実践RFID!物流担当者のためのRFIDの技術と応用 ~RFID導入時の留意点~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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実践RFID!物流担当者のためのRFIDの技術と応用 ~RFID導入時の留意点~

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画像素材:metamorworks / PIXTA

 

*** 知識労働者が主役の時代 ***

 

ピーター・F・ドラッガー(以下ドラッガー)は自著『ネクスト・ソサエティ』の中で、新たな時代における組織の在り方について、以下のように述べています。

「組織とは多分野の知識労働者を糾合し、彼らの専門知識を共通の目的に向けて動員するための人の集合体である」

経営学の神様、マネジメントの父と言われるドラッガーは現代の情報社会を早くから予見していました。
彼が書いた本を読めば読むほど、現代社会を的確に言い当てていることに驚かされます。

さらに、「知識が中心となった今日においては、トップだけで成功をもたらすことはできない」(創造する経営者より)

現代の情報社会の到来にいち早く気付いたドラッガーは、現場で働く一人ひとりの知識や判断が企業経営を支える時代になることを強調し、「知識労働者」という言葉を盛んに使っています。

物流の現場で活躍する労働者からすると、ブルーカラーの自分達には関係のない話だと思われるかもしれませんが、そうではありません。
知識労働者=ホワイトカラーとは限りません。
肉体労働や単純作業だけを求められたいた時代は終わりを迎え、知識や情報をいかに活用しながら働くかが求められる時代になっていきます。

オフィスの中で頭を使う職種だけにとどまらず、情報や知識を活用して、自分で考えて行動する「自律型」の労働者が現場に増えていくことが、効率や生産性の向上につながるとドラッガーは教えてくれます。

企業のトップマネジメントがこれから考えていかなくてはならないことは、いかにタイムリーな情報を、現場に必要なタイミングで提供し、活用させるかということです。

第4次産業革命が叫ばれる現代は、IoT技術を活用することで、現場を中心にして、賢く考え最適な生産、物流を実現していくことが求められます。
その中でRFIDが担う役割は決して小さくはないのです。

 

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*** RFID導入時の留意点 ***

 

RFIDは今後、世の中の利便性や運用を変革するような大きな可能性を秘めています。
しかし、RFIDを活用してビジネスを成功に導くためには、いくつかの留意点があります。
なぜならば、現状のRFIDは決してオールマイティでパーフェクトではないからです。
RFIDの特徴や性能をきとんと理解した上で使いこなすことで、情報投資効率を最大化できるのです。

ここまで物流領域におけるRFIDの活用について、記事を書いてきましたが、本テーマの最後は、RFIDを導入する際に留意しておきたい点について解説します。

 

*** 万能ではないRFID ***

 

RFIDの導入を検討する前に大前提として理解しておかなければならないことは「100%の読み取りではない」ということです。
実際の現場運用では、金属製の機材や水分を含んだ原料等に使用されることもあります。
金属や水にもある程度対応したICタグも登場していますが、こうした特殊タグにおいても100%の読み取り率ではありません。

カタログスペックによる交信距離もあまり当てになりません。環境や対象物の性質によって、交信距離は大幅に低下するからです。

いずれにしても、電波を用いて通信するICタグの特性上、金属や水分を含む場合、安定した更新を行うことは難しいことを知って
おきましょう。

但し、金属や水分を含む対象物の場合、RFIDの導入はあきらめなければならないのかと言えば、決してそうではありません。

 

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*** 作業予定データを準備する ***

 

物流領域におけるRFIDの導入を検討する際、期待される利用シーンは主に以下の3つの領域です。

1.入荷検品時における一括読み取り

2.出荷検品時における一括読み取り

3.棚卸時における一括読み取り

読み取り率が100%ではないRFIDを活用して検品や棚卸をする際に必ず必要になるのが、作業予定データの準備です。

例えば、入荷検品する際に、事前に入荷予定のデータが無い状態で、RFIDによる一括検品を実施するとどうなるでしょうか?
皆さんもすぐにお分かりになりますよね。
たまたま読み取りが出来なかった商品が1つでもあると、入荷検品漏れが発生してシステムの理論在庫数と現物の実在庫数がアンマッチになってしまいます。

棚卸作業についても同様のことが言えます。
RFID対応の携帯端末(ハンディターミナル)を持って棚の周りをハンディでかざすと電波の届く範囲の商品のICタグを読み取って、高速に棚卸が可能です。
しかし、たまたま読み取りが出来なかった商品が一つでもあると、これまた入荷検品の時と同様のアンマッチが発生します。

事前に入荷予定データ・出荷予定データ・理論在庫データをシステム側で保持しておき、こうしたデータとRFIDで読み取ったデータを照合することで課題を解決出来ます。

自由気まま、勝手気ままなRFIDを予定データを持たずに一括読み取り運用をすることは、手綱を持たずに馬にまたがるようなものです。
100%ではない読み取り率のRFIDを一括読み取りで利用する場合は、必ず予定データを準備することを忘れないで下さい。

 

*** RFIDは自律分散型管理で運用する ***

 

通常バーコードで物流システムを構築する場合、バーコード内の値には必要最低限の情報のみを記録して、必要な情報は随時サーバーに問合せを行うことで確認します。
一般的には商品コードや伝票Noなどのデータを特定するために必要なキー項目のみをバーコードの値として記録します。

複数のハンディターミナルを利用する際、サーバーに問い合わせが集中する為に負荷がかかります。
またネットワーク外ではシステム利用が出来ない為、自社の外や協力会社が情報を利用することが出来ません。

こうした方法を集中管理型システムと呼びます。

 

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RFIDはバーコードと違い、沢山の情報を自由に読み書きが可能です。
よって、生産や物流の現場で必要な情報を予めICタグに書き込んでおけば、サーバーに問合せすることなく情報活用が行えます。

例えば、検査結果やロット情報等を生産工場の各工程で書き込んでおけば、その情報を物流を依頼している3PL業者や外注委託している協力会社と共有することも可能になります。
こうした方法を自律分散型管理システムと呼びます。

 

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RFIDを導入しているにも関わらず、バーコードによる集中管理型システムで運用されているケースは少なくありません。
これだとRFIDの真の力は発揮できません。
ICタグに必要なタイミングで必要な情報を随時読み書きすることで、サーバーに問い合わせることなく、色々な場所でデータの共有が出来るということを念頭において運用、設計を検討しましょう。

 

*** おわりに ***

 

RFIDは現在様々な現場で利用が検討されています。
しかし、RFIDは万能ではありません。あくまで課題解決の為のツールでしかないのです。
利用方法によっては思ったような投資対効果を発揮出来ない場合もあるでしょう。
また、そうした失敗を今後沢山の企業が経験されることだろうと思います。
RFIDは情報を随時、自由に読み書きすることで情報の分散化、情報の共有を行うことで最適活用していくものであると考えます。
そうした考え方をベースにして導入検討されることを願います。本稿の内容がRFIDの導入を検討されている沢山の方のお役に立てれば幸いです。

 

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<参考文献>
ピーター・ドラッガー著『ネクスト・ソサエティ』ダイヤモンド社
ピーター・ドラッガー著『創造する経営者』ダイヤモンド社
大塚 裕著『知っておかないと損をする!RFIDの世界』日本工業出版

 




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