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*** 日本の商売の原点は商人(あきんど) ***
「商人」という言葉は、平安時代から存在していました。その証拠に紫式部が書いた「源氏物語」にも商人が登場します。
日本の経済史において日本三大商人と言えば、近江商人、大坂商人、伊勢商人です。
現代のビジネスにおいても、近江商人の経営哲学である「三方よし」が広く知られていますね。
近年はインターネットによるオンライン取引が発展し、製造元であるメーカーが顧客と直接取引ができる時代になりました。
これは、メーカーと顧客の双方がインターネットという巨大なプラットフォームを出会いの場として利用することで実現可能な取引形態です。
これまで、卸売業者や小売業者が担ってきた役割を、インターネットで代替するビジネスモデルです。
例えば、農家や漁師が育てた野菜、獲った魚を自分たちで販促するとなると、生産活動に専念することができません。
また、消費者の方も、各地にある農家や漁師のお宅を訪ねて欲しい商品を購入するとなるとかなり大変です。
つまり、生産者・消費者の双方でお互いニーズがマッチする相手を探し合わないといけないため、手間や負担が増えるのです。
そこで、生産者と消費者の間に商人が仲介役として生まれたのです。
商人は、生産者が持っている野菜や魚を欲しがっている消費者に場を提供することで集客してくれます。
本来、生産者が負担しなければならなかった販促活動を代行してくれるので、生産者側は本業に専念できるのです。
そして、消費者側も自分の足で各地の農家や漁師を探し回る必要がないため、欲しい商品を欲しいときに簡単に手に入れることが可能になります。
このようにして商人は、沢山の生産者と無数の消費者の仲介をすることで、経済の発展に寄与してきたのです。
しかし、経済発展とともに生産者と商人が増えて、商品や消費者のニーズも多様化してくると、今度は生産者と商人を仲介する業態が自然発生的に生まれたのです。
それが卸売業者です。卸売業者の誕生によって、日本経済はより「厚みのある市場」を作り上げることになるのです。
*** 三菱食品の製・配連携による入荷効率化事例 ***
今回も「ロジスティクス関西大会2019」のプレゼンテーションの中から、三菱食品株式会社の牧井 佑二氏(ロジスティクス本部統括グループ ソリューションユニットリーダー)による「持続可能な食品物流の実現に向けた三菱食品の『より良い』ロジスティクス戦略」の講演内容についてご紹介したいと思います。
今回は、製販連携による入荷効率化の事例です。
これまで三菱食品では、メーカーより入荷された商品を1品1品現物確認をしていました。
現物確認後、数量を手入力することで、入荷検品を完了させていたのです。
更には扱う商品が食品のため、賞味期限情報も手入力によって記録していました。
当然、荷受け作業は煩雑化し、荷受け場では車両待機が常態化してしまい配送効効率が悪化していたのです。
こうした課題は三菱食品側だけではなく、メーカー側でも納品遅延等の問題を発生させていました。
この入荷作業時の課題を、三菱食品の主要取引先であるキユーピー株式会社と共同で解決に向けて動きました。
キユーピーでは、5年前から同社傘下のキユーソー流通システムの共同配送を利用するメーカー15社に検品レス化の呼びかけを開始していました。
三菱食品とは2018年5月末に神奈川の主力汎用センターの納品分からノー検品に踏み切ったのです。
キユーピーから納品日前日にパレット単位の商品明細、賞味期限情報をASNデータとして受領しておきます。
ASNデータとは出荷事前情報データのことです。
予め出荷元が納品先に対して、出荷した実績データを商品が届く前に渡しておくデータのことです。
三菱食品側ではパレットに張り付けられているSCMラベルのバーコードをスキャンするだけで、そのパレットに載っている商品・数量・賞味期限情報を一括で在庫管理システムに実績計上できる仕組みです。
※SCMラベル・・・オンラインで伝送される出荷明細データと納品された商品を検品レスで照合可能にするための専用ラベルのこと。
※ASNの仕組みについては、下記の記事もご参考下さい。↓↓
自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~卸売業編⑤~
EC業界のロジスティクス事情 ~入荷を制す者が勝者になる~
この仕組みによって、数量の手入力、賞味期限の手入力が撤廃され、入力ミスもなくなり、入荷作業の大幅な時間短縮、入荷精度の向上を実現することに成功しました。
1件あたり8秒の作業短縮となり、入荷検品業務が30%削減されたのです。
また検品レス車両を優先的に受け入れることで、トラックの荷待ち時間が大幅に短縮され、車両回転率が向上し、キユーピー側の配送効率も向上したのです。
*** 最後に ***
今後、卸売業が生き残っていくためには、製・配が連携したユニット検品(ASNデータを利用したノー検品システム)を実施していく必要があります。
この検品レスによって、納品時の検品作業、商品鮮度情報のシステム入力を撤廃する手法は、倉庫内作業の省力化、車両の待機時間の削減の切り札として今後、急速に広がっていくものと思われます。
2017年7月から一部車両で荷待ち時間の記録義務付けも始まっています。
トラックドライバーの不足が深刻化する中、卸業界は国土交通省から荷待ち時間の改善を強く求められており、その有効な手段として検品レスへの注目度は高まっています。
*** 最後まで読んで頂いた方にお知らせ ***
WMSパッケージINTER-STOCKではASNデータの作成、SCMラベルの作成により、検品レスの仕組みを安価で短期間に導入することが可能です。
クラウドを活用して入出荷情報の共有、在庫情報のリアルタイム共有も支援します。
下記より詳細をご確認頂けます。是非この機会にご検討下さい。