今回はリードタイムの短縮についてお話しします。
リードタイムとは、売り手から見て受注してから納品するまでにかかる時間のことで、この時間が短いほど競合に対し優位に立てるといわれています。
◆受注生産であれば在庫は0に
注文住宅の建設や、特注家具の製作を依頼する場合、お客様から注文を受けてから材料を手配して作るため、在庫を0にすることができます。
特注品のため、お客様はでき上がるのを待ってくれるため、リードタイムにも余裕が持てます。
製造業に当てはめると、試作品の製作がこの形態になり、在庫は0で不良在庫は発生しません。
◆原材料在庫で対応する
在庫0は魅力的ですが、特注品ではなく代わりの商品がある場合、お客様はそちらに流れてしまいます。
お客様を逃さないために在庫を持ち、リードタイムの短縮を図ります。
レストランでオーダーする場合、調理の間の多少の時間、お客様は待ってくれますが、オーダーがあってから食材を
調達することなどまずありえません。
そこで、原材料を仕入れておき、お客様からのオーダーにあわせて料理を作ります。
しかし、注文が特定の料理に偏るような場合は問題です。
特定の食材だけが不足し、他の食材が不良在庫になってしまいます。
賞味期限切れになれば廃棄になってしまうため、高い精度の需要予測が必要になります。
◆半製品在庫で対応する
お客様の待ち時間が原材料在庫では間に合わない場合は半製品にして用意しておき、部品や中間在庫を持って、注文に合わせて組み立てます。
パソコンのBTO(受注があってから組み立てる)のようにハードディスクやメモリなどを部品で持っておき、お客様はネットで構成を
選択して注文する方法がこのやり方です。
◆お店の店頭在庫で対応する
お客様が待ってくれず、注文と同時に渡さないといけない場合には店頭在庫で対応します。
店頭で販売されている商品がこれにあたり、コンビニ弁当や衣料品などは、見込み生産で作られて店頭に並べられています。
この場合、店頭在庫や流通在庫で在庫を持たなければなりません。
売れ筋商品、死に筋商品という言葉があるように、売れなければ不良や廃棄在庫になり、予測以上の注文があった場合には失注につながります。
◆在庫を減らす工夫をする
同じ弁当を扱っていても、やり方によって在庫を減らす方法はあります。
例えば、冠婚葬祭時の仕出し弁当などは、予め人数や内容の予約を受け、食材の調達後に弁当を作るため、基本的に在庫はありません。
お昼に届く配達弁当は原材料在庫を持ち、注文に応じて配達出発までに弁当を作ります。
お客様が店に買いに来るほか弁の場合は半製品で在庫を用意しておきます。エビフライに衣をつけておき、注文があればそれを揚げて弁当に入れます。
在庫リスクを下げるためには、なるべくお客様に待ってもらえる工夫を凝らすことが必要になります。
◆生産リードタイムの減少で在庫は減る
昔の某ハンバーガー店ではハンバーガを見込み生産し、保温棚で保存していました。
お客様を待たせず商品を提供するため、店頭在庫で対応しようとしたからです。
作られたハンバーガーは調理後10分で廃棄する運用だったため、時には100個中20個を廃棄しており、廃棄ロスは売上高の0.8%も占めていました。
そこでハンバーガー店が行ったのが厨房システムを工夫し、調理からお客様に提供するまで90秒以内で行えるよう工程を刷新することでした。
そうすることにより、店頭在庫は0になりました。
つまり、生産リードタイムを減らすことで在庫を減らしたことになります。
もし在庫でお困りであれば、なるべく源流側に在庫を持つように工夫をし、生産リードタイムを削減できないか考えてはどうでしょうか。
現状の在庫が当たり前と考えず、店頭在庫なら半製品在庫で対応できないか、半製品在庫なら原材料在庫で対応できないか、もしくは在庫0にできないか新たな観点でリードタイムを見直してみれば在庫削減につながる糸口が見えてくるかもしれません。