自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~流通・小売業界編①~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~流通・小売業界編①~

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画像素材:Rawpixel / PIXTA

 

*** 流通・小売業界におけるこれまでの環境変化 ***

 

昭和30年代、戦後復興から高度経済成長に向かって歩み始めた日本。
しかし、一般庶民の暮らしは決して豊かとはいえませんでした。
ダイエー創業者である中内氏は、この高度経済成長下の時代において、次々に新しい業態を開発し、流通業界を牽引しました。

 「これからは消費者がメーカーの価格を決めなあかん」

昭和32年9月、当時30代半ばの中内氏は自身のこの言葉を実現する為、京阪電気鉄道千林駅前(大阪市)に、「ダイエー薬局・主婦の店」をオープンしました。
30坪ほどの小さな店内には定価の3~4割引きの商品が並べられ、お店の名前の通り主婦が殺到しました。

その後、ダイエーは「価格破壊」と呼ばれる安売り路線へと突き進んでいきます。
日本の流通・小売業界はダイエーを筆頭にイトーヨーカ堂・西友などが大量生産、大量販売で安売りを武器に次々にチェーン展開を進めていきました。
やがて、価格決定権はメーカー側ではなく小売側に遷り、定価販売というこれまでの常識が崩れていったのです。
これが「第一次流通革命」です。

第一次流通革命後、1980年代の後半になると規制緩和等の影響もあり、企業間の価格競争はますます激しさを増していました。
そんな折、バブルが崩壊し国内経済は低迷期を迎えます。
バブル崩壊による深刻な不況に陥った国内の消費は激しく落ち込み、安売りを武器とした従来の競争原理では生き残れない時代に突入しました。
またこの時期、消費者のライフスタイルも大きく変化しており、ダイエー等の大型化したスーパーよりも、消費者の利便性に近づく小さな店舗の小売店が求められるようになっていったのです。

年中無休24時間の営業で幅広い生活用品を陳列したコンビニエンスストアはセブンイレブンを筆頭に急速に展開していきました。

狭い店舗でも、POS※により店舗近隣の消費者が求めている商品を効率良く陳列するビジネスモデルは情報技術を本格的にビジネスに活かす先駆けとなりました。
これが「第二次流通革命」です。

※POS・・・Point・Of・Saleの略称。店舗のレジで商品の販売と同時に商品・数量・金額などをバーコードリーダーなどで収集し、
集めた情報を経営戦略や販売戦略に活用するシステムのこと。

 

*** 流通・小売業の販売額は横ばい傾向 ***

 

経済産業省が9月末に発表した『商業動態統計速報』によると、自動車小売業が同1.8%の上昇。
織物・衣服・身の回り品小売業が同1.2%の上昇。飲食料品小売業が同0.8%の上昇となりました。
一方、燃料小売業は同0.1%のマイナスでした。
これらを踏まえて、季節調整済指数前月比の8月までのトレンドでは「横ばい傾向にある」としました。

 

■小売業販売額(季節調整済指数前月比増減率)の推移
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人口が年々減少していく国内では、今後の消費者行動の変化にとても敏感にならなくてはいけません。
所得の違い、生活価値観の違い、ライフスタイルの違いは年々多様化しており、多くの経営者の頭を悩ませています。
多様化する消費者のニーズに対応出来なくなった百貨店等の売上前年度割れといったニュースは頻繁に目にします。

ニーズが多様化した消費者は、多くの品揃えを一ヶ所に集めた大型店ではなく、自分が欲しい物をいつでも気軽に買い物できるECの専門店に流れていっています。
衣類であればZOZOTOWN、書籍であればAmazonといった具合です。
今日の消費者は価格よりも「利便性」を重視する傾向にあります。
電車やバスに揺られて店舗に向い、広い店内を欲しい商品を探して回るというこれまでのショッピングの醍醐味が、「利便性」を重視する消費者からするとただ面倒な作業になりつつあるのです。

このようにリアル店舗だけでは、流通・小売業界の今後の将来性が危ぶまれるということから、日本でもコンビニ、百貨店をはじめ多くの小売業者がオムニチャネルへの取り組みを検討しています。

 

*** 流通・小売業界が今後取り組むべき物流戦略 ***

 

