実践!『小売業 オムニチャネル』が倉庫管理システム(WMS)導入を成功させるポイント|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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実践!『小売業 オムニチャネル』が倉庫管理システム(WMS)導入を成功させるポイント

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画像素材:SasinP /PIXTA

<目次>

1.オムニチャネル化はロジスティクスの刷新を迫る

2.オーダーマネジメント機能で利益を最大化

3.店頭在庫をECで活用する際のハードル

4.おわりに

 


1.オムニチャネル化はロジスティクスの刷新を迫る

 

これまでECに積極的ではなく店舗で勝負をしていた小売業が、続々とECを強化しています。
EC市場に競合がひしめく中、すでに機は熟しているように感じますが、後発でECに参入して勝機はあるのでしょうか。

ネットと店舗の壁を取り払うオムニチャネル化はその勝機を掴む鍵をとなりますが、最終的には物流デジタル化が勝負
になります。小売業はデジタル化にどう対応すべきでしょうか。リアル店舗とネットをはじめとする全てのチャネルを
融合するというオムニチャネルでは、買い物の利便性を飛躍的に高めることができると期待されています。

世界のEC市場は依然として成長を続けていますが、その成長スペースは今後鈍化していくことが予想されており、
成熟化の兆しが見え始めています。長期的にも先進国のEC化率は4割程度で頭打ちになるとみられています。
そう考えると実店舗は今後も販売チャネルの中心的な存在であり続けるでしょう。

実店舗を保有するオムニチャネルでは、ECサイトをカタログ代わりに使います。狭い店舗では店頭に陳列できる在庫
の数は限られています。そこでECサイトで色のバリエーションやコーディネートのイメージを確認し、店舗でサイズ感
や質感を確認して、買い物をすることが出来ます。

顧客への販売チャネルが実店舗のみというシングルチャネルの時代から比べると物流の仕組みも一気に複雑化しています。
店頭在庫をEC用にも活用し、BtoB向けに設計した庫内作業にピース機能を付加する必要があります。
また販売チャネルが多様化し、ストックポイント(注文を在庫に引き当て出荷するポイント)や配送方法がマルチ化し、
日を追うごとに新しい選択肢が生まれています。

その中から顧客のニーズに最も適し、かつコストパフォーマンスの高いフルフィルメントを選択し、実行する必要があります。
その為には在庫の配分と引き当てを最適化するITツールが不可欠となります。

 


2.オーダーマネジメント機能で利益を最大化

 

オムニチャネル化を支えるWMSに求められる機能として、オーダーマネジメント機能があげられます。オーダーマネジメント機能
とは、オーダーに対して、在庫のコントロールとフルフィルメントの実行(出荷手配)を行うものです。下図が示す通り、顧客の
オーダーに対して、倉庫や店舗の在庫を一元管理し、最適な在庫を引当てして配送コストの最も安い配送方法を選択し実行します。

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従来は、コストとして考えられていたオーダーに対する「出荷手配業務」ですが、ストックポイントが分散し、多様な配送方法
が選択できる現在では、競争優位の手段に位置付けが変わりました。

オーダーマネジメントによって、企業は以下の4つの戦略要件を同時に手にすることが可能になります。

1.収益成長

従来のフルフィルメントの仕組みでは、オンラインによるオーダーに対してDC(在庫型倉庫)に在庫が無い場合、欠品扱いとなり、
販売機会損失になっていました。しかし、オーダーマネジメントでは、DCに限らず店舗や入荷予定のデータを拡大したネット
ワーク在庫として扱うことで、利用可能な在庫を増やし、全体の在庫量を増やさずに欠品を最小限に抑えることが可能になります。
これによって企業の収益性の向上に貢献できます。

2.サービス迅速化

オンラインから受けたオーダーに対して、どのストックポイントを選択して、どのような方法で顧客に届けるかの選択次第で、
フルフィルメントのスピードとコストは変わってきます。シングルチャネルの時代には選択肢が少ないため、あまり考える必要が
ありませんでしたが、オムニチャネル時代にはそこが大きな差別化のポイントになります。

