「ハイテク・ハイタッチ」時代に利益を生む物流デジタル化について考える|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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「ハイテク・ハイタッチ」時代に利益を生む物流デジタル化について考える

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画像素材: metamorworks / PIXTA

 

<目次>
1.テクノロジーによって変化する役割
2.テクノロジーと人間的触れ合いの結合
3.物流も「ハイテク・ハイタッチ」の時代
4.最先端テクノロジーが物流を塗り替える
5.まとめ

 

●1.テクノロジーによって変化する役割

 

物流領域におけるテクノロジーの活用が進んでいます。
私たちは次々と生まれる新たなテクノロジーをどのようにビジネスに活かしていけばよいのでしょうか。

物流領域におけるテクノロジーの活用において最重要ポイントは“全体最適”です。
部分最適の積み上げの先に全体最適があるわけではありません。
サプライチェーン全体から物流・ロジスティクスを俯瞰してテクノロジーの活用を検討する必要があるのです。

小売・流通業で言えば、オンライン時代のリアル店舗のあり方を考えながらロジスティクスを捉えることが重要になりますし、製造業で言えば、グローバル化時代の海外取引も含めた最適化を模索しなければならないといった具合です。

オムニチャネル時代と呼ばれて久しいですが、これまで顧客は店舗でしか欲しい商品を購入することが出来なかったので、リアル店舗の役割は顧客が欲しい商品を並べて、お金と引き換えに商品を渡すことが主でした。

しかし、ECによる購買が1割に近づきつつある国内の小売市場においては、それだけではリアル店舗で商品を購入するメリットが少なくなってしまいました。

 

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顧客はECで買うか、店舗に足を運んで買うかのどちらかを選択します。
店舗に足を運んでもらうには、商品を並べて販売するだけではなく、その空間が提供する価値を高めなくてはなりません。
そのお店にいくとワクワクする、店員さんとのおしゃべりが楽しい、美味しい、遊べる、相談出来るといったリアルでなければ提供出来ない価値を提供する必要があります。

そうした物だけにこだわらない空間づくりと、オンライン時代の物の運び方をどう変えていくかをトータルで最適なプロセスを設計しなければならない時代です。

しかし、現実はそう甘くはありません。
人手不足によって、店舗スタッフは品出しや発注業務で忙しく、接客どころではありません。
結局商品を店に並べるだけで精一杯で、空間の価値創造には手が回らないのが実情ではないでしょうか。

これからは人はなるべく労務から開放され、価値を提供する仕事を選択していきたいものです。
そのためには、新しいテクノロジーに積極的に投資し、労務を省人化、自動化させる必要があるのです。

 

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●2.テクノロジーと人間的触れ合いの結合

 

筆者の知人がセブンイレブンで働いていますが、発注はベテランスタッフの役割だそうです。
知人の話によると、ベテランスタッフでも毎日1時間近くを発注業務に費やすと言います。
例えばAIを活用して、天候要件やイベント有無等の情報をインプットしてやれば、必要な数を時間帯別に表示することはそんなに難しくありません。
その情報を元に発注をすれば、完全自動まではいかなくとも、誰でも簡単に短時間で発注することが可能になります。

その空いた時間をサボるのでは意味がありませんから、接客や空間価値の向上に充てることでリアル店舗で買い物をするメリットを顧客に提供することが可能になります。

AIについては、まだ多くの方が懐疑的ですが、利用目的を明確にして、領域を特定すれば、驚くべき効果を発揮します。

AIやIoTといったテクノロジーが出現し、データを統計的に扱える人が必要になるなど、テクノロジーは人の仕事の役割も変えてしまいます。

例えば最近、インサイドセールスという役割が注目を集めています。
従来のセースルマンは外回りして、足で稼ぐスタイルが一般的でした。
しかし、最近はオンライン会議システム等のテクノロジーが発達したことによって、オフィスに居ながらにして顧客と商談し、クロージングまでを客先に出向かずに完結させる営業モデルが流行っています。

テクノロジーの発展によって、企業が人材に求める能力も変わってくるということです。

 

●3.物流も「ハイテク・ハイタッチ」の時代

 

テクノロジーと人間的触れ合いの結合による新たな価値の想像を「ハイテク・ハイタッチ」といいます。

物流もただ物を運ぶだけではなく、お客様にどういう価値を提供するかという部分で変革を求められています。
しかし、こちらも先の小売業の例に漏れず、日々の検品や伝票整理に追われ、労務や雑務をこなすだけで1日が終わってしまいます。

企業における物流の課題は、物流部門だけのものではなく、サプライチェーン全体の課題であるため、個社最適・部分最適は持続性がありません。
全体を見渡して物流を構築していく視点がないと、時代から取り残され、企業としての競争力を失うリスクが高まるのです。

しかし現状では、個々の会社が個別で最適化を進め、企業間によるデータの共有もあまり進んでいません。
ハイテク・ハイタッチ時代の物流においては、全体設計の中で“物を運ぶ”というアプローチではなく、「社会の課題・価値は何か?」、「顧客は何を求めているのか?」といった切り口で各社が協力し合って進めることが望ましいでしょう。

 

●4.最先端テクノロジーが物流を塗り替える

 

今、製造業は製品の販売からサービスの提供にビジネスモデルをシフトしつつあります。
有名なのがコンプレッサーメーカーのケーザー社の事例です。
従来はコンプレッサー装置を工場に販売していましたが、現在は圧縮空気を重量課金で売るというビジネスモデルにシフトしています。
“装置売り”から“エア売り”への変換です。同社のサイトを検索してみると、

 

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上記のように「圧縮空気専門家」というキャッチコピーが利用されています。
“モノ売り”ではなく“コト売り”をイメージさせるコピーが採用されていますね。
「コンプレッサーを売る」のではなく、「圧縮空気を売る」という発想の転換から生まれたコピーだと思います。

また、トヨタの事例も業界で話題を呼びました。
2018年のプレスカンファレンスで豊田社長がサプライズで登場し、「モビリティ・カンパニーへと変革することを決意しました」と発表したのです。

車をネットワーク端末と捉えて、そこから集まってくるデータを使って顧客にサービスを提供していくというビジョンを描いています。
データはクラウド環境にあり、その上に産業が成り立つという世界観を持ち、こうした世界観、モチベーションを持った人材や企業が今後必要になっていくということです。

 

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デジタル社会になっても必要なモノは運ばなければなりません。
リアルなモノの流れをデジタルに置き換えることが出来る物流領域が、最も信頼性の高い価値あるデータを集めることが出来るのも事実です。
物流のオペレーションをデータ化する一番の価値はそこにあります。
それを業務の効率化という観点だけで捉えていては立ち遅れてしまうでしょう。

つまり、コストダウンではなく、真の利益を生み出す物流デジタル化です。
その実現の為にテクノロジーを活用するのです。

 

●5.まとめ

 

多くの企業では、AIのような最先端テクノロジーの活用はまだ部分的です。
しかし、物流を含めたサプライチェーン全体を見通すようなプラットフォームをテクノロジーを駆使して構築するのが将来あるべき姿ではないでしょうか。

しかし、いくらテクノロジーが発達したとしても、顧客に満足を提供するという軸は変わりません。
顧客視点で何が出来るかを考えることがビジネスにとっては最重要です。
日本人はきめ細かさ、緻密さ、プロセスを大事にするといった強みがあります。
こうした強みとテクノロジーが上手く融合することで、グローバルに競争力のある物流を構築できると信じています。

 

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