EC業界のロジスティクス事情 ~ロジスティクスを起点にマーケティングを設計する~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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EC業界のロジスティクス事情 ~ロジスティクスを起点にマーケティングを設計する~

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画像素材:PIXTA

 

ECで成功を収めている企業にはある一つの共通点があります。
それは、ロジスティクスを起点にしたマーケティングに成功しているということです。

多くの企業では、物流費用は削減する方向で戦略が構築されます。
また、物流費用には予算を組むという考え方も多くの企業では存在しません。
「今期の物流予算は○億円だ」といったセリフはあまり聞いたことがありませんよね。

では、マーケティング費用についてはどうでしょうか。
売上拡大をしかける戦略であれば、マーケティングにかける費用は当然予算として上積みされます。
「マーケティング=売上拡大」の概念は誰の頭の中にも当たり前のようにありますが、「物流=売上拡大」についてはほとんどありません。
どちらかと言えば「物流=コスト削減」ではないでしょうか。

しかし、ECで成功を収めている企業の投資対象やビジネスモデルを調べてみると、いずれの企業も例外なく「物流=売上拡大」を基本思想として戦略を設計していることが分かります。

『月間ネット販売』が公表した2017年版のEC売上ランキングの上位3社を見てみましょう。(下図)

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上位3社はもれなく自前で物流倉庫を運営しており、物流システムも全て内製です。
3社とも細かい戦略や戦術は違えど、物流を起点にビジネスを設計し、マーケティングに活かしているという点においては共通しています。

アマゾンは完全に別格ですが、国内企業では売上トップのヨドバシカメラが1998年のECスタート当初から物流を最重視していました。
実店舗の在庫とネットの在庫をリアルタイムに連動させた先駆けの企業でもあります。

ヨドバシカメラは実店舗とネットを両方上手く運用出来ている数少ない企業で、家電量販店の枠を超えてオムニチャネル戦略の最先端を突き進んでいます。

ロジスティクスを、単に効率化のみを主眼とするコスト的な視点ではなく、顧客のニーズや顧客サービスに焦点を当てたマーケティング的な視点で設計することで、「物流=売上拡大」を実現させた企業がEC業界のトップを独占しているのです。

「うちはそんな規模じゃないから」と思われるかもしれませんが、アマゾンにしてもスタートトゥディにしても、創業間もない頃から既にロジスティクスをマーケティング戦略の中枢に置いてビジネスを設計していました。

少し以前のメルマガにも書きましたが、ロジスティクスはマーケティング手法の4Pの一つ、PLACE(流通)とも密接に関係しています。
詳しくは本メルマガ第164号『オムニチャネル時代にロジスティクスが目指すべきカスタマーサービスとは』をご参照下さい。

どんなに優れた商品を作っても、マーケティングによって多くの人に知ってもらって、それをしっかりとデリバリー出来る仕組みがなければ売れません。

 

*** ロジスティクス領域の情報は貴重なマーケティング資産 ***

 

ロジスティクス領域で収集される情報(データベース)は、貴重なマーケティング資産となります。
リアル店舗の事業形態であれば、接客時に顧客の属性情報(性別、年齢、趣向等)を収集することが可能です。
しかし、ネット店舗では対面による接客が無い為、ラストワンマイルにおいて情報を収集する必要があります。

また、需要を予測する為のデータもロジスティクス領域で収集可能です。
通常であれば、店舗での販売データをベースに需要予測がされます。
しかし、店舗で売れる前に商品が入荷され、在庫が動き、商品が出荷されています。
つまり店舗での販売データよりも数日、場合によっては数ヶ月前に需要を予測する為に、データマイニングを実施することが可能になるのです。

その具体的な方法については、今回は割愛させて頂きますが、販売データよりも先に手に入るロジスティクス領域のデータを活用することで、従来よりも早くて正確な需要を予測することも可能なのです。

国内企業のロジスティクス領域のデータ活用はまだまだ初期の段階です。
倉庫管理システム(WMS)や在庫管理システムを導入してデータは日々収集されていますが、在庫確認や入出荷実績の確認程度に活用が留まってしまっているのが実情です。

これからはロジスティクス領域で発生する情報を効果的にマーケティングに活かす時代がやってきます。
そのためには、ロジスティクスを顧客目線、マーケティング目線で設計し、ECビジネスの根底を支える情報システムの土台作りが必要になるでしょう。

 

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*** ロングテールではなく、需要予測を立てて在庫型へシフト ***

 

ECのビジネスモデルにロングテール型というモデルがあります。
あまり売れることのない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えることで、顧客を増やし、商品単体ではなく、ショップ全体としての売上を大きくする手法です。

ロングテール型の場合は、すべての商品を在庫することが不可能な為、必然的に受注が入ってから商品を発注する「受注型」になります。
※受注型については前回のメルマガ『EC業界のロジスティクス事情 ~ロジスティクスのブランド戦略がスタンダードに~』をご参照ください。

大手の資金力のあるショップであれば、ロングテール型で中長期的に利益を確保するビジネスモデルを描けますが、中小のショップだと、ロングテール型で利益を確保するのは大変厳しくなります。
ロジスティクス領域の情報を活かし、高度な需要予測を立てて、売れる商品の在庫を積む「在庫型」にビジネスモデルをシフトすることで粗利率は飛躍的に向上します。

「在庫型」にすることで即納体制を整え、売れる商品(売りたい商品)をターゲット客に対して提案する「提案型」のビジネスモデルがこれからの主流になっていくと予想されます。

 

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