自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~製造業編③~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~製造業編③~

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画像素材:HIT1912 / PIXTA

 

モーダルシフトを検討する企業が急増しています。

深刻なドライバー不足の対策として、国土交通省は企業にトラック以外の輸送手段となる鉄道や船に切り替える「モーダルシフト」を積極的に呼び掛けています。

これまでモーダルシフトの重要性は盛んに叫ばれてきましたが、思うようには進みませんでした。
しかし、ここ1~2年の間に流れが変わりつつあるように感じます。

モーダルシフトには主に以下のようなメリットがあります。

 

1.CO2排出量の抑制

2.幹線道路の渋滞緩和

3.ドライバーの長距離、長時間運転の減少

4.交通事故のリスク減少

 

従来は上記1.のCO2排出量の抑制などによる環境対策を中心に提唱が進められたモーダルシフトでしたが、最近はトラックドライバー不足やトラック輸送の送料値上げへの対策が背景となって、これまで以上にその必要性が注目されています。

但し、ある程度の荷量や距離がないと船や鉄道にシフトしても逆にコスト高となる為、実際にモーダルシフトを実現して効果を得られる企業はまだまだ少ないのが実状のようです。

 

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そもそも、昔は物資の輸送手段と言えば船や鉄道が主でした。
江戸時代にはトラックや鉄道など走っていないので、廻船や河川舟運による船舶輸送しかありませんでした。
明治時代に入ると鉄道による貨物輸送が始まりました。トラックによる輸送が主流になり始めたのは戦後のことです。

戦後、物資の輸送量が急増し、鉄道や船に頼った輸送だけでは追いつかなくなっていきました。
運輸省は物資輸送を貨物自動車へと切り替えるために、昭和24年に「鉄道近距離貨物のトラック転換実施要領」を定めたのです。
つまり、現在のモーダルシフトとは全く逆のことをやっていたのです。

その後、高度経済成長期に突入し、工場から流通センターを経由して店舗まで運ぶような都市内配送が増え、貨物自動車のニーズは急増し、トラックによる輸送が主流となっていったのです。
下記グラフは昭和50年以降の貨物事業者数の推移です。

 

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※国土交通省「貨物自動車輸送事業者数の推移」より筆者作成

 

*** トラック実働率を数値で見える化する ***

 

前回は輸送を数値で見える化する為に「積載率」を取り上げました。
今回は「トラック実働率」「トラック実車率」を数値で見える化する方法についてご紹介します。

製造業では工場の設備(資源)による稼働率や生産効率を日々数値化してチェックすることで、資源の生産性の向上に努めます。

しかし、輸送におけるトラックについてはどうでしょうか?トラックの稼働率を数値で把握出来ているでしょうか。

工場では設備が稼働している時間で生産性が決まります。
トラックは荷物を積んで走っている時間で生産性が決まります。
つまり、工場の設備もトラックもどれだけ停止時間を少なく出来るかで生産性が決まるということです。
工場の設備もトラックもとても似ていることが分かりますね。

「そんなの当り前じゃないか!」と叱られそうですが、多くの企業では工場の設備は停止させないように徹底して管理しますが、
トラックについてはほとんど気にしていないのです。

とくに物流をアウトソースしている企業については、その傾向が顕著です。

皆さんに是非、知っておいて頂きたいトラックの生産性を表す指標が「トラック実働率」です。
実働率とは、保有する車両の運行可能な総日数に対して、実際に稼働した総日数の割合です。
保有するトラックがどれだけ有効活用されているかを示すこと出来ます。実働率の求め方は下図の通りです。

 

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「延実在車両数(日車)」というのは自社が保有するトラックの実在車両数です。
仮に集計期間を1月の1ヶ月間とします。
自社の稼働日が22日で、保有車両が15台であれば、「延実在車両数(日車)」は22日×15台で330台になります。

対して「延実働車両数(日車)」は貨物を乗せて走行した車両数になります。
1月の1ヶ月間の運行日報を見て実際に貨物を乗せて走行した車両数を計算して下さい。
仮に 「延実働車両数(日車)」が264台であれば、実働率は下記の通り80%になります。

 

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*** トラック実車率を数値で見える化する ***

 

次に「トラック実車率」について説明します。
実車率は保有する車両の走行キロ数の内、実際に貨物を積んで走行したキロ数の割合です。
実車率を数値で見える化することで、付加価値を生まない走行実態を把握し、運行ルートや荷主企業の組み合わせ等を検討することが可能になります。

実車率の求め方は下図の通りです。

 

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「総走行キロ数(Km)」は貨物を乗せていない時も含めた総走行キロです。
対して「実車キロ数(Km)」は貨物を乗せて走行した実車走行キロになります。
どちらの数字も営業所にある運行日報から拾える数字です。

例えば自社の全車両の1月の総走行キロ80,000kmに対して、実際に貨物を乗せて走行した距離が58,000kmであった場合の実車率
は、下図の通り72%になります。

 

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*** まとめ ***

 

輸送の効率化とは、同じ物量に対し輸送時間の短縮や費用の低減を行うことです。
その為には車両1台当たりの輸送量の向上を図る必要があります。
輸送を数値で見える化することで、運賃削減、コスト削減を実現することが可能になります。

製造業の輸送は無理や無駄が沢山潜んでいます。
これは他の業種の比ではありません。製造業の皆さんが今後輸送改善に取り組まれ利益向上されることを願います。

 

参考文献:
苦瀬 博仁氏による国土交通省学会誌における論説『日本における都市物流政策の過去・現在・未来』
苦瀬 博仁著 『江戸時代から平成までロジスティクスの歴史物語』白桃書房
朝日新聞『輸送「脱トラック」今度こそ国、船・鉄道への転換促す。運転手不足に対応・環境負荷低減』
仙石 恵一著『製造業の輸送改善』日刊工業新聞社
月刊マテリアルフロー2018年5月号 P83 流通研究社
国土交通省統計情報

 

*** 最後まで読んで頂いた方に耳寄りなお知らせ! ***

 

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