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*** 顧客の記憶に残らないショップの名前 ***
マーケティングの本質とは “売れる仕組みで選ばれる必然を作り出す” ことです。
そして、ECマーケティングにおいて興味深い点は、顧客と商品の接点を制することで売れる仕組みを構築することができるということです。
今、「付加価値物流」が大変注目を集め、ロジスティクスを自社のブランド構築に利用するEC事業者が急増しています。
仮想モールに出店している場合は、顧客がショップの名前を記憶して、次回同じ商品をリピート購入する確率は高くありません。
そのショップでしか手に入らない商品であれば話は別ですが、どこでも手に入る商品だとすれば、同じ商品名で検索した際に、たまたまヒットした安いショップで購入することになります。
筆者はよく取引企業様の社長就任のお祝いや、事務所移転のお祝い等で胡蝶蘭をお送りすることがあるのですが、自分でも気が付いたら毎回違うショップで送っていました。
「胡蝶蘭 お祝い」等で検索するのですが、その時表示された上位の2~3ショップを検討して、一番気に入ったところを選びます。
決して前回購入したショップが気に入らなかったわけではありません。単に記憶していないだけです。
購入したショップを記録したりはしませんし、頻繁に利用する商品でもないので、次回利用時にはすっかりショップ名は忘れてしまっています。
*** ロジスティクスによるブランド戦略3つのポイント ***
最近では、少しでも顧客にショップの名前を覚えてもらってリピートしてもらおうと多くのEC事業者がロジスティクスを活用したブランド戦略を行っています。
今回はEC事業に有効なロジスティクスを活用したブランド戦略を3つご紹介します。
物流では、指定された納期に指定された商品が顧客に届くことが最低限の品質になります。
これが死守されなければ、即刻大クレームになりかねません。
またBtoBの取引のように、始末書や顛末書を提出して「次回は気を付けてね」では済まされません。
次は別のショップで購入をされ、二度と購入をしてくれなくなる可能性大です。
倉庫管理システム(WMS)や在庫管理システムを導入して、バーコード管理による誤送の撤廃、顧客の指定納期をしっかりと管理しなければなりません。
ここまでは最低限の基本戦略となります。
続いてリードタイムの短縮と明確化です。まずはエリア毎に、注文してから何日で届くかを顧客に見える化します。
そしてリードタイム短縮の為の取り組みを行います。リードタイムが競合店より短縮できれば、それは自社のブランド向上に繋がります。
リードタイムを短縮する為には、宅配キャリアを顧客のニーズ、配送先エリア、商品の特性等を考慮して上手に使い分けることが重要になります。
「うちは大手の宅配キャリア1社に任せている」といった事業者も多いようですが、今後は少なくとも3社~5社の宅配キャリアと契約して、コストとサービスのバランスの観点から、緻密に組み合わせて最適化を図ることを強くお勧めします。
顧客からオーダーが入ったタイミングで商品を仕入れて販売する「受注型」のショップは意外と少なくありません。
在庫するリスクを抱えたくない気持ちは分かりますが、これだとネット上での売上は伸びません。
自社で在庫を抱えてオーダーに対してリアルタイムに在庫を引当して、当日の出荷に回す仕組みの構築をお勧めします。
どうしても在庫を抱えたくない場合は、顧客から入ったオーダーに対して、仕入先から直送をするドロップシッピングという方法もありますので、そちらを検討してみるのも一つの手でしょう。
ただしドロップシッピングは最終の出荷をベンダー任せにするので、在庫を抱えるリスクはなくなる反面、その他多くのリスクが発生しますので、筆者の個人的な意見としてはベンダーに対する発言力の小さい小規模なEC事業者には向いていないと思います。
在庫型にシフトした場合に、注力したい点が、商品のABC分析による在庫コントロールです。
EC事業者に限った話ではありませんが、自社で利用している販売管理システムや在庫管理システムにABC分析機能があっても、上手に利用出来ていない企業が多いのが実状です。
在庫型にシフトした場合、取扱い商品全ての欠品リスク無くすというのは現実的ではありません。
在庫過多となり、あっという間に資金繰りに切迫することになってしまいます。
かといって、経験と勘を頼りに在庫をコントロールすると、売れているAランク商品で欠品を頻発させてしまうといった事態にもなりかねません。
ここでABC分析を上手く活用しましょう。
Aランク商品は欠品のリスクを限りなくゼロに近づけるように在庫コントロールし、Bランク商品についてはたとえ欠品してもすぐに手配が出来るように準備しておけば、確実に売上を上げることが出来るようになります。
顧客が欲しがっている商品が欠品することによるショップの信頼度低下は実は計り知れないほどなのですが、意外とそうした意識を持たれていない事業者が多いことには驚かされます。
昔は顧客も在庫が無くても入荷まで待ってくれていましたが、今は時代が違います。
昔の商売感覚でネットショップをされている事業者は今すぐに考え方を改めて下さい。
よほどの理由が無い限りは一瞬で見限られてしまいますので、Aランク商品については絶対に欠品がないように在庫をコントロールしましょう。
冒頭でも書いた通り、初めて商品を買ったユーザーにショップ名を覚えてもらうのは困難です。
覚えてもらう為には、商品到着時の印象アップを図る必要があります。
最近は多くのEC事業者が次回注文時には商品名ではなく、ショップ名で検索されるように様々な工夫をされています。
ここで効果が実証されているいくつかをご紹介しましょう
1.小冊子とオリジナルの絵葉書を商品に同梱
2.出荷用の段ボールに利用するガムテープにイラストを挿入
3.段ボールの上蓋の裏面にマスコットキャラクターをデザインした例
4.カッターが無くても開梱できる工夫がされたテープレス梱包材の利用
ネット通販を利用した顧客が最も喜ぶ瞬間は段ボールを開けた瞬間と言われています。
ネット通販のレビューを書く人の多くは、商品が届いて商品を開梱した直後に評価します。
つまり、ショップの評価を左右するのは商品が到着した直後の印象なのです。
その瞬間に一工夫施すことで、ショップの印象が顧客の頭の中に資産として残り、リピート購入に繋がります。
*** まとめ ***
顧客の頭の中にあるショップに対する一定のイメージのことをブランドエクイティと言います。
ブランドエクイティをロジスティクスで他社より有利に築くことで、自社の商品が選ばれる必然を作り出すことが可能になります。
ロジスティクスにより生み出されたブランドエクイティは文字通り自社の重要な資産となります。
日々のロジスティクス活動で顧客の頭の中に貯金をしているようなものです。
是非、本稿でご紹介した取り組みを実践され、自社のブランド構築にお役立て下さい。
EC事業者のこれからのロジスティクス戦略の一つとして、宅配キャリアの選択が上げられます。
ネット通販の物流コストの約半分は、宅配運賃コストで占められています。
これを見直す為には、受注データをエリア別&サイズ別に分析し、最適な宅配キャリアを選択し、運賃を算出しなければなりません。
輸快通快は業界初となる、宅配キャリアの選択を最適化し、効率的な配車体制を支援するシステムです。