製造業がロジスティクス管理をレベルUPさせる在庫最適化実践法⑤|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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製造業がロジスティクス管理をレベルUPさせる在庫最適化実践法⑤

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 画像素材:klyaksun /PIXTA

<目次>

1.社内で食い違う在庫の見方

2.セグメント化による在庫基準の決め方

3.セグメントによってKPIのターゲット方針を決める

4.セグメントの切り口について


1.社内で食い違う在庫の見方

 

在庫最適化を社内で検討する際に必ず課題として挙がるのが在庫の基準をどのようにして決めるかということです。
例えば多品種化を進めてきた結果、ほとんど売れていない品目が沢山倉庫に眠っている場合を考えてみましょう。

物流側から営業側に品目の20%削減を提案したとき、営業側はこのように抵抗します。「その品目単体では売れて
いなくても、その品目があることで売れる品目もある」「昔からの得意先をつないでおくのに必要な品目だ」「キャン
ペーンなどで安く売れば少しでも売り上げに貢献する」といった具合です。

物流側からすれば、削減対象の20%の品目は売上の1%未満しかないため、営業側の意見に対して納得出来ません。
この削減を行うことで、生産コスト、物流コストが大幅に下がって利益が増加することは分かっています。

このように在庫の基準を社内で決めるには色々な立場から色々な意見や見方が出てくるので、基準を決める方法を
明確にルール化しておく必要があります。今回は製造業が在庫最適化を行うためのアプローチとして、在庫基準の
決め方について解説します。


2.セグメント化による在庫基準の決め方

 

在庫の基準を決めていく上で、管理対象の品目を特性によってグループ分けし、そのグループの特性に合わせた基準
を設定することが重要になります。これを在庫のセグメント分析と呼びます。セグメント分析を実施する方法は実は
沢山あるのですが、最もよく利用される方法としてはABC分析です。以下の図のように売上金額の割合で品目をABCに
ランク付けします。

Aランク品については、工数をかけて重点的に管理します。Bランク品については、バッファ在庫を持ってサービスレ
ベルを維持し、Cランク品については発注点を切ったら補充するといった具合に管理方針を決定します。

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ABC分析の欠点としては、品目の特性を一方向の視点でしか分析出来ない点です。もし多品種かつ様々な品目特性があり、
在庫を最適化する上でABC分析だけでは限界があるなと感じる場合は、より合理的にセグメントを整理できる「4象限分
析のフレームワーク」を利用されることをお勧めします。本フレームワークについて詳しくは知りたい方は以下の記事
も参考下さい。
※ABC分析ではもう限界!在庫4象限分析で在庫をもっと最適化しよう!


3.セグメントによってKPIのターゲット方針を決める

 

ABC分析、4象限分析によって品目をセグメント化出来たら、そのセグメント毎にKPIのターゲットを設定します。
以下の図をご参考下さい。例えばAランク品は在庫日数を最小限にしつつ欠品率も低く設定し、工数をかけて重点管理します。
Cランク品については、在庫はあまり持たず、発注点を切ったら補充するようにし、多少の欠品は許容し、出来るだけ工数を
かけずに管理します。

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このようにKPIの基準値を決める際には、トレードオフの関係にあるKPIを組み合わせて、セグメント毎にターゲットを
決定しましょう。KPIの組み合わせについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、そちらもご参考下さい。
※製造業がロジスティクス管理をレベルUPさせる在庫最適化実践法④

業種業態によって、ターゲットの設定方法は異なります。自動車部品や電気産業向けの部品を製造しているような場合は、
得意先が固定的で件数も少ないので、ABC分析をするよりも前に得意先別に品目を分類する方が効果的です。

FA部品のように汎用部品と顧客仕様部品が半々のような品目では、ABC分析よりも先に汎用品と顧客仕様部品に分類して
からABC分析を行うと良いでしょう。

受注先が不特定多数の一般流通品目を製造しているような場合は、最初からABC分析で問題ないでしょう。

もう1点、製造業が在庫基準のターゲットを設定する上で、重要になるパラメータがあります。それは補充リードタイムです。
製造業の場合、補充リードタイムに数ヶ月のばらつきがあるので、補充リードタイムをカテゴリ分けしてターゲットを設定す
るようにしましょう。1ヶ月で補充できる品目と半年かかる品目を同じ方法で管理することは現実的ではありませんよね。

以下図にターゲット設定の方針を分かり易く整理しました。

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4.セグメントの切り口について

 

最後に、セグメントの切り口について、少し例をご紹介します。

・製品ABCランク・・・出荷金額または在庫金額に占める割合です。
・顧客ABCランク・・・顧客の優先度順です。
・補充リードタイム・・・1ヶ月以内、3ヶ月以内、6ヶ月以内で分類します。
・ライフサイクル・・・1年以内、3年以内、5年以内で分類します。
・ライフサイクルステージ・・・導入期、成長期、成熟期、衰退期で分類します。
・需要特性・・・安定的需要、突発的需要で分類します。
・国内/輸出・・・国内向け、海外向けで分類します。
・需要予測精度・・・高い、低いで分類します。

これらは一例ですので、自社の事業戦略に合ったセグメントの切り口を組み合わせて、KPIのターゲットを
設定しましょう。この方法は自社の在庫を戦略的に管理する上で重要になりますので、是非実践下さい。

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