共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦~物流全域にわたる脱炭素化の要請~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦~物流全域にわたる脱炭素化の要請~

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 画像素材:さこうれい子/PIXTA

<目次>

1.はじめに

2.物流に求められている対応

3.グリーン・ロジスティクスの実現に向けた視座

 


1.はじめに

 

「ジャスト·イン·タイム(Just In Time)の時代は終わった」。ドイツのシステム半導体メーカーであるインフィニオン・テクノロジーズ(Infineon Technologies AG)のヘルムート·ガゼル最高マーケティング責任者(CMO)は海外メディアとのインタビューでこう語りました。

世界の大手企業はいま、調達管理の危機に直面しています。コロナ過で部品や原料の供給網が不安定となり、物流費も高騰しています。世界各国の脱炭素(カーボンニュートラル)の動きも、行き過ぎた多頻度小口化の物流サービスに警鐘を鳴らしています。調達物流は多頻度小口化から輸送ロットを大型車単位にまとめて配送頻度を減らし、CO2排出量を減らすことで脱炭素に貢献することが求められるようになります。そうなれば企業の在庫は増え、新たに倉庫費用も発生します。それでもサプライチェーン全体の環境負荷低減が求められることに変わりはなく、世界各国の企業はグリーン・ロジスティクスに向けた新たなKPIが突きつけられ、数値目標を決めて削減を進めていかなければなりません。

2050年までに世界で排出する温室効果ガスを全体としてゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルは世界の約束です。
※ゼロというのは、排出量から森林などによる吸収量を差し引いて合計をゼロにすること

世界中のあらゆる分野、産業においてCO2削減に取り組まなければならず、もちろん物流分野も例外ではありません。私たちが住む地球の最大の危機の一つといっても過言ではない地球温暖化。世界各地で気候変動が起きており、日本で例年集中豪雨による災害を引き起こしているのもこの気候変動が原因と言われています。世界人類が一丸となって本気で取り組まなければならず、2050年の達成でも遅いと世界中の気象学者が警告をしているほどです。

この動きに逆らえば、企業は今後事業を存続不可能になります。これは決して大袈裟な話ではありません。何故ならESG金融というシステムが、今後CO2排出企業に対して様々な厳しいルールを定めていくようになるからです。ESG金融システムによって、CO2排出企業には出資出来ない、融資が下りないといった厳しい条件が定められていきます。
さらにカーボンプライシングによってCO2排出量に値段をつけて、排出量が多い企業に対して費用負担を課すシステムも検討が進んでいます。日銀の調査によりますと、SDGsを自社の事業に絡めて検討を始めている企業の割合は、中小企業全体で約2%なのに対して、金融機関では80%とかなりの差があります。これはESG金融というシステムを早々に組み立てることで、脱炭素に向けた取り組みに強制力を持たせる狙いがあることの証拠です。足元の動きとしては、金利などの借入条件を事前に設定したサステナビリティ目標の達成度と連動させるサステナビリティ・リンク・ローンや、ESG要素を勘案した与信審査、法人向けSDGs対応コンサルサービスの提供などが始まっています。

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(出典:「SDGs/ESG金融を巡る最近の動向」日本銀行)


2.物流に求められている対応

 

物流は今後、個社最適による物流コスト削減、ジャストインタイムに対応したサービス提供から、全体最適による物流持続可能、脱炭素に向けたサービスへとシフトしていくことが求められます。当然、荷主側も考え方を変えていく必要があります。物流コスト削減や自社の顧客メリット最大化といった視点から、安定的かつクリーンな物流インフラを維持していくために物流と一緒になって、何をしていくべきかを考えていく姿勢がとても大切です。

物流領域ではトラックからの排出量が多いことから、2013年度比で約35%の削減目標が設定されました(自動車によるCO2排出量は全体の86%を占めている)。また、物流車両のEV化や車両の燃費改善、輸送効率化・モーダルシフトの推進などの対策を強く求められます。環境に配慮したグリーン・ロジスティクスの実現に向けてトラック輸送の効率化、共同物流の推進、物流施設における脱炭素化など、物流部門の役割は非常に大きいものと認識しなければなりません。またAIやIoT等を活用したサプライチェーン全体の大規模な効率化を図るために、従来の短期的な投資リターンを期待するデジタル戦略ではなく、長期的な持続可能性、環境負荷への貢献を投資リターンとした大胆な投資が期待されます。

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3.グリーン・ロジスティクスの実現に向けた視座

 

1980年代以降、評論家やコラムニストがグローバリゼーションについて論じるときは、もっぱらコンピュータやインターネットが取り上げられてきました。しかし、デジタルもさることながら、世界経済の統合化は貨物を安価に運ぶサービスに依存することが大きい事実を見逃すわけにはいきません。湾港、道路、鉄道といった輸送インフラが不効率だと輸送コストが跳ね上がり、経済発展が阻害されるだけでなく、環境問題にまで発展することを多くの人が理解することが大切です。環境に優しいグリーン・ロジスティクスに向けて自社の物流をリエンジニアリングする際に重要な視座は、物流事業の本当の仕事は船やトラックを運行することではなく、貨物を運ぶという根本的な理解に立ち返るということです。「如何にして貨物を効率的に運ぶか」というこの一点が物流に突き付けられた命題であり、その追求こそが使命(ミッション)です。

そして何より素晴らしいのは、その追求がそのままグリーン・ロジスティクスへの挑戦となり、世界から期待される脱炭素化に大いに貢献できる点だと思います。この根本的な理解があればこそ、多くの企業が物流リエンジニアリングに失敗する中で、成功を手にすることが出来るのだと確信しています。日本が世界に約束した「2050年カーボンリュートラルの実現」には、物流部門の貢献は不可欠であり、今こそ物流に携わる全員が協力して脱炭素ソリューションをリードするべきときではないでしょうか。

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