画像素材:wavebreakmedia / PIXTA
*** 今日生まれた子供達の65%は今存在しない職業に就く ***
日本ファイナンシャル・プランナー協会が2018年4月24日に発表した小学生の「将来なりたい職業」のランキングを見てみると、
ユーチューバーが6位にランクインしています。
※出典:『小学生の将来なりたい職業ランキング』 日本ファイナンシャル・プランナー協会
ユーチューバーは10年前には存在すらしなかった職業です。
2011年8月のニューヨークタイムズ紙によるインタビューで、米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が未来の職業について語っています。
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」
実際に、現在存在する職業で10年前には存在しなかった職業を調べてみると、沢山見つかりました。
注目すべき点は、いずれの職業も全て新しいテクノロジーによって生み出されているということです。
インターネット回線速度の高速化・スマフォの普及・ドローンやVRなどのテクノロジーの進化によって新たな価値とニーズが生まれ、それを職業とする人が自然発生しているというのは興味深いです。
※ちなみにデータ・サイエンティストは厳密には10年以上前から存在していますが、その存在を知っている人は誰もいなかったということで今回のリストに追加しました。
世の中の変化のスピードは増々速くなり、もっともっと変わっていきます。
読者の皆様の中で、10年前にスマフォを持っていた方はいるでしょうか。
しかし、今私達はスマフォを家に忘れると不安になり、仕事を遅刻してでも取りに帰るほどに依存させられてしまっています。
最近では銀行や郵便局にもほとんど行かなくなりました。
近所のコンビニでお金がおろせますし、キャッシュレス社会になり現金をあまり持ち歩かなくても生活ができてしまうからです。
キャッシュレス化については、日本は韓国や中国に比べてまだまだ発展途上ですが、今後は更に進展していくと予想されます。
■各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年)
※出典:『キャッシュレス・ビジョン』経済産業省
オックスフォード大学准教授のマイケル・A・オズボーン氏は論文「未来の雇用」の中で、「今後10~20年程度で、アメリカの総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」と述べており、世界に衝撃を与えました。
今世界ではすべての個人に無条件で毎月一定のお金を配布するベーシックインカムが注目されています。
フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏もベーシックインカムの導入を検討すべきと発言しています。
今後人口知能(AI)の急速な発達によって、世の中の2人に一人が職業を失うと予測される将来、人々の所得をどう保障するのかといったことが、真剣に議論される時代になっているのです。
*** 卸売企業にとっても共同配送は重要な戦略 ***
このような変化の時代、未来の予測が困難な時代において、企業の競争戦略についても変革が求められています。
卸売業は他社と同じような商品を販売する為、代替性が高いビジネスですので、顧客を維持するためには他社にはない価値を創らない限り、市場での競争力を保つことが出来ません。
卸売業の物流はまさにこの点について顧客に価値を提供できる最重要な領域です。
オペレーションや運営の改善によりコストを下げることができれば、それは顧客企業にとってイノベーションに変わります。
商品で違いを生み出すことが出来ない、卸売業のこれまでの競争戦略の一つとして「品揃え」がありました。
小売側の企業が拡大化していることもあり、今後も重要な競争戦略の一つですが、今後BtoBのEC化が進展すると、Amazonのように自社で仕入をせずに小売側に「品揃え」を武器に競争をしかけてくる企業が増えてくることが容易に予測できます。
卸売業の競争戦略の定石であったチャネル戦略・エリア戦略もBtoBのEC化が急進していくにつれてその効果は薄れていきます。
卸売業が、今後変化していく環境の中で経営を続ける上で、他社との違いを作る極めて重要な戦略は「共同配送」だと考えます。
今後も輸送コストの上昇が続いていくことを考えると、メーカー企業・小売企業の共同配送ニーズは更に高まっていくと予測されます。
顧客である小売業のサプライチェーンに大きく貢献できるこの戦略は他社との競争上の差別化を図ることももちろんですが、何よりも卸売という存在を社会により強く根付かせることになるからです。
これまでは物流コスト削減といえば、まず白羽の矢が立ったのが、運送会社との運賃交渉でした。
しかし、この方法はこれからの時代には全く通用しなくなるのは周知の事実です。
となれば、トラックの積載率を向上させることで、1社当たりの荷量に対する運賃を下げて採算ベースに乗せる以外に手はないのです。
最近では物流会社が主導となって共同配送が行われるケースも増えてきています。
しかし、荷主主導型の共配は、どうしても荷主企業同士で自社の利益を主張する場面が目立ち、とくに事故や遅配が発生した場合に補償等の話しでトラブルになってしまうケースが多いようです。
結果、物流会社が仲介役となって、共同配送を進める方法が現時点では最適解として認知されており、事実そうした事例が増えています。
しかし、物流会社主導型の共同配送がはたして本当に最適解なのでしょうか。
共同配送をより最適に計画するには、出来るだけ上流側での計画が必須となります。
しかし、サプライチェーンの中で物流会社は最下流に位置します。下流で共同配送を立案する方法が最適だとは到底思えません。
その点、卸売業はサプライチェーンの中では丁度真ん中に位置します。
上流も下流も見渡せ、両方の情報を扱うことが出来るのも卸売業の強みです。
であるならば、メーカーや小売企業の仲介役となり、最適な共同配送を立案することができれば、それは新たなビジネスチャンス、存在価値となることは間違いありません。
*** 最後に ***
テクノロジーの進展によりあらゆる自動化が進み、私たちの身の回りの情報量も爆発的に増えていき、世の中の価値・基準・ルールといったこれまで私たちの生活を支えていたあらゆる常識・基盤が変化していく時代です。
企業においては、こうした変化に対応していくために、ビジネスモデルの再構築・教育プログラムの見直し・採用基準の見直し・働きやすい環境の整備といった取り組みが求められます。
一つだけ確実に言えることは、現状維持をしようとすると急速に取り残されていくということです。
変わり続けることを止めると会社は存在価値を失い、やがて廃業を余儀なくされます。
それは何十年後とかというスパンではなく、数年後というスパンで繰り広げられる現実となっていくでしょう。
将来の変化を予測することが困難な時代を経営する企業においては、社会の変化に受け身で対処するのではなく、自ら課題を発見し、他社と協働してその解決を図り、新しい価値を創造していくことが喫緊の課題です。
その為には各企業が主体的、協働的に事業を充実していくことが求められます。
次回は卸売業が目指すべき新しい共同配送の事業戦略について更に詳しく説明をします。
企業の物流領域のIT化を支援する倉庫在庫管理システム「INTER-STOCK」は物流品質の向上、生産性の向上により物流領域の労働力不足を解決します。パッケージでありながら、顧客の課題に寄り添う形で柔軟にカスタマイズを行うセミスクラッチ型の導入方式で稼働率99.8%を実現しています。
下記より詳細な資料をダウンロード頂けます。是非この機会にご検討下さい。