電波が飛びません。そこでELTRES通信と組み合わせて利用することになります。ELTRES通信は見通し100km以上という広範囲の通信距離をカバーしており、また時速100キロの高速移動体にも対応しているため、センサー端末と組み合わることで多くの利用用途が考えられます。このEnOceanとELTRESを利用したIoTソリューションは今後物流業界でも多くのシーンで利用されるようになるでしょう。そのいくつかを簡単にご紹介します。

1.温度センサー

トラックで輸送する食材や飲料の温度監視の見える化で利用されます。食材をはじめとした温度管理が必要な場所へセンサーを設置します。またどのトラックがどこを走行しており、何度になっているのかという情報を遠隔監視することが可能になります。また数分単位(およそ1~3分間隔)で温度データを記録として残すこともできるので、トレーサビリティの観点でも有効です。温度情報のリアルタイム監視によって、大切な商品を常に見守り続けることができますし、物流事業者としては、食品を扱う荷主企業に対して、強力なセールスアイテムとなります。

2.Co2センサー

最近は感染症の予防として換気への意識が強くなっているので、Co2濃度を知ることの重要性は高まっています。同時に温度や湿度を計測することもできるので、倉庫内の室内環境の監視目的として利用することができます。空気の汚れを見える化するセンサーもあります。排気ガスやほこり、黄砂、タバコの煙などを検知して空気のクリーン度を見える化させることができます。

3.熱中症指数センサー

熱中症指数を測定してくれるセンサーで、熱中症対策として利用できます。熱中症指数が高い場合、休憩を多くしたり、水分補給を促すなどしたりして、作業者の安全を確保することができます。

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3.計り知れないIoTの真のインパクト

 

グローバルに目を向けると、IoTを使用したロジスティクス業界向けの”コネクテッドエコシステム”の構築が進んでいます。ジェレミー・リフキン著「限界費用ゼロ社会」の中で描かれている「モノのインターネットによる共有型経済(シェア社会)」を我先に実現しようと各国の企業が凌ぎを削っています。本書では、IoTの真のインパクトについて触れています。

~経済が発展した国々の各人が、自宅や車庫、自動車、オフィス、電動歯ブラシに電子パスなど、インターネットにつながるモノを1000個~5000個持つようになり、やがてインターネット・オブ・エブリシング(万物のインターネット)が誕生すると、コスト削減と売上で14兆4000億ドルを生むことになる~

筆者は、IoTの実装は、製造や運輸などの資産集約型産業で比較的スムーズに導入が進むと考えています。静止していても移動していても、これらの資産はインターネット接続されたエコシステムの一部になり、相互作用して重要な情報を共有できます。トラックや船舶などの輸送車両は移動可能な資産であり、IoTネットワークの重要な一要素になります。IoTはロジスティクスおよび輸送業界に長期的に大きな変革を生み出すでしょう。「モノのインターネット」という用語が生まれる前から、物流業界ではリソースが接続された相互作用を生み出すシステムが研究されてきました。ロジスティクス分野のモノのインターネットは、そうした過去の研究成果とも親和性が高く、高度な機能と監視ソリューションで業界を進化させていくことができるでしょう。

グローバルなコネクテッドマーケットも急速に成長しています。2016年の市場の世界価値は100億4000万ドルで、2021年末までに時価総額は413億ドルに達すると予想されています。累積年間成長率は32%を超えます。ロジスティクスにおけるIoTの未来は非常に明るいです。その早期実装により、各企業におけるロジスティクスビジネスは高い成果を得ることができるでしょう。次回は、ロジスティクス業界でのIoTアプリケーションについて、もう少し詳しくご紹介したいと思います。

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