中国最大手のICTソリューション・プロバイダーである華為技術(ファーウェイ)が日本に先端技術を研究開発する拠点を設けます。
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の時代に向けて、次世代無線技術「5G」や仮想現実(VR)などの技術開発を目的としています。
従来のワイヤレス・ネットワークの1,000倍のキャパシティがあるとされるこの「5G」は、少なくとも1,000億のデバイスが接続可能となり、2020年から2030年に向けての展開が予想されます。
この次世代無線技術「5G」は今後ロジスティクスITの分野でも急速に展開されていくでしょう。
これからの物流施設は従来の倉庫のように商品を在庫して保管するだけでなく、倉庫施設内で仕分けや梱包といった「流通加工」と呼ばれる作業が必要になってきます。
ネット通販の需要拡大により、多品種少量の商品を圧倒的な短納期で配送する必要があります。
さらに、時間帯指定の宅配を希望する利用者も年々増えています。
ある宅配大手のデータによると受け取り時間の希望は午前中と夕方以降に6割が集中するといいます。
このピークの時間帯に遅配がおこらないようにする為には、「流通加工」作業の効率化が大きなポイントになります。
しかし、日本ではこうした需要に十分に対応できる最新型の物流施設は倉庫全体の3%程度です。(ちなみに米国では30%程度)
人やドライバー不足が深刻化していますが、これからはこうした物流ニーズに対応できる最新型の物流施設が不足していきます。
流通加工を効率的、流動的に大量に捌ける最先端技術を保有した物流施設が求められていく中で、「5G」などの次世代技術が急速に活用されていくことも想像に難くありません。
あらゆる場所で人とモノを即時に距離感なく接続を可能にするウルトラ・ブロードバンドなネットワーク機能は、これからのロジスティクスITの変革を飛躍的に進展させる基盤となることでしょう。
***ポイントはサプライチェーンの見直し***
さて今回も前回に続きリアル店舗小売業のオムニチャネル戦略をテーマに、物流管理
&在庫管理の視点で考察します。
リアル店舗小売業がオムニチャネル戦略を進める上で、どのようにロジスティクスを
革新していけばよいのか?
オムニチャネル化により大幅に増加した在庫を慌てて削減するのは、顧客ロイヤルティ
という強みを消してしまい得策ではないというのが前回までの話しです。
在庫削減よりも、店舗を持っているという弱点を強みに変えていく戦略が必要です。
そのためにはリアル店舗から上がってくる情報とオンラインで獲得できる情報を掛け合
わせることで、在庫管理に活かさなければなりません。
解決のポイントはサプライチェーンの見直しです。商品の在庫が販売チャネルごとにバラ
バラに管理されているため、店舗により在庫量にバラツキが生じます。
前回のメールでご紹介したアパレルチェーンの失敗例のように、店舗の在庫が欠品する
と大半のお客様は別のお店に流れていってしまいます。
オムニチャネル戦略によるサプライチェーン見直しのポイントは2つあります。
***顧客とのコンタクトポイントを全て把握する***
一つ目のポイントは、顧客とのコンタクトポイントを全て把握し、情報を一元管理すること
です。その情報をもとに何をどこで購入するのかを予測することが可能となりどの商品の
在庫をどこにどれだけ置くかという判断をすることが出来ます。
店舗販売、オンライン販売、電話、カタログ販売などにまたがる全ての情報を手にいれる
ことができるオムニチャネル化ならではの在庫管理を実現することで、欠品による失注を
なくしながら、在庫を最適化出来るのです。
***顧客中心の組織への変革***
2つ目のポイントは、
顧客中心の組織に作り変えるということです。
顧客とのコンタクトポイント全てでデータベースを構築し、在庫を一元管理することで、オム
ニチャネルの強みを最大化したサプライチェーンを構築できるかのように錯覚します。
既にこうしたシステムは多くの企業が導入を進めています。
しかし、思うようにデータを活かし効率化出来ている企業が少ないのも事実です。
それはオムニチャネル戦略を進める全ての企業の前に立ちはだかる大きな壁があるから
です。
オンラインの顧客情報、リアル店舗の顧客情報が分断され、各チャネルごとに蓄積された
データを連携させて横断的な活用が出来ないという壁です。
その壁を超える方法が「顧客中心の組織に作り変える」ということです。従来の仕組みは企
業側から見た仕組みです。こうした仕組み作りではどうしても部門や販売チャネルごとに情
報が分断されてしまいます。
顧客中心の視点でサプライチェーンすべてを見直す必要があるのです。
リアル店舗小売業がオンライン販売に進出すること自体はそれほど困難ではありませんが、
顧客中心の組織への変革を行い、サプライチェーン全体を見直し顧客ロイヤルティを最大
化することが大変難しいのです。