消費者の口に運ぶ食品において、厳密な管理・運営が必要となる食品流通では最低限に管理・運営を見える化していかなければならない事項があります。
昨今、食品流通では様々な課題が挙げられていますが大きく分けて2つの項目があります。
(1)品質管理
(2)トレーサビリティ
製造から消費者の手元に届き、安全に食を楽しむ為には避けては通れない“物流”というフェーズがあります。
意外とこの物流過程での食品事故が多く、発見が遅れ、消費者からのクレームに繋がるケースは少なくありません。
今回は加工食品に絞ってお話を致しますが、この物流過程での事故は外箱などの損傷、破損等の即発見できる物と、外観では気づきにくいケースがあります。
例えば、、、
倉庫内の入出庫作業の際のハンドリング、もしくは輸送の際のハンドリング、店頭バックヤードでの入荷のハンドリング、店頭での陳列の際のハンドリング等の作業で手が滑り商品の落下等、何らかしらの損傷や破損に繋がる事故が考えられ、外観では問題無い状態ではあるが内部に影響が出ている事も考えられます。
しかし、ちょっとした接触等ではそこまで気にならない事も事実ですが、これらを未然に防がなければなりません。
物理的に損傷や破損をゼロにする事は至難の業になりますが、損傷や破損を未然に発見していく為にはこうした事故の記録等を管理し、見える化していく事が問われてきます。
この損傷や破損の発見が遅れた場合、消費者が購入した後に開封前の食品が腐敗、カビが発生している等、クレームに繋がる事となるのです。
ここ最近では、市販に輸送段階に損傷や破損がどの段階で発生したのかが分かるツール等も販売され、責任範囲の特定に役立つとして話題となっておりますが、それでも発生をゼロにする事は難しい事です。
そのクレームが発生した時に必要となるのが(2)のトレーサビリティとなります。
末端の消費者の方からの問合せに対し、この商品がどの段階から不良品となったのか、原因等を調査しなければなりません。
製造の段階で事故が発生しているのであれば、自主回収等の処置を取らなければなりませんが、偶発的かつ単発的な事故であれば自主回収まで踏み切る事はほとんど無く、個別の対応となる事が一般的となります。
この発生が偶発的かつ単発的であるという根拠になるのがロット管理での調査になります。
製造ラインや製造日等、ある特定の区分けでロット区分を行い管理可能範囲を設定致しますので、断片的な管理となり影響範囲を絞り被害を最小限に抑える事が出来ます。
このように、ロット管理を行う事でトレーサビリティを確立する事ができ、問題の発生要因等を特定していく事が可能となってきます。
今では当たり前になってきている『食の安全性』について、まだまだ課題は尽きないですが、これからも品質管理とトレーサビリティは食品流通で必要不可欠な要素であり、そのニーズは高まる一方であることに疑いの余地はないでしょう。
著者:モリオ
飲料メーカーで培った経験を活かし、 食の安全と物流をキーワードに執筆活動開始。