顧客ニーズも多様化しています。例えば、翌日商品が届くよりも、3日後でもいいから配送料を安くして欲しいといったニーズ
もあります。このような顧客のニーズを満足させつつ、最もコストの安いオプションを選択することでサービスを迅速化できます。

3.営業利益最大化

オーダーマネジメント機能を活用することで、オムニチャネル企業が最も投資対効果を期待できる戦略領域です。例えば、従来は
2つに分けて配送していた注文を1つにまとめて配送すれば、実質コストは半分になります。3つを一つにすれば3分の1です。
これだけでも支払い物流費率が高いECにとっては決定的な差別化が図れます。

またオンラインで受けたオーダーに対して、その商品の売れ行きが良くない店舗に優先的に引き当てることで廃棄ロスや値引き
販売を防止できます。このように適切な在庫に自動的に引き当てを行うことで、在庫ロスを最小限にし、利益を最大化出来ます。

4.設備稼働率最大化

人材確保が困難ないま、各倉庫や店舗のキャパシティには波があります。人手に余裕のある倉庫があればそこを優先して出荷
手配をかけることで、アセット全体の回転率を最大化することが可能になります。

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3.店頭在庫をECで活用する際のハードル

 

商品を出荷したり返品を受けたりする場所はこれまで物流センターだけでしたが、それが現在では複雑化しています。フルフィル
メントのパターンが増えて、ストックポイントが分散したことで、在庫の統合管理があらためて課題として浮き彫りになっています。

大都市の中心部に大型の旗艦店を展開するヨドバシカメラは、豊富な店舗在庫を使って店舗周辺エリアの超スピード配送や、
注文から30分以内の店頭受け取りを保証するといったサービスを行っています。このように店頭在庫をECに利用するやり方は日本
でもかなり増えてきました。特に家具や家電などは進んでおり、各社のウェブサイトでは店内にある在庫を予約することが出来ます。
ちなみに米国では、店頭の在庫をオンライン注文に引き当てる仕組みは日本よりも圧倒的に進んでいます。

物流センターの在庫をEC用として利用するのはそれほど難しくはありませんが、店頭在庫を利用するとなると一気にハードルが
高くなります。何故なら店頭在庫は理論在庫と実在庫の差が物流センターよりも大きいからです。

一般的に物流センターの在庫差異率が3~5%なのに対して、店頭在庫の差異率は30%とおよそ10倍に跳ね上がります。物流センター
では、商品が棚からピックアップされた瞬間に理論在庫が落ちますが、店頭の在庫は客が商品を買い物かごに入れている間は
理論在庫はそのままです。また購入せずに別の棚に戻したり、盗難など物流センターとは異なる様々な事情によって在庫精度は
低下します。

ECからのオーダーに対して店頭在庫を引き当てて欠品した場合のダメージは通常の店頭欠品とは比較にならないほど深刻です。
店頭であれば顧客も「仕方ない」であきらめてもらえますが、ECの場合はピッキングする段階で初めて欠品したことに気付くので、
顧客への連絡は遅れますし、顧客側も「在庫があるから注文したのに」とクレームになり、ロイヤリティの低下は免れません。

店頭在庫の共有化は在庫精度を100%として設計した仕組みでは上手くいきません。在庫精度を70%程度で考えて、差分は安全在庫
の水準値を上げることで対応せざるを得ないでしょう。

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4.おわりに

 

オムニチャネル経営における差別化の鍵は物流のパーソナライズ化です。デジタル技術を使って複数のチャネルを融合して顧客
との接点を濃密化し、関係性を深めていく必要があります。オムニチャネル化が進む一方で、その効果を十分に発揮できている
企業は多くありません。オムニチャネル企業がWMSという実行系システムを導入する過程においては、オーダーマネジメント機能
は不可欠のソリューションとなるでしょう。その導入準備に今すぐ取りかかる必要があります。

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