今月9日、世界に衝撃が走りました。
第45代アメリカ大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が当選しました。
女性問題や過激な発言で話題を集めた同氏が大統領になることで、世界経済にどのような影響があるのでしょうか。
外交を得意としていたオバマ政権に比べ、トランプ新政権は閉鎖的な外交へと変化していきそうです。
自由貿易拡大や移民の流入に否定的な姿勢を見せ、国を閉ざそうとするトランプ氏の就任を受け、早速TPP関連銘柄の株が急落しています。
物流関連でいえば、シンガポールの物流施設大手、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)の株価は3%も値を下げました。
ヒラリー氏優勢で始まった今回の大統領選は思わぬ結果で終わり、史上初の女性大統領誕生も叶いませんでした。
色々なところで史上最悪のシナリオと言われていますが、決まったことに落胆ばかりしてもいられません。
アメリカが閉鎖的な外交にシフトしていくことが予想されるのであれば、日本もアメリカ寄りの政策ではなく、独自路線に切り替えるチャンスではないかと思います。
***リアル店舗小売業のサービスが陳腐化***
さて今回からは店舗小売業のオムニチャネル戦略をテーマに、物流管理や在庫管理の視点でいろいろと考察をしていきます。
アマゾンをはじめとするオンライン販売専業者の成長は物流サービスの優位性から スタートしました。
店舗を持たない彼らには圧倒的なコスト競争力があり、24時間いつでも買い物ができ、しかもそれが翌日に届くというのは、顧客にとってはすばらしいサービスです。
一方でリアル店舗を構える小売業はこうした顧客サービスにおいて、オンライン販売専業者に劣って見えるようになりました。
欲しい商品を買いにいくと店舗に商品の在庫がなく、商品を発注して欲しいと店員に依頼すると2週間後に商品が店に入るので、取りに来てほしいと言われます。
店員さんに商品のことを聞くと、ありきたりの商品説明に終始し、結局どれがおすすめなのか聞いても店が売りたい商品を進められるだけです。
今まではこれが当たり前だったのですが、今では欲しい商品の在庫ないことや、商品の説明や評価が客観的でないことに対して消費者は不快を覚えるようになったです。
ネットで買い物をする場合は、在庫をすぐに確認でき、実際に商品を購入した人からのレビューを参考に失敗の少ない買い物をすることが可能です。
欲しい商品を2週間も待たなければいけないということもありません。
***リアル店舗小売業の優位性***
ではこうしたリアル店舗小売業はオンライン販売専業に立ち向かうことは出来ないので しょうか?
その答えをオムニチャネル戦略に求める企業は今後も増え続けるでしょう。
リアル店舗小売業者はオムニチャネル戦略によって、オンライン販売専業者にはない、
いくつかの優位性を手に入れることが出来るからです。
まず商品を自宅に配送するだけではなく、店舗で受け渡しをするという選択肢を顧客に 提供できます。
顧客の利便性だけではなく、店舗での受け渡しは宅配コストがかからないので、その分利益を確保しやすくなります。
***リアル店舗小売業にチャンス到来!?***
そしてもう一つの優位性が顧客の生涯価値(LTV)の最大化です。
少子高齢化など日本市場の縮小から、商品の売上ではなく、顧客生涯価値の最大化を狙う戦略に変えていく必要に迫られているからです。
店舗ごとの売り上げではなく、消費者所得のシェアをどれだけ自社が獲得していけるかということが重要になります。
こうした市場競争の変化は、オフライン専業者よりもむしろリアル店舗を構える小売業者の方に歩があると言えます。
まさにリアル店舗小売業者が一矢報いるチャンス到来なのです。
次回にて詳しく説明します。