皆様こんにちは。
今回は【深刻化が進む物流業界の人材不足と今後の物流事情】について書きたいと思う。
◆私たちの身近な生活への影響
皆様もニュース等で既に耳にされていると思うが、宅急便の一斉値上げを5月22日にヤマト運輸が発表した。
実際の料金の値上げは10月1日より開始されるのでまだ実感が湧かない方も多いはずだ。
27年ぶりの運賃改正を行うにあたり一番の要因は【人材不足】の影響である。
以前の記事、【『クローズアップ!世界各国のニュースと物流の関係』~拡大を続けるEC市場と悩める運送会社の実態~】
でも書いたが、物流業界は全体的な人材不足に問題を抱えている。
詳細は下記よりご確認いただきたい。
https://www.inter-stock.net/industrytopics/no58/
人材不足の影響により、今回の値上げに踏み切ったが根本的な問題が解決できなければ今後更なるサービスの改悪が予想される。
既にヤマト運輸が発表しているのは変更は下記の通りだ。
【サービス変更内容】
・レジャー用品のサイズ運賃の変更(380円の値上がり)
・配達時間帯の指定枠の変更(12時~14時の指定がなくなる)
・当日の再配達受付締切時間の繰り上げ(2017年4月24日より)
◆物流業界の実態と今後の物流事情
しかし、一番我々が恐れないといけない点はこのまま【人材不足】に拍車がかかると最終的には物流機能がストップしてしまうことではないだろうか。
なぜここまで物流業界で人手不足が進んでしまったのか考察してみた。
1990年の規制緩和で新規参入が進み、物流事業者が急増したことが根底にある。
業界的にも決定的な差別化が難しいこともあり価格競争を進めた結果が今に至るのでないかと考える。
価格競争が進む事で企業の収益率は下がってしまう。
他業種では価格競争を行った場合に、材料の原価を下げる等で賄うことができるが、運送会社は人件費のカットをせざるを得なかった。
その結果、他業種にくらべ収入が低い・過酷な労働イメージが先行してしまい、若者への人気も低迷している。
物流業界は今後、改善していく課題は山のようにある。
そんな中、ある企業ではおもしろい取り組みを行っている。
◆ここまできた。【テクノロジー】を活用した物流スキームに期待
2017年7月7日に発表があったヤマトHDとラクスルによる企業間物流の構造改革を目指すための資本提携である。
ラクスルは皆様もすでにご認識をされているとおもうが中小運送事業者トラックの非稼働時間と企業の物流ニーズをマッチングする【はこべる】といった
サービスを提供している。
両社の狙いは、上記でも上げた、ドライバー・車両不足以外にも出荷納品時の煩雑作業・待機時間の発生等による
機会損失の課題をデジタルテクノロジーを活用しいかに解決するかである。
検討しているシステムは、荷主が発注したい業務をネット上に公開し、運送会社が応札し、対応可能な業務を表示し荷主が依頼できる仕組みだ。
システムが実現できれば、荷主は複数の運送会社の料金や納期を比較ができ、最適な条件で選ぶことができる。
このサービスは2020年を目途に運用を始める予定である。
◆まとめ
ここまで浮き彫りになってきた今後の物流の大きな課題である【人材不足】に様々な企業が手を打とうとしている。
配送の問題が解決したとしても、【人材不足】の問題が解決するわけではない。
受取人不在の【再配達】のリスクにも手を打つ必要はでてくる。
テスト的に首都圏地盤の生活協同組合コープみらいでは、比較的受け取りやすい早朝や深夜に配達時間を分散して配達を行い始めている。
通常の日中配送が配送1件に平均7分半ほどかかるところ、早朝であれば5分ほどに短縮ができる見込み。
共働きなどで日中受け取りが難しい消費者にも関心が高まっている。
しかし、消費者もECの拡大などで便利になる一方、配送サービスを当たり前と考えることをこの機会に見直す必要はあると強く感じる。
著者:コニー
アパレルブランドで培った経験を活かし、 アパレル物流について日々勉強中。