第4次産業革命の到来 経済産業省が示した「新産業構造ビジョン」をロジスティクスの観点で探る(1)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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第4次産業革命の到来 経済産業省が示した「新産業構造ビジョン」をロジスティクスの観点で探る(1)

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イギリスで最初の産業革命が起こったのが今からおよそ250年前です。
産業や私達の生活がいま「第4次産業革命」により大きく変わろうとしています。

2017年5月30日に経済産業省が「新産業構造ビジョン」を発表しました。

要約すると、第4次産業革命における日本の産業ビジョンを示すものであり、IoT、ビックデータ、AI(人工知能)等の技術
革新によって、あらゆる構造的課題にチャレンジし、解決していくことで経済成長につなげようといった内容です。

今回より、この新産業構造ビジョンを簡潔に要約していくとともに、第4次産業革命の到来をビジネスにどう活かせるのか?
「新産業構造ビジョン」をヒントにロジスティクス、物流側の視点で考察したいと思います。

 

***長期停滞する国内経済の成長戦略は第2ステージに突入***

 

先進国共通の課題として、「長期停滞」があげられます。新たな需要創出の欠如と、生産性の長期伸び悩みが主な要因と
されます。

内閣府が今月8日発表した2017年1~3月期の国内総生産(GDP)は、前期比0.3%増、年率換算で1.0%増でした。
内閣府は「緩やかな回復基調に変わりはない」と分析してはいますが、長期停滞であることに変わりありません。

法人税実効税率の引き下げ、電力や農業などの規制改革の進展、コーポレートガバナンスの強化などアベノミクス成長
戦略が存分に効果をあげているとは言い難い状況です。

こうした状況にある日本の産業において、成長に転じる最大の鍵は「第4次産業革命技術の社会実装」であると本レポート
では提言し、これをアベノミクス成長戦略の第2ステージと説明しています。

 

***新産業構造ビジョンの2つの重要なキーワード***

 

さて、この「新産業構造ビジョン」レポートを解説していく上で、覚えておきたい専門用語を少し説明しておきます。

本レポートを理解する上で重要なキーワードでありながら、レポート中で一切その解説がされていない為、この用語を知らな
いと???となってしまします。

『Society 5.0(ソサエティ)』

情報技術など複数の技術を組み合わせ、新たな製品やサービスを生み出す為の研究開発のことで、日本政府が作成した
言葉です。

政府が策定した2016年度から5年間の科学技術政策の基本指針となる「第5期科学技術基本計画」の中でも最重要のテーマ
とされる新しいコンセプトです。

「必要なもの・サービスを必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細やかに対応でき、あら
ゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすこ
とのできる社会」を実現することを目的としています。

『レギュラトリー・サンドボックス』

サンドボックスというのは’砂場’のことです。直訳すると、”規制の砂場”となります。

今までの規制やルールを一時的に無くし、実験や研究を自由にやりなさいという仕組みのことです。
子供が砂場で作っては壊し、作っては壊すということを自由に繰り返し行っている様子に例えたものです。

小さな失敗を許容しながら試行錯誤を繰り返し、革新的なサービスや製品を作り上げていく「トライアル特例」の仕組みと
言えるでしょう。

この”レギュラトリー・サンドボックス”を最初に作ったのはイギリスの金融当局でしたが、その後シンガポールやマレーシア、
台湾なども採用し、世界中に広まりつつあります。

 

***社会構造、産業技術、ロジスティクスは相互依存し発展を遂げてきた***

 

世の中の社会構造は農耕社会から工業社会になり、情報社会に変貌を遂げてきました。

そして技術の変化も第1次産業革命(蒸気機関)、第2次産業革命(電力・モーター)、第3次産業革命(コンピュータ)へと進化
しました。

国内のロジスティクスは、戦後、経済復興と高度成長という目的のもと、海外と国内の港を結ぶP to P(Port To Port)という
時代を経て、経済の国際化が本格化するにつれて、企業はより高度なロジスティクスを求めるようになり、物流企業も荷主の
物流業務を一括で請け負うサードパーティ・ロジスティクス(3PL)へと進化していきました。

そして昭和50年代になるとコンビニエンスストアの誕生によりラインと店舗を結ぶLine to Shop(L to S)が生まれ、同じくして昭
和51年ヤマト運輸の宅配便がスタートし、ドアツードアのロジスティクス(Door to Door:D to D)が広がります。

そして第3次産業革命における現代では、スマフォやPCを利用して誰でも好きな場所に好きな時間で発注し、好きな場所で好
きな時間に商品を受け取ることができるオンラインツーオンライン(O to O)の時代を迎えています。

第4次産業革命をこれから迎えるにあたり、ロジスティクスの分野もデジタルな技術をコアにして、潜在需要を掘り起こし、新た
な製品やサービスの創出が可能となり、生産性も飛躍的に向上させることができると筆者も確信をしています。

ロジスティクスの分野も第4次産業革命の活力を積極的に取り入れることによって、日本の経済を発展させる大変重要なチャンス
を迎えていると言えるのです。その為には、まずそうした情報を一人でも多くの関係者が知ることが必要です。知らなければ活用
も応用も進みません。

本稿がそうした皆様の情報収集や活用の為のヒントになれば幸いです。次回も本テーマでさらに考察を進めます。

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