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*** 在庫保有は国内から生産拠点(海外)へシフト ***
旧来、海外で製造した商品は一旦国内に輸入し、国内の倉庫で保管し、国内で販売をしていました。
しかし、最近は少々事業が違うようです。
日本ロジスティクスシステム協会が発行した『荷主企業の今後の物流戦略に関する調査報告書』の中で、売上規模の大きいEC事業者数社に今後の物流拠点の立地戦略をヒアリングしています。
そこには、今後は生産拠点側(海外)で在庫を保有し、日本国内の消費地での在庫圧縮を行っていくという意見が書かれています。
海外に在庫を移すことで保管コストを圧縮することができ、輸送回数が多くなっても全体のコストで見ると削減できるという新たな視点の立地戦略です。
*** 各国近隣の物流施設の坪単価調査 ***
日本国内の倉庫の坪単価は非常に高額です。
東京の湾岸辺りだと坪単価6,000円~8,000円もします。神奈川や千葉の臨港や湾岸辺りでも3,500円~6,000円です。
中国の香港は坪単価2,000円~3,000円、北京では1000円~1,500円です。
中国は急激な経済成長を続けていますが、意外と物流施設市場は余裕がある状態で日本に比べるとまだまだ割安です。
ただし、今後数年で高騰することが見込まれますので注意は必要です。
また定期契約が基本なので、日本のように途中解約が出来ないので、その点も注意が必要でしょう。
続いて日本企業にとってとても馴染みの深いタイの物流施設の市場を探ってみましょう。
タイはこれまで海外企業の積極的な投資も手伝って、堅調に経済成長をしてきました。
しかし、近年では軍事クーデターや大洪水などの影響もあり成長が鈍化傾向にあります。
そんなタイの首都バンコクの物流施設の市場はまだまだ発展途上です。
日本のようにプロロジスやAMBなどの物流施設専門のデベロッパーは存在しておらず、ほとんどが地場企業の経営者や個人が施設のオーナーです。
バンコクの坪単価は1,000円~1,800円程度です。但し、こちらも中途解約は原則不可です。
中国やタイに続いて近年日本との関係が密になっているベトナムは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の中では、タイに続いて日本人商工会加盟数が多い国です。
そんなベトナムの物流施設の相場を見てみましょう。
ベトナムはハノイとホーチミンの2大都市に人口と企業が集中しています。人口800万人で同国最大都市のホーチミンでも坪単価は1,000円程度です。
最近では、日本のアパレルメーカーや製造業が積極的に進出しており、物流施設の市場も活況を呈しています。
日本が今、最も注目し期待する新興国であるインド。中国に続き二番目に人口が多く2016年の統計では12億人です。
しかし、まだまだ経済は発展途上である為、今後の成長に海外の投資家も注目していますが、国民全体の所得水準が低い為、低価格商品が売れ筋となり、なかなか収益が合わないというのも良く聞く話しです。
インドに新規進出を検討している企業は長期戦覚悟で市場開拓に取り組む必要があるでしょう。
インドの首都デリーの物流施設の集積地では坪単価が1,000円程度です。
各国の坪当り単価を表にしましたので参考下さい。
*** まとめ ***
日本の関東圏の物流施設の価格と比較すると、インドやベトナムではおよそ8分の1です。
日本の物流施設の価格がいかに高いか分かります。
EC事業者の中でもインドやベトナムに生産拠点を置く日本企業も増えています。
今後は生産拠点で在庫を保有し、国内での在庫を出来る限り減らす戦略を取る企業が増えてくるでしょう。
当然、輸送回数も増え、リードタイムの問題も検討しなければならなくなりますので、全体のバランスを考えて、必要に応じて生産拠点側の在庫から消費地域側の在庫までをトータルでコントロールし、コストを削減する戦略を練ることが大切です。
品目に合わせてリードタイムを考慮し、国内で保有する在庫、生産拠点(海外)で保有する在庫を見極めます。
EC事業を取り巻く物流は日々多様化していますので、臨機応変に品目毎に立地拠点、在庫水準、リードタイムを検討することが求められます。
物流拠点の立地戦略は、輸送距離、積載率、回転率等を考慮してネットワークを考え、その結果としてリードタイム、配送コストが決定されることを認識下さい。
ロジスティクスの寿命は3年と言われています。
つまり3年単位でロジスティクスの再構築が必要になるということです。
ロジスティクスを制する者がECを制する時代です。
EC事業者を取り巻く物流環境は日々変化しています。
自社のロジスティクスを最低でも3年サイクルで再構築を図らなければ、競合他社に取り残されてしまいます。
再構築を図る為にはまずは、自社の物流を知ることが重要です。
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