首都圏での大型の物流施設の建設が相次いでいます。
ネット通販による物流需要は今後も急拡大すると推測され、
配送時間短縮などのサービス競争はますます激化しそうです。
住友商事は3年で760億円を投資して5か所の建設予定です。
米国の物流不動産プロバイダーであるプロロジスも日本で
年間500億円を投じて、法人向けの賃貸用大型物流施設
を建設する予定です。
ネット通販会社の最近のニーズとして、人の作業による効率
化ではなく、自動ソーターなどの設備が整った最新型物流施
設による物流効率化です。
日本ではこうした作業効率の良い最新型の物流施設が
まだまだ少なく、省人力オペレーション体制の構築が可能と
なる最新型施設の需要は今後も増していくとみられます。
さて今回のテーマは前回までの食品ロスの問題に関連して、
天気予報で需要を予測するおもしろい取り組みについて
ご紹介します。
「当たるも八卦当たらぬも八卦」と占いのように言われる
「需要予測」。しかし、この需要予測の精度を上げれば企
業の在庫管理に十分貢献します。
食品のような季節変動の激しい商品は在庫管理システム
や発注管理システム、生産管理システムだけでは在庫
の削減が難しいのが実情です。
こうしたシステムにより在庫管理精度は向上してもそれが
削減に結び付くかと言えば答えはNOです。
経済産業省では天気予報を利用して企業の需要予測
精度を向上させ、無駄な物流と食品ロスを削減しよう
と平成26年より下記のようなプロジェクトをスタートして
います。
『天気予報で物流を変える~ 業界初の試み~ 食品ロス削減・省エネ物流プロジェクト』
http://www.meti.go.jp/press/2014/10/20141009002/20141009002.html
日本気象協会が気象情報を核とした高度な需要予測を行ったうえで、
食品メーカ ー(製)、卸売事業者(配)、小売事業者(販)と需要予測の
情報を共有し、食品ロスの削減と、返品・返送、回収、廃棄、リサイクル
などで不要に発生している二酸化炭素の5%削減を目指す試みです。
(概要から一部抜粋)
初年度は「豆腐」「麺つゆ」「鍋つゆ」に限定して実験を開始しました。
麺つゆのような季節変動の激しい商品は終売時期の見極めが
ロスを削減する大きなポイントになります。
一ヶ月先の週単位の天気予報のデータを核に需要を予測し、
生産計画に反映させることで27年度には廃棄ロスを20%も
削減することに成功しました。
精度の高い需要予測による生産管理、在庫管理で食品ロス
をなくす本プロジェクトの今後の進展に期待が集まります。