物流センターの現場を支援する物流情報システムはWMS(倉庫管理システム)とTMS(輸配送管理システム)を軸に構成されます。
WMSと輸配送管理システムは企業の基幹システム(販売管理、生産管理)と連携するサブシステムとしてその効果を発揮します。
WMSは主に物流センターでの在庫管理、入出荷作業指示、入出荷実績管理を行います。WMSの企業の導入目的は、倉庫内作業(入出荷、在庫管理、棚卸、物流データ管理)の効率化と品質向上にあります。
常に状態が変化する物流作業を支援する必要が有る為、WMSには基幹システムにはないリアルタイム性が要求されます。
入荷された商品をすぐに在庫計上し、最新の受注データと引き当てるなど、受注から出荷までのリードタイム短縮が企業に求められる昨今では、基幹システムのようなバッチ処理では対応出来なくなってきています。
WMSのもう一つの特徴として、ハンディターミナル等の現場系入力端末やマテハン機器(自動倉庫、コンベヤ、デジタルピッキング)
との連動があります。このようなハードウェアと連動することで、指示と作業を自動化し、倉庫内作業の効率化が可能になります。
WMSは現代物流においてはもはや必要不可欠な存在と言っても過言はないでしょう。
情報インフラの飛躍的な成長やクラウドによりさらなる進化を遂げているWMSですが、少しその歴史を振り返ってみたいと思います。
1970年代前半に搬送機械や自動倉庫などのマテハン機器をコンピュータで制御する仕組みとして導入され始めました。
それが日本におけるWMSの起源と考えられています。
高度成長期に製造業で広く普及が進んだ製造、販売、物流を統合したシステム(CIM)の一翼を担う形で生産管
理や工程管理と連携し、材料・仕掛・製品の在庫管理を情報管理しました。
2000年代に入ると海外企業が相次いで本格的なWMSを日本に持ち込み、導入を進めて行きました。
国内ではダイフク、日立物流、IHIなど物流関連大手企業がWMSの販売を行うようになり、WMSの市場は活発化していきました。
2008年には一度落ち込んだものの、現在はWMSを開発するベンチャー企業は増え続け、その市場は年20%で今後も拡大していくと見られて
います。(2015年2月時点)
今後の経済で影響力を増すEC市場の物流、モノつくり日本の製造業のサプライチェーンを支える重要な役割をWMSは期待されているのです。
WMSの機能は大きく分けて「計画系」「実行系」「分析系」に分けられます。計画系には作業員の配置計画や入出荷の物量を事前に予測する機能、倉庫内の作業をシミュレーションする機能等があります。
計画系についてはコストも高くつくことから、まだまだ導入されている企業は少ないのが実情です。
実行系には入出荷管理、在庫管理、ロット管理、作業進捗管理等の機能が一般的です。多くの企業が導入を行っており、WMSの機能というと主にこの実行系の機能を指す場合が多いです。
分析系の方は作業生産性分析、コスト分析、作業品質分析、在庫分析等の機能があります。
分析系も先進企業では積極的に導入が進んでいますが、その他の企業への導入はまだまだこれからといったところです。
最近ではクラウド等の月額で低コストに導入できるシステムも多く販売されており、費用的には減少傾向にあります。
ただしその一方では、物流プロセスを独自で設計し差別化を図る先進企業については、フルオーダーでWMSを作り込み、
多額のシステム投資を行う逆のケースも増えてきています。
いずれにしても倉庫在庫管理システム(WMS)は今後益々企業になくてはならない戦略的なシステムとして位置づけられることは間違いなく、オムニチャナルへの対応や、ウェアラブル等の入力端末を活用した次世代型のシステムも研究開発が進んでいます。
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著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。