共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦 ~リエンジニアリング③~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦 ~リエンジニアリング③~

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 画像素材:vectorpocket/PIXTA

<目次>

1.物流の定義(原点)に立ち返る

2.物流データを活用した戦略展開

3.物流が生産と販売をマネジメントする

 


1.物流の定義(原点)に立ち返る

 

物流先進企業は、需要に応じてスムーズに商品を供給する物流サービスを高い水準で運用し、しかもこれを効率的かつ低コストで実現しています。
このような企業はいずれも好業績・高収益です。企業競争に勝ち抜くには、その企業の総合力を発揮することが求められます。ヒト・モノ・カネをデジタルでトータル管理して、これを販売の第一線に注ぐことによってのみ企業競争に勝つことができます。これが物流の目的です。

物流先進企業は物流の中長期的なロードマップを持っています。「物流デジタル化5ヵ年計画」、「ロジスティクス・フォース10ヵ年計画」などです。弊社もご支援先の企業に「強みを生かしたプロデュース思考」でこうしたロードマップを一緒に作成するお手伝いをしています。
ポイントはデジタル起点ということです。ヒト・モノ・カネを情報でトータル管理するだけでなく、最新のテクノロジーを駆使して物流データを経営情報に昇華させ、アジリティの獲得を支援します。最先端の物流システムの再構築によって、物流リエンジニアリングが可能になります。

ここで今一度物流の定義についておさらいしておきましょう。

「物流とは、原材料、仕掛品および完成品がその発生の地点から消費の地点まで効率的に流れることを計画し、それを実施し、その結果を管理することを目的とする」

ここでの”管理”とは、より少ないコストで、効率化を達成し、取引先や顧客に満足を与え、そして企業が利益を得るための管理ということになります。
これまで長い時間をかけてマーケティングと生産は研究し尽されてきました。いよいよ物流の番です。そしていまはまさにロジスティクス戦略の時代ということができます。これまでの物流は商品を顧客に届けるまでのプロセスとして考えられてきました。しかし、これは販売物流の一部にすぎません。先述の物流の定義からいうと、物流とは、顧客サービス、流通情報、在庫管理、原材料や部品の調達、包装・梱包、輸送、貯蔵、返品処理、生産物流、廃棄物流と実に幅広いのです。そしてそれらを大別すると、下の図に示すように、調達物流、生産物流、販売物流に分けて考えられます。さらに製品や部品を社内の工場間や倉庫間で移動させる社内物流があります。

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数年前に経産省が作成されたある資料に「このままでは物流が立ち行かなくなる。だから物流を”再定義”する必要がある」と書かれていましたが、筆者はその必要はないと思います。物流を再定義するのではなく、いまいちど物流の定義、目的に立ち返る必要があるのではないでしょうか。

 


2.物流データを活用した戦略展開

 

物流リエンジニアリングを実現するには、物流の定義を再認識し、物流情報システムを再構築することが重要である点についてご理解いただけたかと思います。物流情報システムは、顧客からの受発注データに基づく入出荷指示情報や、工場の製品出荷データなどが管理されます。これらのデータや情報に基づいて受注から出荷にいたるまでの一連の流れをコントロールします。しかし、物流にはこれらの情報以外に、非常に大切で価値の高い宝が眠っています。どの製品の売れ行きがどの地域でよいか、どの配送センターにはどれだけ在庫があって、どれだけ入荷される予定があるのか。物流の情報を様々な角度で分析すれば、第一線の市場の情報、自社の情報が現在進行形で把握できるだけでなく、今後の予測も立てることが可能になります。

これらの情報はきわめて高度な経営・管理レベルの情報が含まれています。ですから物流現場の管理レベルで活用されるだけでなく、企業経営の戦略策定に利用されることが望ましく、これを「物流情報を経営レベルに昇華させる」と弊社では言っています。

物流情報システムを再構築するには、物流データの活用を「物流現場の管理レベル」と「企業経営の戦略策定レベル」に区別して、取得できる物流データの中から、この戦略的な情報をいかにして創造するかが非常に重要になります。物流データは、モノの動きに関する情報です。このモノは、メーカーの場合は生産した製品であり、卸や小売りの場合は仕入れた商品です。これらのモノは全て販売を目的として管理されるので、生産・仕入状況と販売状況の両方を最も鮮度の良い状態で取得できるのです。物流が企業戦略におけるデータの主導権を握るということに異論を挟む余地はないのです。


3.物流が生産と販売をマネジメントする

 

下の図を見て違和感を感じる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。

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物流部長が経営マネジメントの中心となり、営業部長と製造部長をマネジメントする構図です。多くの企業が営業部⇒製造部⇒物流部という序列になっています。物流先進企業では、物流部長が経営会議に出席し、営業部や製造部と対等に意見をぶつけます。しかし、さらに進んでいけば物流部長が営業部と製造部をコントロールする時代になっていきます。例えば、よく売れる製品は、生産が販売に追いつかない場合、「品切れ」という警告を出して工場の生産計画の変更を促すことができます。逆にある地域で売れ行きが思わしくない製品については、「在庫増」を警告して、よく売れている地域に在庫を移動したりすることもできます。こうした品切れや在庫の山、地域的な在庫の偏りという問題は、製造と販売がうまく連動していないことから生じます。物流には、製造(仕入)と販売のギャップを埋めるための情報が眠っています。物流のムダから全社のムダを排除して、在庫減、売上増の膨大な利益の獲得を可能にする中枢の地位を占めているのです。

物流と営業と製造がフラットであると、物流がいくら警告を促しても、営業と製造が互いの利益相反で揉める材料を与えるだけになってしまいます。
物流がトップマネジメントレベルになり、製造部長と営業部長をマネジメントするのがこれからの物流先進企業の姿です。

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