今回は次世代物流「LOGISTICS4.0」についてお話ししたいと思います。
物流は、これまでに3世代の変化や革新を遂げてきました。
第1次は、19世紀後半から20世紀にかけて行われた輸送の機械化です。
これまで、大量・長距離輸送の要は船舶に委ねられてきましたが、鉄道網の整備やトラックの実用化により、陸上での輸送力が格段に強化されました。
物流における20世紀は、大量輸送時代の幕開けであったといわれます。
第2次は、1960年代からの 荷役の自動化です。
自動倉庫や自動仕分といった物流機械の実用化によって倉庫内の荷役作業の一部が機械化されることになりました。コンテナ船の普及による港湾荷役の機械化も大きな変化といえます。
第3次は、1980年代からの物流管理のシステム化です。WMSなどのITシステムの活用が広がりを見せ、在庫や配車などの物流管理の自動化や効率化が躍進し、インフラシステムの整備が進んだのもこの時代です。
そして、現在進みつつある第4次の革新「Logistics 4.0」はIoTの進化による省人化・標準化だといわれています。
LOGISTICS4.0による省人化で、最も大きな変革が見込まれる物流工程はトラック輸送だといわれています。
日本国内の貨物輸送に占めるトラックの割合は、トンベースでなんと90%を超えているのです。
さらに人件費が高い日本では、トラック輸送に必要なコストの約40%をドライバーの人件費が占めています。
つまり、自動運転を実現することで、物流のコスト構造に大きな衝撃をもたらすといえます。
世界最大のトラックメーカー、ダイムラーは、2025年までの実用化を目標に、自動運転トラックの開発に取り組んでいます。
昨年公開された自動運転トラックは、交通量の多い高速道路を時速80キロのスピードで自動走行できます。
また、アマゾンは、ピッキング工程の抜本的自動化を進めています。
倉庫ロボット「Kiva」は、出荷する商品を保管棚ごと持ってくることができます。
同社では、ピッキングの作業員を1日に20キロも歩かせる労働環境が問題となっていましたが「Kiva」を導入した物流センターでは作業員の歩行が不要になりました。
既に1万5千台以上が導入され、各物流センターの生産性を向上させることに成功しています。
さらに、保管棚から商品を取り出すことができるピッキングロボットの開発も進めており、人を介する作業工程は今後一層少なくなると思われます。
以前のメルマガでもお話しした内容と重なる部分もありますが、在庫の代わりに3Dプリンタをセンター内に設置し、ロボットがピッキングした商品を自動運転トラックで輸送する、そんな時代が近い将来にやって来るのです。
物流サービスのモジュール化が進み、マス・カスタマイゼーション(一品大量生産)によって絶対単品管理が常識になる…物流の革新が進んでいくのではないかと筆者は感じています。