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*** RFIDの普及を阻む課題 ***
これまで長い間、ロジスティクス効率化やトレーサビリティの確立をする上でバーコードが一定の役割を果たしてきました。
今後スーパーやコンビニなどでRFIDが普及していけば、ICタグがバーコードに代わる時代がやってきます。
RFIDがサプライチェーンの上流から普及するようになれば、非接触型のICタグを一括読み書き可能な技術によって、これまで誰も
経験したことのない効果を発揮することでしょう。
しかし、その為に解決しなければならない課題もいくつか残っています。
一つ目はICタグの単価が高いことです。
昔に比べて少しずつ安価になってきているとはいえ、現状では1枚当り10円~20円程度します。
二つ目は読取精度が未成熟なことです。
水や金属等は電波を遮断してしまう為、こうした商品にICタグを貼り付けると読取精度が著しく低下してしまうのです。
最近は特殊な加工がされたICタグも登場し、こうした商品にも貼付け可能なタグもありますが、単価が割高になってしまいます。
三つ目はICタグを商品に貼り付ける技術が未完成だということです。
バーコードをラベルに印刷するのと同じようなイメージでICタグのラベルを発行する技術は既に存在しますが、大量の商品に効率的に貼付けする技術はまだ開発段階です。
こうした課題が解決していかなければ、アパレルなどの商品単価が高い商品を扱う分野でのみ普及が進む形で終わってしまいます。
電子タグのコスト削減に加え、技術開発や運用方法の改善など、産官学が連携して課題の解決に取り組むことが強く求められています。
今回はこうした課題やリスクあることを承知の上で、他企業よりも先にRFIDの活用に果敢にチャレンジし、効果をあげている企業の事例を2つご紹介したいと思います。
*** 富士物流での活用事例 ***
富士電機グループの物流部門から独立した富士物流では、今から約15年ほど前からRFIDの基礎実験を開始しました。
RFID技術を物流領域で活用する先駆け企業です。
5年の試験段階を経て2008年以降、実際の物流現場での運用を拡大しており、現在ではRFIDを本格的に活用することで生産性向上や作業工数削減、省人化などに結び付けています。
実験では複数種類のICタグと読取機器を使い、読み取り可能な距離・読み取り率・どのような環境条件の場合に読取率が低下するのかといった幅広い内容の検証を実施しました。
現場導入の際に重視したのは、比較的簡単にタグの貼付けが可能で、導入効果が出やすい物流現場の選定でした。
RFIDで管理する商品には、印字可能なラベル内部にICタグが組み込まれた専用ラベルを全て貼り付けて、ユニークIDのみをそこに書き込んでいます。
このユニークIDと商品の個別情報、在庫情報をひも付けて管理しています。
ラベルの印字部分には仮にタグが読み込めなかった場合のバックアップ用としてバーコードを印字しています。
ピッキングされた商品はパレットに乗ったままアンテナゲートを通り、一括出荷検品されます。
これによって、出荷検品は大幅な効率化を図れました。
また棚卸用にロボットを自社開発しました(下写真)。
棚卸する棚番を入力すれば、自動的にロボットが倉庫内を移動し、タグを読取しながら棚卸しを行います。
同社ではRFID技術とロボットの活用によって棚卸工数を10分の1以下にまで削減しました。
■前から見た棚卸ロボット
■横から見た棚卸ロボット
*** BEAMSでの活用事例 ***
続いてご紹介するのは、メンズ・レディース・キッズ・ゴルフまで幅広いレーベルを展開しながら、セレクトショップのパイオニアとして40年以上の歴史を築いてきたBEAMS(ビームス)の事例です。
全国に約160店舗のショップを展開し、およそ180万点の商品を常時取扱っています。
RFID検討にあたり物流だけではなく、商流の方にも効果が見いだせるということで物流領域からプロジェクトがスタートしました。
160を超える店舗システムとMDシステムをはじめとする本部の機能、それを支える基幹システム、これらにRFIDのソリューションをシームレスに負荷なく導入するというのが第一条件でした。
細部にわたり利便性・生産性について拘りを持って構築が進められ、当初はその拘りを活かしつつ、ミニマムな形でRFIDソリューションの導入を進めてきました。
RFIDを活用することで、本部で得られるビックデータの獲得や店頭在庫とバックヤード在庫の可視化の実現を目指しました。
顧客行動が一定の範囲で可視化できれば、購買に至るその背景が可視化出来ると考えたのです。
従来のPOSデータでは、顧客の購買データしか分かりませんでした。
ICタグを利用して顧客に商品情報を表示し、その表示した履歴とその商品を購入した履歴とを照合することで、その商品情報によって購買に至った顧客と至らなかった顧客を分析出来ます。
こうしたデータを活用することで、これまでになかった視点からターゲティングが行えるようになり、効果的な販売施策を打てるようになります。
リアル店舗でもインターネット上の商品販売に似たデータ分析が可能になるということです。
物流センターでは、仕分け機のタグ読取にRFIDシステムを採用しました。
作業者は商品をRFIDリーダーにかざした後、連続で仕分け機へ投入していきます。
従来は一つ一つの商品のバーコードタグをスキャンすることでソーターに投入していましたが、RFIDを利用することで、タグを探すことが無くなり、投入速度が飛躍的に高まりました。
アパレル商品はタグが商品の中に取り込まれてしまいバーコードをスキャンする際に探さなくてはならないという欠点がありました。
RFIDにより、そうしたタグを探す作業が無くなったため、飛躍的に仕分け機への商品投入作業の効率が向上したのです。
■バーコードによる従来の作業。商品に取り込まれてしまったタグを探しだす必要があった。
■RFIDによる作業。リーダーに商品をかざすだけで仕分け機に投入可能に。
ハンガー品を仕分けるファッションソートにおいても、RFIDシステムが採用されています。
仕分けしたい商品をRFIDリーダーの前を通過させるだけで、自動でタグが読み取られ仕分けされます(下写真)。
こちらもバーコードを利用した従来方式の場合、作業員がタグを1枚1枚探し、手持ちのリーダーで読み込んでいく作業があり多くの時間を要していました。
一方店舗では、入荷検品・レジ会計・棚卸などに活用しています。
中でも店舗スタッフに最も好評な機能がタグ検索という商品を探すことができる機能です。
今までは探すことを諦めてしまっていた商品の在庫を見つけることできるということで利用頻度も高まっています。
*** まとめ ***
RFIDの活用はまだまだ未知数です。
これから導入を検討されている企業も多いと思います。
あまり難しく考えず導入する箇所を絞ることで、ハードルを下げることができます。
また、RFIDを導入したからといって全ての業務が効率化するわけではありません。
RFIDも万能ではないことを知っておく必要があるでしょう。
これまで多くの企業にバーコード管理によるWMS(倉庫管理システム・在庫管理システム)を提供してきたINTER-STOCKパッケージがこの度、大手製造業様とRFID開発プロジェクトを進めることになりました。
これをきっかけにINTER-STOCKは今後RFID技術を応用したロジスティクスシステムへとバージョンアップし、これまで以上に企業のロジスティクスに貢献して参ります。
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