三連休はいかが過ごされたでしょうか?
以前は10月10日が体育の日だったのですが、2000年に
10月の第2月曜日が体育の日に変更となりました。
以前のように10月10日が体育の日になるのは、
5年ぶりだそうです。
ご存知の方も多いと思いますが1964年(昭和39年)の
東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を、
国民の祝日としたのが体育の日です。
2020年の東京オリンピックの開会式は7月24日です
から、7月にも国民の祝日が増えることを期待しましょう。
さて今号も、前号から続いて
新聞やTVなどでよく話題に取り上げられる”食品ロス”の
問題に対して事業者向けの取り組みとして物流や
製品・材料の在庫管理について考察していきます。
筆者は、業界全体で見直しが必要な事項として、
”納品期限の見直し”が最重要且つ最優先だと考えています。
前号では経済産業省が取り組んでいる納品期限の見直しに
関する実証事業の概要についてご紹介しました。
今回はこの実証実験の結果を少しご紹介しながら、引き続い
てみなさんと”食品ロス”の課題について考えていきたいと思います。
まず実証実験の具体的な内容を見ていきましょう。
◆実証方法
実証事業の参加企業が、飲料・菓子の一部品目の小売店舗へ
の納品期限を従来の「賞味期間の2/3残し」から「賞味期間の1/2残し」へと
緩和し、それに伴う返品や食品ロスの削減量の効果を測定を行いました。
◆実証期間
6ヶ月
◆実証企業
スーパー5社、コンビニエンスストア3社
実証方法が少し分かりにくいので、もう少し分かりやすく解説しますと、
賞味期限が製造日から6ヶ月の商品の場合、、、
<従来の納品期限>
賞味期間の2/3を残すわけですから、小売店舗へ賞味期間
が4ヶ月残った状態で納品しなければなりません。
<実施期間中の納品期限>
こちらは賞味期間の1/2を残せばよいわけですから、小売店舗へ
賞味期間が3ヶ月残った状態で納品すればよいわけです。
つまり、賞味期限が製造日から6ヶ月の商品の場合、
1ヶ月の納品期間が余分に与えられるというわけですね。
この方法で実施企業8社の6ヶ月の実証結果は下記の通りです。
①参加した小売 8 社のうち7社の物流センターにおいて
納品期限切れする商品の比率が減少。
(残り 1 社は納品期限切れの商品がありませんでした)。
②小売店舗での廃棄については、賞味期間120日以下の菓子
を実証実験した企業では大幅に増加しましたが、それ以外の
店舗では廃棄の増加は見られなかった。
<実証効果のまとめ>
1.食品ロス削減効果を拡大推計すると、40,619トン。
(事業系の食品ロスの1.0%~1.4%に相当する量)
2.飲料及び賞味期間180日以上の菓子等は、食品ロス削減効果が見込まれる
やはり賞味期間が長い商品ほど、その効果は大きくなるようです。
そもそもなぜ納品期限が短いと”食品ロス”が増えてしまうのでしょうか?
簡単にその構造をご説明しますと、、、
メーカーや卸側では、商品をいつでも欠品なく供給できるよう一定
の在庫を持ちます。
しかし、小売店舗での売れ行きが予想を下回ってしまうと、
メーカーや卸売側では商品が不良在庫として滞留してしまいます。
そして賞味期間が2/3を割ってしまうと、納品が出来なくなります。
卸売業の在庫であれば、メーカーへの返品となり、
メーカー側は廃棄を余儀なくされます。
これが納品期限によって返品や廃棄が発生し、”食品ロス”を
増大させてしまう仕組みです。
3分の1ルールを改めようと、国が旗を振って食品業界が動き出して
いることは事実です。
しかし、なかなかルールの見直しが業界全体として浸透していない
というのが現実です。
ある食品メーカーの担当者はこう漏らします。
「農林水産省など国が強制力を持って改革をしているわけではないので正直厳しい。
仕方なく個別に小売企業にアプローチしてはいるが、『3分の1ルール』を
強く要求する企業が多くなかなか進まない」
この『3分の1ルール』というのは国際的にみても他国に例のないほと
厳しいオペレーション基準です。
なぜ日本ではこのような商習慣が定着してしまったのでしょうか?
食品に限らず日本という国は品質にとてもこだわる国です。
また非常に鮮度志向が強く、消費者の意見が強い国であることも起因しているのでしょう。
しかし、この厳しい基準が食品ロスを発生させる構造になっていることは、
あきらかな事実である以上、業界全体でこの議論に焦点をあて是正が
進むことを望みます。
はたしてこの納品期限の問題について企業側、消費者側で
どのような手が打てるのか?打つ手はあるのか?
次号ではそこに焦点をあてて、考えていきたいと思います。