皆様こんにちは。
今回は【海外生産の実態と目指すべきグリーンロジスティクス】に注目していきたいと思います。
前回の記事を書いて以来、アパレル物流と環境問題をどう共存すべきかを考え、アンテナを張り巡らしていました。
3Rについての記事でも書きましたが(記事No.36参照)、
「世界的にみてもファストファッションブランドを主軸に物流改善等に莫大な費用を掛けている。」
自分が以前いた業界について調べれば調べるほど疑問な点があるなかで、ある1つの映画に出会いました。
その映画は、アパレル産業が世界に与える影響についてのドキュメンタリーを描き、その中でも【大量生産】【大量消費】の問題点についてを描いています。
アパレル業界の華やかなイメージの陰に潜む闇に着目し、アパレル業界が今後目指すべきグリーンロジスティクスについて今回の記事を書いていきます。
普段私たちが何気なく身に着けている衣服の約90%以上が海外で生産されています。
特に数年前までは、中国が国内の繊維製品の一大供給地点でしたが、経済発展に伴い、人件費の高騰により繊維の拠点に変化が起こり始めました。
昨今では、ベトナムやカンボジア、バングラディシュなどの国々に拠点を移し始め、中国一国に製造を依存するリスクを顕在化させる【チャイナプラスワン】への動きが見られます。
全世界で服の生産を行っている人は約4000万人程います。
その中で問題になっているのが、発展途上国で低賃金労働による搾取や人権の侵害などの行為が頻発しています。
2013年4月、バングラディシュで起きた縫製工場【ラナ・プラザ】崩壊事故をはじめとした事故も記憶に新しく感じます。
ここ数年、ファストファッションブランドをはじめ洋服の価格が低下する一方、海外での低賃金労働の背景・人権の侵害を知った上で本当に喜べることなのかとても考えさせられました。
今までのように低コストで洋服を購入して着なくなれば、破棄するサイクルを今一度見直すべきではないかと感じます。
物流について学んでいる方は耳にしたことがあると思います。
グリーンロジスティクスとは、簡単に説明すると【環境に配慮した物流】を言います。
グリーンロジスティクスの定義として下記の三点が挙げられます。
・環境負荷・低減
・省エネ・創エネ・省資源化
・コスト削減・利益創出
私も物流について本格的に学び始めたのは、ここ数年になります。
グリーンロジスティクスついて当時は「へ~そうなんだ」程度でしかとらえていませんでした。
しかし、今回の記事作成にあたり、アパレル業界でグリーンロジスティクスのあるべき姿を考えた時にもう一つ重要なポイントがあると感じました。
それは【人への配慮】ではないでしょうか?
いくら低賃金で生産させ、SCMを強化した所で結局すべてをオートメーション化することは不可能だと思います。
結局は【人】を介さなければ何も生まれないと感じます。
華やかな業界の裏側では様々な問題がありますが、私たちはそれを知る機会がありません。
現在、アパレル業界が抱える海外生産の問題も、利益を優先した【人への配慮】を怠ったためここまで大きな問題になっている気がします。
このまま現在の状況が続けば、間違いなく状況はますます悪化するばかりに感じます。
物流は【顧客満足向上】、グリーンロジスティクスで【環境への配慮】のために強化を行うと提言し改善に力をいれる企業が多いのですが、いま一度、考え直す時であると思います。
アパレル業界のあるべきグリーンロジスティクスの姿として、企業は生産から物流にかかわるすべての人へ敬意を表すことが、結果的に環境への配慮に繋がるはずだと感じます。
消費者も同様にオムニチャネルでますます便利になる一方で、改めて自分が着ている服や購入する時に少しでも業界の抱えるを背景を思い出していただき納得した上でファッションを楽しんでもらいたいと思います。
参考文献
・映画【ザ・トゥルーコスト】アンドリュー・モーガン
・報告書 出る杭は打たれる:バングラデシュの縫製工場における労働者の権利問題
https://www.hrw.org/report/2015/04/22/whoever-raises-their-head-suffers-most/workers-rights-bangladeshs-garment
・バングラディシュ:ラナプラザ・ビル倒壊事故から2年、労働者の権利は否定されたまま ヒューマン・ライツ・ウォッチ
https://www.hrw.org/ja/news/2015/04/22/269717
著者:コニー
アパレルブランドで培った経験を活かし、 アパレル物流について日々勉強中。