今回は、3Dプリンターと在庫管理について記述していこうと思います。
3Dプリンターは1980年代に開発されましたが、当時はとても高い技術と費用が必要でした。
元々は試作品を製造するために作られ、大量生産する前までの製品の機能や形、デザインを確認するための模型を作るためのものでした。
そのため、作られる品質も模型の域を超えるものではなく、元となる材料もプラスチックか石膏のみでした。
しかし、ここ数年で飛躍的に3Dプリンターの性能が向上し、使用できる材料もどんどん増えてきています。
そうした状況の中、試作品の模型を作る道具ではなく、実用できるパーツなどを作ろうという目的で3Dプリンターの使用が始まっています。
国内の製造業、特に中小企業については受注生産を行っている企業が多く、得意先から新たなパーツの製作を依頼された場合、得意先の担当者などと打ち合わせを行い、材質や形、デザインなどを決め、それを基に生産を開始します。
仮に自動車のパーツとした場合、そのパーツを使用した自動車が生産され続ける間はそのパーツには在庫としての価値があります。
大量生産の場合、納品するパーツの1割をメーカーが持つといわれています。
パーツが使用されている間は在庫は価値を持ち続けますが、仕様変更や製造中止などによりそのパーツが使用されないことになれば在庫の価値は一気に〇になってしまうのです。
価値はなくても資産として計上されている限り税金もかかります。
昨今、どの企業も在庫は極力持たないようにしていると思います。
製造業の現場でも、可能な限り最小限の在庫で抑えるための努力がなされています。
そこで、3Dプリンターを使用することで在庫管理をより最小限に留めるメリットをもたらす可能性が出てきます。
現状では、3Dプリンターの性能はまだまだ実用には及ばず、使用できる素材も一部の素材に限られています。
しかし、このまま技術が進歩すれば、必要なときに必要なだけ在庫を形成することができるようになるのではないでしょうか。
積層スピードも改良されており、素材の種類も拡大して、金属やゴム系の素材、木材など、様々な材料が増え、異なる材料を組み合わせて精密に3Dプリントすることができる機種も発表されました。
一度作成したモノはデータで保存し、必要なとき、必要なだけ在庫をプリントし、在庫を圧縮できる時代が近い将来必ずやってくるでしょう。