物流とテクノロジーの融合ですぐに思い浮かぶのがAmazonです。
最近ではAI(人工知能)テクノロジーを駆使し、あらかじめ注文がくると予想される消費者の近くに商品を
届けるシステムも活用されています。
今後テクノロジーは物流をどのように変えていくのでしょうか。
これまでも既存の事業に最先端テクノロジーを融合させることで大きくビジネスモデルを変容させてきました。
今では活用が当たり前となったインターネットとビジネスを融合させることで、これまで何年、何十年とかかってい
た情報収集や比較が一瞬で可能となりました。
これまではTVや新聞で多額の費用を必要としたマスに対しての情報発信も、無料で行えるようになりました。
インターネットがなかった時代、筆者も電話帳を片手に営業活動をしていました。
毎日のように見込み客の事務所に訪問して、名刺を配っていました。
テクノロジーを上手に使うことでビジネスは圧倒的に効率化されます。
しかし、結局どこまでいってもテクノロジーは人間を代替することはできないというのが筆者の考えです。
人間が出来ることを補完するだけなので、いま世界で危惧されているような人間との競争も起こりえないと考えて
います。
またテクノロジーはすぐにコピーが出来てしまいます。
ビジネスというのは、情報や技術の”差”を利用することで発展します。そうした意味でいうと、テクノロジー自体
は一時の競争優位性にはなるかもしれませんが、すぐに多方面で利用され、その”差”はなくなります。
Amazonも最先端テクノロジーの活用で翌日発送、当日発送を実現しているように思われがちですが、実際にそれを
運んでいるのは、トラックとそのドライバーです。そこにテクノロジーはありません。
ITの巨人といわれるAmazonですら、人間が行うアナログな部分で競争優位性を持っているから強いのです。
ドローンや自動運転による無人配送が話題ですが、これもあくまで人間ができることの補完であって、それ以上は望め
ないと思います。
結局のところ、テクノロジーでは実現できないところに競争優位性を持っていなければ、企業が長期的な成長を手にす
ることが出来ないと思います。テクノロジーの可能性を最大限生かしつつ、その限界を知りながら上手く活用することが
重要です。
ビジネスの本質は変わりませんが、テクノロジーはそのビジネスに大きな影響を及ぼします。
テクノロジーの活用そのものが重要なのではなくて、自分達のビジネスで重要なことをテクノロジーを使っていかに効率
的にこなすかということです。
-ビジネスの目的や目標をいかにテクノロジーを活用して効率的に達成させるのか-
そのためには、世界の最先端テクノロジーを知っていなければなりません。そのための知識習得が必要です。
自分達のビジネスで重要なところに、上手にテクノロジーを活かせる企業がビジネスをリードしていくことは間違いありません。
***コストについて正しい認識を持とう***
企業のロジスティクスを語る上で、2大コストとされるのが、「物流コスト」と「在庫コスト」です。
この2大コストをロジスティクス・マネジメントの観点で考察します。
ここ数回は、在庫コスト&物流コストの削減の方法についてのヒントを説明しましたが、今回は少し頭を休めて、”コスト”
について考えてみましょう。
”コストを削減する”ということになれば、”コスト”について正しい認識を持つ必要があります。
会社のトップが、社員に「コストを削減するように」と指示を出して、それを社員に実行に移ししてもらおうと思えば、コスト削減
の意味を明確にしなければなりません。
多くの会社で”コスト”といった漠然とした抽象的な用語に惑わされています。在庫コスト削減も物流コスト削減も思った成果
があがりません。
”コスト”とは”作業費用”です。
”在庫コスト”とは在庫を管理、運用する為の作業費用であり、”物流コスト”とは商品を運ぶための作業費用です。
ということは、コスト削減とはその作業を減らすことになります。
在庫コストを削減しようと思えば、在庫を管理する作業をいかに減らすかを考えればよいことになります。
同様に物流コストを削減しようと思えば、商品を運ぶ作業を減らすことを考えるのです。
例えば、物流コストを削減する為に、これまで長く付き合いのある物流パートナーに単価の値下げ交渉をしたとします。
これは”コスト削減”ではなく、”節約”です。
コスト削減とは、いま行っている作業を止める、もしくは減らす、もしくはアウトソースするなどを検討し実施することです。
コスト削減を節約とごちゃまぜにしていると、なかなか思うような効果を得られません。
***コスト削減のシンプルな方法***
在庫管理コストを削減しようと思えば、以下のような手順になります。
1.在庫管理を行う業務を整理して、基礎作業を100個リストアップします。
2.このリストを作業時間の多いものから順に並べます。
3.上から順にその作業を止めるか、減らすか、ITを活用するか、アウトソースするかを検討します。
シンプルですが、これがコスト削減の本質であり、基本です。
節約もコスト削減に含めて考えても構いませんが、本質ではないことを経営者がしっかりと理解をしておかなければなりません。
あとは、ここで決められた行動を必ず社員全員でやりとげるということです。