将来に向けた効果的なロジスティクス・マネジメントを推進しよう ~在庫管理マネジメント編~(1)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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将来に向けた効果的なロジスティクス・マネジメントを推進しよう ~在庫管理マネジメント編~(1)

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ヤマト運輸が宅配サービスの抜本的な改革の為、正午~午後2時の
間の「時間帯指定サービス」を取りやめる方向で検討に入りました。

ネット通販大手アマゾンの宅配を引き受け、宅配個数が約17億個を超え、
今後も更に増えることが予想されています。

同社では最近、ドライバーの疲弊やサービス残業などの暗いニュースばか
りが取り沙汰され、つい先月も労働組合が春闘の交渉で、宅配便の荷受量
の抑制を求めたことがニュースで報じられたばかりです。

物流に限ったことではありませんが、サービスや作業の”効率化”を過度に
追い求めすぎると企業全体としてのバランスを崩してしまうことがあります。

仕事は毎日その日すべきことを終わらせることが求められます。
そして出来るだけ短時間で多くの作業をすることを求められます。

「いかに早く、いかに多く、いかに安く」

こうした’効率化’の過度な要求は、現場の士気を下げ、企業全体としての
パワーバランスを崩してしまい、決して’効果的’ではありません。

本当に大切なのはやり遂げた数ではなく、一つ一つの行動がいかに
’効果的’になされたであるからです。

ロボットが全ての作業を行う場合は、効率性を最大限求めることに否定要素は
ありません。

しかし、現在の物流において8割以上の作業は人間が行います。

仕事の失敗の原因は、’効率性’を求める過ぎるあまり、多くのことを’非効果的’
な方法で行い、充分な’効果性’を発揮できなかったことに起因します。

一つ一つを’効果的’に行動することが、全体最適の観点から最も’効率的’
であることは明らかです。

 

***企業におけるロジスティクス活動の役割***

 

もともと”ロジスティクス”というのは、軍事戦略として、システム化されたものです。

そのシステムが市場の需要を見極めて、タイミングよくモノを生産し、供給する
管理手法として現在では多くの企業に研究・利用されています。

企業におけるロジスティクス活動の役割は主に以下の4つに整理されます。

1.顧客の購買行動における顧客ニーズを知って、他社との競争優位に立つ顧客
  サービスを提供する

2.ロジスティクスネットワークを構築し、資材調達から顧客納品までのスループット
  タイム(通過時間)を短縮し、経営効率を高める

3.効果的なシステム形成とマネジメントにより、コスト競争力を強化する

4.企業の社会的責任を果たし、地球環境に配慮する

–日本ロジスティクスシステム協会発行
物流技術管理士資格認定講座資料より抜粋–

今回は上記4つの役割のうち、3つ目の「効果的なシステム形成とマネジメントによるコス
ト競争力」にフォーカスします。

企業のロジスティクスを語る上で、2大コストとされるのが、「物流コスト」と「在庫コスト」
です。この2大コストをいかに企業は操ることができるのかを、ロジスティクス・マネジメント
の観点で考察をしたいと思います。

まずは『在庫マネジメント』から進めていきましょう。

 

***ロジスティクスの2大コストはR・O・Aに深く関連する***

 

企業の経営効率を図る指標として代表的な「R・O・A(総資産経常利益率)」との関係から、
ロジスティクス戦略の方向を知ることが出来ます。

先に述べた顧客サービスの提供は営業収益に効きます。
そしてコスト競争力を強化することで、経営コストを削減出来ます。

棚卸資産、在庫の削減、在庫回転率の向上は流動資産に関連してきます。

在庫に絞って言えば、顧客が必要なときにいつでも必要な商品が手元にある状態を
キープする必要があります。

在庫充足率、欠品率、品切れ率などを管理されている企業も多いと思います。
当然顧客サービスは向上し、先のR・O・Aの営業収益の向上に大きく貢献します。

しかし欠品を減らす為には在庫を多く持つ必要があり、在庫過剰が状態化してしまうと、
棚卸資産は増えて回転率は低下し、今度は逆にR・O・Aの流動資産に大きくマイナスの
影響を与えることになってしまいます。

また最近では顧客へのリードタイム短縮の要求が高まる中で、在庫拠点を顧客の近くに
分散する戦略に戻している企業もあります。

当然顧客が必要な時にタイミングよく提供できるので、その点では顧客サービスは向上し
ますが、逆にエシェロン効果(※注)により安全在庫量が増え、在庫増、回転率悪化に繋
がります。
(※注:エシェロン効果・・・在庫拠点増加と安全在庫量は拠点数の平方根倍に増加する)

 

***在庫マネジメントの成否は在庫のコントロール力***

 

在庫マネジメントにおいては、常にこの顧客サービス向上と在庫削減がトレードオフ(※注)の
関係にあり、このバランスを上手に管理することが企業の在庫マネジメントの肝であり、
一番難しいところでもあります。

(※注:トレードオフ・・・一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという 状態・関係のこと)

在庫マネジメントの成否はいかに在庫をコントロールするかにかかっていると言えます。
次回はこの在庫コントロールについて考察を深めます。

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