今回は趣向を変え、在庫管理についてお話しさせていただきます。
ICT化が進み、在庫管理も最先端のタブレットやスマホを導入して、
サーバーはクラウドやデータセンターで活用されている企業も現れる中、
在庫管理システムは導入しているものの、活用できていないというケースが意外と多く見受けられます。
中には管理者の記憶で在庫管理をされている企業もあります。
在庫管理システムがありながら、なぜ活用されないのでしょうか。
それにはいくつかの理由があります。
在庫管理ではシステム上の理論在庫と実在庫を一致させる事が難しく、
整合性を取る事が難しいといわれます。
お客様から注文が来ると、担当者がシステムを使用せず倉庫へ走って、
実在庫を確認している企業もありました。
システムの理論在庫の数字が信用されていないからです。
このような状況に陥ってしまうと、システムを使用した在庫管理を行うのは至難の業になります。
中にはシステムありきでユーザーの事を全く考えていないシステムもあり、運用に合わせた改修を行うと莫大な開発費がかかり、
手が付けられず仕方なく使う、もしくは使うのを止めてしまう企業もありました。
システムというのは「ユーザーがいかに直感的に、便利に使えるように構築するもの」だという筆者の持論があり、常にそれを心がけてシステム構築を行ってきました。(基幹システムの場合は、それに経営層の意向を反映させる必要もありますが…)
人の介在で在庫の整合性に誤差が起きる事もあります。
一部例として、
・検収を放置していた在庫を引当てた
・サンプルとして出荷したが、在庫引当をしなかった
・アイテム数が多く、商品名など調べずに誤出庫した
・不良や返品が出た時の管理方法が整備されていない
などが挙げられます。
では解決するにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは、関連部署が集まり現状の分析を行い、業務の流れを見直します。
在庫の状態や在庫管理の流れを理論在庫と実在庫双方の動きから分析します。
次に、理論在庫と実在庫を一致させるにはどういう運用にすれば一番良いか、費用をかけないため、極力現状使っているシステムを変更しなくても済む方法を考えます。
在庫管理で一番嫌な顔をされるのが棚卸です。
しかし、棚卸頻度を増やす事で、理論在庫と実在庫の整合性が高まるのも事実です。
どうしても在庫が合わない場合には頻度を増やす事で、原因追求も容易になります。
従業員を動員しての棚卸で休みなどが取れないなど懸念事項がある場合、最近では費用がかかりますが、棚卸代行業者に委託されている企業も多数あります。
ある程度整合性がとれてくれば、一定のエリアごとに棚卸していく循環棚卸も効果があります。
いずれにしても、新しい運用をスタートさせる前に一斉棚卸が必要となります。
在庫管理は地味な仕事と思われがちですが、改善していく事で企業に利益をもたらしてくれるものだと思っています。
みなさんも、自社の在庫管理について確認してみてはいかがでしょうか。