データ活用が浸透しない本当の理由!真のデータドリブン組織作るには!?|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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データ活用が浸透しない本当の理由!真のデータドリブン組織作るには!?

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 画像素材:anna/PIXTA

日本は今、国をあげてデータやAIを活用できる専門人材の育成に力をいれています。この分野において日本は世界の先進国に大きく遅れをとっているので、私もこの意見には賛成です。しかし、実際問題として、データ分析には成功するが、現場業務にまで活用されないということが多いのではないでしょうか。
職業柄、様々な情報システムを利用する現場を見せて頂きましたが、高度なデータ分析が現場で活用されている例をこれまで一度も見たことはありません。

某有名ベンダーの開発した物流システムでは、在庫分析のグラフが一つの画面に12個も表示されていました。私も最初見たときはびっくりしましたが、それを誇らしげに見せてくれた現場の担当者に、実際にどのようにグラフを活用しているかと聞くと、「今日、久々に開きました(苦笑)」との回答です。

現場の方にその理由を聞くと「操作が難しい」とか、「分析の結果が思っていたのと違う」など、もっともらしい答えが返ってきます。しかし、それが本当の理由なのでしょうか?操作が簡単になって、分析の結果がそれっぽいと、本当に現場はデータを活用するようになるのでしょうか?

データを分析する技術開発や育成もとても重要ですが、いかにして現場でデータを活用するのか。ここに大きな落とし穴があるような気がしてなりません。

2024年1月28日 執筆:東 聖也(ひがし まさや)

 

<目次>

1.武田信玄が遺した教訓

2.AIと人間も信頼関係が大事?

3.データ分析が現場で活用されない3つの要因とは

4.意思決定プロセスを正しく設計する

 


1.武田信玄が遺した教訓

 

武田信玄は甲斐(現在の山梨県)を拠点に戦国時代に活躍し、「風林火山」の戦略で知られています。信玄は優れた戦略家であり、戦術や情報収集においても抜群に優れていました。その戦略や戦術は、武田流軍学として後世に伝えられています。また、信玄は、家臣団の統率に優れており、その下で多くの優秀な家臣が活躍しました。しかし、一方でその戦略や情報は、家臣や将校などの現場の指揮官や兵士たちにうまく伝わらないことがありました。彼の戦略が理解されず、適切に現場で実行されないことがあったという一説もあります。

風林火山のような抽象的な概念を理解し、それを具体的な戦術に落とし込むことが難しかったのでしょうか?信玄は、戦略や戦術を独学で身につけたため、その考え方は独特なものでした。また、信玄は、戦況に応じて柔軟に戦略や戦術を変更することが多かったため、家臣がその意図を常に理解するのは困難であったとも考えられます。

例えば、信玄は、山岳地帯を巧みに利用した戦術を得意としていました。この戦術を理解するためには、山岳地帯の特徴や、それを利用した戦術のメリット・デメリットを理解する必要があります。しかし、家臣の中には、山岳地帯の戦いに慣れていない者も多く、信玄の戦術を理解するのが困難であったと考えられます。

このような歴史的な例は、戦国時代だけでなく他の時代や文化においても見受けられます。成功した戦略や分析が現場での実務に結びつくためには、情報の適切な伝達やコミュニケーションが欠かせないことを教訓として得ることができます。

 


2.AIと人間も信頼関係が大事?

 

近年のAIなどのデータ分析にも同じことが言えるのではないでしょうか。高度な技術によって、より緻密な計画や分析が行えるようになりました。しかし、その分析結果が現場でしっかりと理解され、運用されているケースはどれほどあるでしょうか?

先日知人から興味深い話を聞きました。とある大手のスーパーでAIの自動発注の仕組みを導入したというのです。しかし、全く同じ仕組みでありながら、店舗によって、導入効果がまるっきり違うというのです。その理由は、店長がAIの分析結果をどれだけ信じるか、その差だと言います。AIの分析結果が自分が思っている結果と違ってもそれを信じて発注する店長と、AIの分析結果を疑って、自分の思っている数字で調整しながら発注する店長。皆さんはどちらが結果を出したと思われますか?正解は、AIを100%信じている店長のお店が結果を出すようです。

「結局のところ、AIと人間も信頼関係が大事ということですね」といって二人で笑いました。

 


3.データ分析が現場で活用されない3つの要因とは?

 

では、なぜ現場で活用されないのでしょうか?私なりに色々と悩み、考え抜いた結果、大きく3つの課題が見えてきました。

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上記の「方法」「時間」「行動」3つが現場では何も決められていない、不明確であるためにいくら優れたデータ分析結果があったとしても、現場では利用されないことになるのではないでしょうか。そして、この3つを解決する方法は、「意思決定プロセスを正しく設計する」ということになります。

AIが採用される際には、その意思決定のプロセスが透明かつ理解しやすいものであるべきです。現場の関係者がAIがどのようなデータやアルゴリズムを基にして意思決定を行っているのかを全く理解できない場合、信頼性が損なわれ、活用が進まなくなります。これは先に述べた大手スーパーの店長の話に通じます。全てのロジックを現場が理解する必要はありませんが、ざっくりどのようなプロセスでAIが意思決定をしているのかは伝える必要があるでしょう。

 


4.意思決定プロセスを正しく設計する

 

私の考える意思決定プロセスを正しく設計する方法は以下の手順です。

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これらのステップを踏むことによって、「方法」「時間」「行動」の3つを明確化し、現場で少しずつですが利用が進むようになります。データ活用というのは、意思決定にデータを用いるということです。つまり、「現場で活用される」というのは、「現場の意思決定にデータが活用される」ということになります。従来の現場における意思決定プロセスというのは、全て現場の経験と勘に頼ったものでした。そのため、暗黙知が多く担当者の頭の中を覗かない限りそれは、外からは見ることが難しいのです。現場でのデータ活用を進めるには、現場の意思決定プロセスに、データ分析の結果を活かせるように設計し、体系化し、形式知化する必要があるのです。

多くの企業では、業務フローや業務マニュアルによる業務設計はありますが、意思決定プロセスを設計している企業はほとんどありません。つまり、完全にブラックボックスなわけです。
そこに、更にブラックボックス(中で何を考えているか見当もつかない)なAIなどを持ち込み、現場で使わせようと思っても、無茶な話です。あらゆる組織において、データドリブン組織に変貌を遂げるためには、まずは意思決定プロセスを正しく設計することが第一歩ではないでしょうか。

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