日本の流通業界が目まぐるしく変わっていく中、既存の流通・小売企業が今後取り組むべき物流戦略についてまとめていきたいと思います。
本稿では3つの戦略に大別して 1.エブリディ・ロー・プライス、2.都市部に配送拠点を設置、3.生活スタイル に合わせた配送形態の順でご紹介します。

 

1.エブリディ・ロー・プライス

「エブリディ・ロー・プライス(EDLP)」は物流戦略というよりも販売戦略として有名なので、物流と何の関係があるのかと疑問に思われた方もいるかもしれません。
しかし、流通・小売業が今後オムニチャネル化を進める上でこの「エブリディ・ロー・プライス(EDLP)」戦略は重要な選択肢の一つとなります。

この販売戦略で世界的に有名なのがウォルマートです。
エブリディ・ロー・プライスとは、毎日が特売ということになります。日本では多くの小売業が特売品を目玉商品して集客する「ハイ&ロー価格戦略」をとっています。
「エブリディ・ロー・プライス(EDLP)」の場合、特売時に発生するチラシの作成・値札の張替え・特売に伴う売場の変更の手間といった作業が不要となり、ローコストオペレーションが可能になります。

また物流視点で見ても、価格変動が無い為、商品単位の需要予測の精度が向上し、物量を安定させることが可能になるのです。
日々商品の値段が変わる「ハイ&ロー価格戦略」の場合、発注や配車にもムダが発生しやすくなります。
今後、流通・小売業者がリアル店舗だけでなく、ECに進出しオムニチャネル化を進めていく上では、いかに需要予測精度を高めて、物量を安定させるかが重要になります。

 

2.都市部に配送拠点を設置

EC業界の巨人Amazonは、流通・小売業界のほとんどの顧客を食ってしまうのではないかと思われるほどに拡大しています。
勘違いされがちなのですが、Amazonは決して巨大物流センターだけに頼って全国に配送をしているわけではありません。
コンパクトな配送拠点を都市部にいくつも持っています。
これはAmazonがプライム会員向けに提供している「プライム・ナウ」という配送にかかる時間を極限まで縮めたサービスを提供する為です。

都心の駅前徒歩5分の立地に通常の倉庫よりもはるかに小さい倉庫を設置しています。
こうしたコンパクトな配送拠点を都市部に設けることで需要予測精度を向上させることができます。
コンパクトな拠点だからこそ、限られた商圏に対して厳密な需要予測を立て、メリハリをつけた在庫管理が可能になります。
これは先にご紹介したコンビニエンスストアの戦略に近いものです。

リアル店舗を保有する小売業がオムニチャネル化を行う最初の段階では、既存店舗を配送拠点にするという方法もあります。
しかし、これだとピッキング作業等の倉庫内業務が効率化されない為、オーダーが増えるとすぐに破綻してしまいます。
大型ではなくても、小型の小さな配送拠点を設置し、その商圏でニーズの高い商品を在庫し、そこから配送またはそこで顧客が好きな時間に受け取れるようにすれば、多様なニーズに対応可能になります。

 

3.生活スタイルに合わせた配送形態

今後流通・小売業には消費者の生活スタイルに合わせた配送形態が求められます。
当日、翌日の配送、日時指定配送を利用出来るのはもはや当たり前のサービスとなりつつあります。

食品や日用品を好きな組み合わせで1箱ににまとめて配送したり、最寄りのコンビニ、最寄店舗、最寄駅で24時間好きな時に受け取れるようなサービスも広がりつつあります。
これだけ注文、配送方法が多様になれば、物流拠点にかかる負担は大きくなります。
だからこそ、倉庫内作業を効率化する技術開発に投資を積極的に行う必要があります。
利便性重視の消費者が増えていくこれからの時代は、ショッピングの利便性を高めれば高めるほど、そのお店を利用する消費者が増えることは間違いないのです。

 

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「これからは消費者が自身の生活スタイルに合わせて商品を受け取らなあかん」

もしダイエー創業者の中内氏がご存命であれば、これからの流通・小売業に求められる物流戦略をこう助言してくれることでしょう。

量販体制を支えた第一次流通革命、そして第二次流通革命から時代は変わり、流通・小売業界はいま第三次流通革命に突入しようとしています。
情報技術を駆使し、消費者個人の多様なニーズに柔軟に対応できるような、そうした流通のあり方が迫られています。

 

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