共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦 ~物流GX~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦 ~物流GX~

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 画像素材:metamorworks/PIXTA

<目次>

1.グリーン・トランスフォーメーション(GX)とは?

2.幹線輸送の高度化でGXを目指す

3.幹線輸送を効率化させるための考え方

 


1.グリーン・トランスフォーメーション(GX)とは?

 

2021年5月、パナソニックは事業活動で排出する二酸化炭素(CO2)を2030年に実質ゼロにする目標を公表し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に
取り組むと同時に、環境を軸にしたGX(グリーン・トランスフォーメーション)に経営資源を投入する方針を掲げました。
「DXも重要だが、GXも重要だ」。楠見社長の号令のもと、22年4月、滋賀県草津市の家電部門が入る拠点に、約6000平方メートルの小さな発電所が誕生します。
そして、太陽光パネルと並ぶのが、環境事業の柱の1つと目される水素燃料電池100台。燃料電池工場の年約2.7ギガワット時の電力をまかなう計画です。

GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは、温室効果ガスを発生させないグリーンエネルギーに転換することで、産業構造や社会経済を変革することです。GXの背景となるのは、地球温暖化への対策としてのカーボンニュートラルです。東京海上日動は2021年2月、GXのタスクフォースを設置し、顧客のカーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に向けた取組みを支援する保険の開発やコンサルティングを行うことを公表しました。

GXを将来の成長戦略の軸にして、どのように技術を磨き、ビジネスとして育成していくか検討が始まっています。

 


2.幹線輸送の高度化でGXを目指す

 

早速、GXについて国がどのような取り組みを行っているのか調べてみると、経済産業省がこの3月に「エネルギーを起点とした産業のGX(グリーントランスフォーメーション)について」という資料が見つかりました。そこにはGX時代に成長が期待される産業として自動車産業、原子力産業があげられています。
自動車産業は、製造業出荷額の約2割を占め、関連産業を含め約550万人の雇用を支える言わずと知れた日本の基幹産業です。今後はDXやGXの流れが加速し、自動車の使い方や作り方が大きく変革していくことが予想されます。そうした中で、物流業界としては、こうした動きに迅速に対応し、新たな事業構造構築や付加価値創出を図れるかが、生き残る鍵となっていきます。

本資料の中では、積載効率、共同配送などの物流サービスの向上について記載があります。またソフトウェア化、モジュール化によって既存の産業構造を変革し、
エネルギーコスト・CO2排出最小化と運輸効率最大化に向けて、トラック等の運行管理とエネルギーマネジメントを一体的に行うシステムの構築・検証等を行うことなどについても書かれてありました。中でも筆者が注目したのは、「高度幹線物流システム」です。本資料では、キーワードしかあげられていませんでしたが、
本稿のテーマである「共同物流」も高度幹線物流システムの一部と言えるのではないでしょうか。

そこで、幹線物流の効率化・高度化について、国土交通省が昨年の7月に作成した「物流生産性向上に資する幹線輸送の効率化方策の手引き」に詳しく記載されているので、そちらを参考に幹線物流の高度化について考察してみましょう。

「幹線輸送」とは、積み替えや流通加工を行う拠点までの比較的大ロットで輸送される、輸送距離が500km以上を目安とした輸送というのが、一般的です。
しかし、本資料では、モーダルシフトの対象となりにくいトラック輸送が中心となる300km以上を幹線輸送の対象として作成されています。下図の青い矢印の個所が幹線輸送の対象です。

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(出典:国土交通省「物流生産性向上に資する幹線輸送の効率化方策の手引き」)

輸送トン数全体でみれば、トラック輸送の輸送量はなだらかに減少傾向となっており、幹線輸送についても、年によって変動はあるものの、長期的には緩やかな減少傾向となっており、今後も貨物量は緩やかに減少していくものとみられています。(下グラフ参照)

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(出典:国土交通省「物流生産性向上に資する幹線輸送の効率化方策の手引き」)


3.幹線輸送を効率化させるための考え方

 

幹線輸送を効率化させるためには、「物流拠点の整備」、「モーダルシフト」、「トラック輸送の効率化」の大きく3つに分けて考え方を整理します。

1.物流拠点の整備

物流拠点の整備については、小売業などで納品車両台数の削減を図るために古くから実施されています。また最近では製造業がサプライヤーに対してリードタイムの延長などを条件として輸送ロットを拡大する方策が進んでいます。リードタイムを延長して、輸送ロットを拡大し、大ロット化を図るための在庫型DCセンターの設置が望まれます。DCセンターの立地としては、納品先の工場に近く、輸送の回転数が高められることが条件になります。またDC拠点から輸送回数を増やすためのスケールの確保として、納品先の工場をいかにして集めるかがポイントです。大ロット化が基本となるため、サプライヤーが負担する在庫は増えることになってしまうので、輸送コストの削減分と合わせて費用対効果を算出し、協力を得ることが必要です。

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さらには、地域の集配を効率化するために、共同で活用する通過型のTCセンターの設置も重要になります。複数社分の荷物をまとめて共同配送を行う物流企業の地域に共同化のベースとなる荷主が存在する場合は、実現の可能性が高いです。共同配送を行う物流企業が配送可能な地域の荷物料をいかに確保するかがポイントになります。
ただし、タッチ数は増えることになるので、リードタイム延長の調整が必要になります。

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2.モーダルシフト

最近は長距離トラックドライバーの確保が困難なことからモーダルシフトに取り組む企業が増えています。生産工場の立地がない地域(北海道、九州、北陸等)への輸送で、
工場からの輸送が長距離になりやすく大きなロットとなりにくい荷物について、モーダルシフトを検討しましょう。鉄道コンテナ輸送では、貨車へのコンテナの積載率が低い路線があるので、運賃割引が適用される輸送区間があります。これらの輸送区間の利用の可能性を検討することで、輸送距離の比較的短い輸送区間(300kmや400km程度)でのモーダルシフトの実現性が高まります。

3.トラック輸送の効率化

トラック輸送の効率化は、作業時間の短縮として「中継輸送」や「スワップボディ」、車両の大型化として「トレーラー、ダブル連結」、積載率の向上として「共同化・積み合わせ輸送」、実車率の向上として「帰り荷確保」などがあげられます。

以上のような取り組みによって幹線輸送が効率化されることで、良質な物流サービスの提供につながり、物流GXを進展させていきましょう。

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